日本のPT・OT・ST有資格者は約30万人。そのうち英語を仕事で使えるレベルの臨床経験者は推定5%以下と言われています。一方、スポーツ医療・国際大会対応・海外大学院・国際クリニックでのリハビリ需要は年々拡大しており、「英語ができるPT」は希少価値が高いポジションです。本記事では、PTが医療英語を学ぶ4つの実務場面、HLCA×TARGETのPT向けカリキュラム、現場フレーズ20選、海外でPTとして働くための4ヶ国の資格要件、国内でも活きるキャリア活用までを5,000字超で整理しました。
この記事のもくじ
PTに医療英語が役立つ4つの場面

理学療法士が現場で英語を使う場面は意外と多くあります。「リハビリ職に英語は関係ない」というイメージとは裏腹に、職域は確実に広がっています。
外国人患者のリハビリ指導
整形外科クリニック・回復期リハビリ病棟・訪問リハビリの現場で、外国人患者の評価・治療・自宅プログラム指導をすべて英語で行う場面が増えています。痛みの評価(VAS)、ROM測定、徒手筋力検査(MMT)、退院後の運動指示など、PT特有の英語表現が必要です。
スポーツ分野・国際大会帯同
スポーツチーム所属PT、トレーナー、国際大会帯同のメディカルスタッフは、外国人選手・コーチとの英語コミュニケーションが日常業務です。アスリートの評価・テーピング指示・リハビリ計画の説明など、専門用語+瞬発的な会話力が求められます。
海外臨床留学・大学院進学
米国DPT(Doctor of Physical Therapy)、英国MSc Physiotherapy、豪州Master of Physiotherapy Studyなど、海外のPT大学院・臨床留学プログラムは英語が必須。日本のPT資格を持ったまま海外で学位を取り、海外PTライセンスへ進む人も増えています。
論文・国際学会
リハビリ領域の主要論文は英語が中心。JOSPT、Physical Therapy、Physiotherapy Researchなどのジャーナル投稿、国際学会(APTA、WCPT)での発表には英語論文執筆スキルが必要です。臨床研究のレベルアップにも直結します。
PT現場で使う英語フレーズ20選
外国人患者のリハビリ指導で使う英語フレーズを4場面で整理。すべてHLCAのPT特化マンツーマンレッスンで実践練習できます。
評価時のフレーズ(疼痛評価VAS等)
- On a scale of 0 to 10, where 0 is no pain and 10 is the worst pain you can imagine, how would you rate your pain?(0が無痛、10が想像できる最悪の痛みだとすると、今の痛みはどのくらいですか?)
- Can you describe the pain? Is it sharp, dull, or throbbing?(痛みを表現してください。鋭い/鈍い/ズキズキしますか?)
- Does the pain radiate anywhere else?(痛みは他の場所に広がりますか?)
- What makes the pain worse or better?(どんな動きで痛みが悪化/緩和しますか?)
- How long have you had this pain?(いつから痛みがありますか?)
治療指示のフレーズ(運動・ストレッチ)
- Slowly raise your arm above your head. Try to keep your elbow straight.(腕をゆっくり頭の上まで上げてください。肘はまっすぐに保ちましょう)
- Hold this position for 10 seconds, then relax.(この姿勢を10秒キープして、その後リラックスしてください)
- Push against my hand with your foot, as hard as you can.(私の手に向かって足を全力で押してください)
- Bend your knee to 90 degrees. Let me know if it hurts.(膝を90度に曲げてください。痛かったら教えてください)
- Take a deep breath in, then exhale slowly as you stretch.(深く吸って、ストレッチしながらゆっくり吐いてください)
患者教育のフレーズ(自宅プログラム)
- I’d like you to do these exercises three times a day at home.(このエクササイズを自宅で1日3回行ってください)
- If you feel any sharp pain, stop immediately and contact us.(鋭い痛みを感じたらすぐに中止して連絡してください)
- Apply ice for 15 minutes after the exercises.(運動後に15分アイシングしてください)
- Keep your back straight when you lift anything heavy.(重い物を持ち上げるときは背中をまっすぐに保ってください)
- It’s important to do this every day, even on weekends.(週末も含めて毎日続けることが大切です)
家族説明のフレーズ
- Could you help your father with these exercises after meals?(食後にお父様のエクササイズを手伝っていただけますか?)
- Please supervise her transfers from bed to wheelchair for the first week.(最初の1週間はベッドから車椅子への移乗を見守ってください)
- Remove any rugs or cords from the walking path at home.(自宅の歩行経路にあるラグやコードは取り除いてください)
- If you notice any swelling or unusual pain, please call us.(腫れや異常な痛みに気づいたらご連絡ください)
- Encourage her to do the exercises, but don’t force her.(運動を励ましてください。ただし無理強いはしないでください)
HLCA×TARGETのPT向けカリキュラム例
HLCAではPT受講生向けに、領域別のマンツーマンカリキュラムを提供しています。一般英語の基礎力に応じて、医療英語の比重を柔軟に調整できます。
リハビリ基礎用語の英語表現
ROM(関節可動域)、MMT(徒手筋力検査)、ADL(日常生活動作)、PROM/AROM、proprioception(固有感覚)など、PT現場で日常的に使う英語専門用語を体系的に学びます。
スポーツ医学領域
ACL injury、rotator cuff、stress fracture、return-to-play criteria などスポーツ医学領域の専門用語と、アスリート対応特有の表現を扱います。国際大会帯同やスポーツチーム所属を目指す方向け。
OETリファラルレター対策
OET PhysiotherapyのWriting・Reading・Listening・Speakingを4技能バランスよく対策。海外PT資格を目指す方向けの専門コースです。
症例報告の英語化
国際学会での発表・英語論文の投稿を視野に、症例報告の英語化スキルを磨きます。Background・Methods・Results・Discussionの基本構成から指導します。
海外でPTとして働くための4ヶ国の資格要件
海外でPTとして働くには、その国の試験・登録・英語要件をクリアする必要があります。主要4ヶ国の要件を整理します。
米国(NPTE・DPT)
NPTE(National Physical Therapy Examination)合格と各州ライセンスが必須。多くの州ではDPT(Doctor of Physical Therapy)学位を要求するため、日本の学位からの credential evaluation も必要。英語要件はTOEFL iBT 89以上が一般的。
オーストラリア(APRA・OET)
Australian Physiotherapy Council(APC)の評価試験を経て、AHPRA(Australian Health Practitioner Regulation Agency)登録。英語要件はOET Physiotherapy B以上、またはIELTS Academic 7.0以上。OETがPT臨床に近い試験として推奨。
カナダ(PCE)
Canadian Alliance of Physiotherapy Regulators(CAPR)のCredentialing→PCE(Physiotherapy Competency Examination)→各州ライセンスの順。州により細かな要件が異なります。英語要件はIELTS Academic 7.0 or TOEFL iBT 88。
イギリス(HCPC)
Health and Care Professions Council(HCPC)への海外資格者登録。International applicantsプロセスを経て、要件確認後にregistration。英語要件はIELTS Academic 7.0またはOET Physiotherapy B。
PT・OT留学経験者のリアル|HLCAの体験談
HLCAにはPT・OT領域の留学経験者の体験談が複数あります。リハビリ職特有の学習プロセスや、現場での英語の使い方が具体的に紹介されています。
作業療法士・大野さんの体験談
作業療法士・大野さんの体験談では、テキストをKindleに取り込んで移動中のスキマ時間で予習、毎週のレッスンを3ヶ月先まで予約しておく、という具体的な学習ルーティンが紹介されています。OTでも基本的な医療英語の学び方はPTと共通です。
まりさんの作業療法士OT体験談
まりさんのOT留学体験談は、女性OTがセブ留学で得た医療英語スキルと、その後のキャリア展開を綴った長編インタビュー。PT・OT共通のリハビリ職向け学習プロセスの参考になります。
国内PTでも医療英語が活きる4つの場面
「海外で働く予定はないけど英語は学んでおきたい」というPTにも、国内キャリアで英語が活きる場面は確実にあります。海外留学だけが医療英語学習のゴールではありません。
スポーツチーム・国際大会対応PT
サッカー・ラグビー・バスケットボールなどプロスポーツチーム所属PTや、ワールドカップ・オリンピックの帯同メディカルスタッフは、外国人選手・コーチとの英語コミュニケーションが日常業務です。「英語ができるPT」は希少価値が高いポジション。
外国人居住者向けクリニック・整形外科
東京・横浜・大阪・京都など外国人居住者の多い都市部の整形外科・スポーツクリニックでは、英語対応PTの求人が増えています。観光地のクリニックでも同様。
大学院進学・論文執筆
国内のPT大学院(修士・博士)進学後、英語論文の読解と執筆は必須スキル。研究者キャリアを目指すなら早めの英語強化が有利です。
国際リハビリ学会への参加と発表
APTA、WCPTなど国際リハビリ学会への参加・口頭発表・ポスター発表は、PTのキャリア後半における重要な実績作りになります。
よくある質問
Q1. 理学療法士が医療英語を学ぶメリットは?
スポーツ医療領域での差別化、海外留学・海外PTライセンスへの挑戦、外国人患者対応の整形クリニックでの採用優遇、論文執筆・国際学会発表のスキル獲得など、キャリアの選択肢が広がります。
Q2. PTが海外で働ける国はどこ?
主要なルートは米国(NPTE)、オーストラリア(APC+AHPRA)、カナダ(PCE)、英国(HCPC)の4ヶ国。各国とも英語試験(OET PhysiotherapyまたはIELTS Academic 7.0以上)が必須で、登録手続きには1〜3年かかります。
Q3. NPTE(米国PT試験)の難易度は?
200問のマルチプルチョイス試験で、合格率は外国教育者の場合50〜60%。臨床知識+英語読解力の両方が必要です。日本のPT教育で習った内容に加え、米国独自のevidence-based practiceの考え方を学ぶ必要があります。
Q4. PT留学に必要な期間は?
HLCAの場合、医療英語ベースを作るのに最低3ヶ月の集中学習が推奨。OET合格レベルまでなら6ヶ月〜1年。米国DPTなど学位取得を目指すなら3年以上の留学が一般的です。
Q5. 国内で英語を活かしたPTキャリアは?
スポーツチーム所属、国際大会帯同、外国人居住者向けクリニック勤務、大学院進学、海外論文の翻訳・執筆、医療通訳など、海外に出なくても英語が活きる選択肢は多数あります。
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