薬剤師からCRA・治験コーディネーターへ|英語で広がるキャリアパス

HLCA編集部
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薬剤師からCRA・治験コーディネーターへ|英語で広がるキャリアパス
海仲由美
この記事の監修者
HLCA代表 / 校長 / 正看護師
正看護師として日本で4年半の臨床経験。2013年フィリピン・セブ島で英語留学。2015年4月に医療従事者向け医療英語スクールHLCAを設立。医療従事者の英語学習・海外キャリア・医療通訳を支援。「女性のためのフィリピン留学協会」理事、国際看護学非常勤講師。

調剤や病棟業務を続けながら、「この先どんなキャリアがあるだろう」と考える薬剤師の方は少なくありません。そのなかで名前が挙がりやすいのが、CRA(臨床開発モニター)とCRC(治験コーディネーター)です。

どちらも薬学の知識が土台になる仕事で、薬剤師からの転身例があります。ただし調べていくと「英語力が必要」という記述に行き当たり、そこで足が止まる方も多いところです。この記事では、実際にどの場面で英語を使うのか、どの程度の力が求められるのかを整理し、準備の順序まで具体的にお伝えします。

このメディアを運営しているHLCAは、医療従事者専門の医療英語スクールをオンラインとセブ島留学で提供しています。

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CRA・CRC(治験コーディネーター)とは?薬剤師が転身しやすい理由

まず2つの職種の違いを押さえておきます。どちらも治験に関わりますが、立ち位置が異なります。

  • CRA(臨床開発モニター):製薬企業やCRO(開発業務受託機関)に所属し、治験を実施する医療機関を訪問する。計画書どおりに進んでいるか、データが正確かを確認する役割
  • CRC(治験コーディネーター):医療機関側またはSMO(治験施設支援機関)に所属し、治験に参加する患者さんと医師を支える。日程調整や説明の補助、記録の作成を担う

薬剤師がこの分野に移りやすい理由は、業務の土台が薬学知識だからです。薬の作用機序、用法用量、副作用の知識は、治験実施計画書を読む場面でそのまま使えます。医療機関の仕組みや医師・看護師とのやり取りに慣れている点も、現場に入ってから効いてきます。

特にCRCは、患者さんへの説明補助が業務に含まれます。服薬指導で培った「専門的な内容をかみ砕いて伝える力」が活きる場面です。

CRA・CRCの仕事で英語を使う場面

英文の治験実施計画書を読む場面をイメージした写真

「英語が必要」と一括りにされがちですが、実際に使う場面は限られています。分けて見ると準備すべきものが見えてきます。

読む英語が中心の場面

  • 英文の治験実施計画書(プロトコル)を読む
  • 海外で作成された手順書やマニュアルを確認する
  • 症例報告書の入力システムが英語表記になっている
  • 関連する論文や安全性情報を参照する

書く英語が必要な場面

  • 海外の担当者へメールで進捗を報告する
  • 報告書の一部を英語で記載する
  • システム上のコメントを英語で残す

話す英語が必要な場面

  • 海外拠点とのオンライン会議に参加する
  • グローバル試験の担当者と進捗や課題を確認する
  • 外資系企業では社内のやり取り自体が英語になることがある

国内の医療機関だけを担当する国内治験であれば、英語をほとんど使わないこともあります。一方、複数の国で同時に進めるグローバル試験に関わる場合、読む英語は日常的に発生します。どの領域を担当するかで必要な英語は大きく変わります。

求められる英語力の目安|内資・外資別

求人情報では英語力の目安としてTOEICスコアが提示されることがあります。ただし、これは各社が独自に設定する応募条件であり、公的に統一された基準ではありません。同じ「CRA」でも企業や担当領域によって条件は変わります。

おおまかな傾向として、次のような違いがあります。

区分 英語の使用頻度 主に求められる技能
内資系・国内治験が中心 低い〜中程度。英文資料を読む場面が中心 読む力
内資系・グローバル試験に関与 中程度。資料読解に加え、報告のやり取りが発生 読む力+書く力
外資系・グローバル試験 高い。会議や日常業務で英語を使う 読む・書く・話す

求人票のスコア要件は、実際の業務で使う英語の一部しか測っていません。読解中心のスコアが基準を満たしていても、海外拠点との会議で発言できなければ入社後に苦労します。逆に、スコアが要件にわずかに届かなくても、面接で英語のやり取りができれば評価されることがあります。

応募先を絞る段階では、求人票のスコアだけを見るのではなく「担当する試験がグローバルかどうか」「会議は英語か」を確認してください。ここが分かると、自分に必要な技能がはっきりします。

薬剤師経験が生きるポイントと足りないスキル

薬剤師の経験が活きる場面をイメージした写真

薬剤師からの転身で有利に働く部分と、新しく身につける必要がある部分を整理します。

そのまま活きるもの

  • 薬理・薬物動態の知識(プロトコルの理解が速い)
  • 副作用の知識(有害事象の判断で土台になる)
  • 医療機関の業務フローへの理解
  • 医師・看護師とのコミュニケーション経験
  • 正確な記録を残す習慣

新しく必要になるもの

  • GCP(医薬品の臨床試験の実施の基準)など、治験に関する規制の知識
  • モニタリング業務の手順
  • データの整合性を確認する視点
  • 担当領域によっては英語での折衝

規制やモニタリング手順は入社後の研修で学べる部分が多く、未経験可の求人も見られます。一方で英語は、入社してから短期間で身につくものではありません。転身を考えた時点から準備を始めておくと、応募できる求人の幅が変わります。

転身までのステップ|求人要件・選考・入社後

準備から入社後までの流れを具体的に見ていきます。

  1. 領域を決める:CRAとCRCのどちらか、国内治験かグローバル試験か。ここで必要な英語の量が決まります
  2. 求人要件を確認する:複数社の募集要項を比べ、英語要件がどう書かれているかを見ます。スコアの記載がない企業もあります
  3. 英語の現在地を測る:読む力だけでなく、簡単な進捗報告を英語で書けるか、会議で聞き取れるかを確かめます
  4. 不足分を埋める:読む力が足りなければ英文プロトコルの読解、話す力が足りなければ実際に口に出す練習を行います
  5. 選考を受ける:外資系では面接の一部が英語になることがあります。自己紹介と職務経験の説明は準備しておきます
  6. 入社後の研修:GCPや社内手順の研修を受けながら実務に入ります

3番目の「現在地を測る」を飛ばす方が多いところです。スコアだけでは、書く力と話す力の不足が見えません。実際に英語で1通メールを書いてみる、英語の会議動画を聞いてみるといった形で確かめておくと、準備すべきものが具体的になります。

治験・臨床開発の英語の学び方

治験関連の英語を学ぶ場面をイメージした写真

必要な英語を「読む」「書く」「話す」に分けると、それぞれ学び方が変わります。

読む力は、独学で伸ばしやすい領域です。治験実施計画書には決まった構成と定型表現があり、繰り返し読むうちにパターンが見えてきます。公開されている英文の治験関連文書や添付文書を教材にできます。

書く力は、型を覚えることから始まります。進捗報告や確認依頼など、業務で使うメールは目的が限られています。よく使う表現を自分用にストックしておくと、実務で困りません。

話す力だけは、独学での上達が難しい部分です。相手の発言を聞き取り、その場で応答する訓練は、実際に人とやり取りしないと積めません。海外拠点との会議で発言を求められる場面や、外資系の面接がこれにあたります。

薬剤師の方が持つ医療英語の土台は、この場面で強みになります。薬の名前や有害事象の表現をすでに知っているため、あとは「口に出して伝える」練習に集中できます。

服薬指導で使う医療英語の基礎は薬剤師の医療英語をまとめた記事で例文とともに整理しています。医療英語そのものの全体像は医療英語とは何かを解説した記事をご覧ください。

HLCAでは受講生の9割を医療従事者が占め、薬剤師の方も学ばれています(出典:HLCA公式FAQ)。職種や目標に合わせて教材を組み替えられるため、治験関連の場面に絞った練習も可能です。

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薬剤師からのCRA・CRC転身についてよくある質問

Q. 英語がまったくできなくても応募できますか?
国内治験を中心に扱う求人では、英語要件を設けていない場合もあります。ただし英文資料を読む場面は発生しやすいため、読む力だけでも準備しておくと入社後が楽になります。

Q. CRAとCRCではどちらが英語を使いますか?
一般的にはCRAのほうが英語を使う機会が多くなります。製薬企業やCROに所属し、グローバル試験の担当になれば海外拠点とのやり取りが発生します。CRCは医療機関で患者さんと接する業務が中心のため、日本語での対応が主になります。

Q. 調剤薬局の経験しかありませんが不利ですか?
薬学知識と患者さんへの説明経験は評価される要素です。未経験可の求人も見られますので、募集要項の応募条件を個別に確認してください。

Q. TOEICのスコアを先に上げるべきですか?
応募条件にスコアが明記されている企業を狙うなら必要になります。ただしスコアは業務で使う英語の一部しか測っていません。志望先が決まっているなら、その企業で実際に使う技能から準備するほうが近道です。

まとめ|必要な英語を見極めれば、転身の準備は具体的になる

CRA・CRCは、薬学知識と医療現場の経験が土台になる職種です。薬理や副作用の知識、記録を正確に残す習慣は、そのまま持ち込めます。

英語については「必要かどうか」ではなく「どの技能がどれだけ必要か」で考えてください。国内治験が中心なら読む力から、グローバル試験や外資系を目指すなら話す力まで含めた準備が要ります。担当領域が決まれば、必要な英語の輪郭ははっきりします。

読む力と書く力は独学でも進められますが、その場で応答する力だけは実際に話す練習でしか身につきません。HLCAは医療従事者専門の医療英語スクールとして、職種と目標に合わせた学習プランをご提案しています。キャリアの方向を迷っている段階でも構いませんので、無料カウンセリングでご相談ください。

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最終更新日:2026年9月1日

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この記事を書いた人
HLCA編集部

医療英語スクールHLCAの編集チーム。 医師・看護師・薬剤師・受付スタッフなど、医療従事者向けの医療英語学習を支援するメディアとして、現場で使える医療英単語・フレーズ・ロールプレイを発信しています。 記事制作では、医療現場でのコミュニケーション、患者対応、多職種連携の観点を重視し、医療英語を初めて学ぶ方にも分かりやすい内容を心がけています。