緩和ケアの医療英語|痛みの評価・本人の希望・家族への説明で使う英語表現

HLCA編集部
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緩和ケアの医療英語|痛みの評価・本人の希望・家族への説明で使う英語表現
海仲由美
この記事の監修者
HLCA代表 / 校長 / 正看護師
正看護師として日本で4年半の臨床経験。2013年フィリピン・セブ島で英語留学。2015年4月に医療従事者向け医療英語スクールHLCAを設立。医療従事者の英語学習・海外キャリア・医療通訳を支援。「女性のためのフィリピン留学協会」理事、国際看護学非常勤講師。

緩和ケアの現場では、痛みやつらさをやわらげることと同じくらい、本人の希望をていねいに聴き、それをチームで共有できるように記録・申し送りすることが重視されます。外国人の患者・家族に対しては、この繊細なやり取りと記録を英語で行うことになります。この記事では、緩和ケアでよく使う概念語の整理から、痛みの評価と記録、本人の希望(意思)の傾聴と記録、家族への説明、多職種での共有まで、場面ごとの英語をまとめました。

緩和ケアの英単語・概念を整理する

緩和ケアの英語は、症状緩和だけでなく「ケアの目標」や「本人の意思」に関わる概念語が多いのが特徴です。なかでも code status(蘇生方針)や goals of care(ケアの目標)は、看護師個人が判断する事項ではなく、本人の意思を中心に、必要に応じて家族・代理意思決定者と、医師を含む医療チームで確認するものです。英語ではどう表現されるかを知っておくと、記録やカンファレンスで内容を正確に理解できます。

English 日本語・補足
palliative care 緩和ケア
comfort care / comfort measures 苦痛緩和・安楽を重視するケア(治療中止と同義とは限らない)
pain relief / symptom management 痛みの緩和 / 症状マネジメント
quality of life (QOL) 生活の質
goals of care ケアの目標(チーム・本人で確認するもの)
advance care planning (ACP) 今後の医療・ケアの話し合い
code status / DNAR 蘇生方針 / 心肺停止時に心肺蘇生を行わない方針(医師を含むチームで、本人・家族と確認)
hospice ホスピス

これらの概念は国や施設によって運用や法的な扱いが異なります。実際の方針の確認・説明は医師・施設の手順に従い、看護師は記録と共有を正確に行う役割を担います。

痛み・つらさを評価し「記録に残す」英語

緩和ケアでは、痛みの強さだけでなく、それが睡眠・食事・気持ちにどう影響しているかまで聴き取り、数値や言葉で記録します。記録は次の勤務者や医師が状態を追えるように、客観的に書くのがポイントです。

評価でたずねる

  • On a scale from 0 to 10, where 0 is no pain and 10 is the worst pain you can imagine, how would you rate it now?(0から10で、0が痛みなし、10が想像できる最もひどい痛みだとすると、今はどのくらいですか?)
  • What does the pain feel like — dull, sharp, burning, or aching?(痛みはどんな感じですか。鈍い・鋭い・焼けるような・うずくような、どれですか?)
  • Is the pain keeping you from sleeping or eating?(痛みで眠れない、食べられないことはありますか?)

記録・申し送りに残す

  • Patient reports pain of 8 out of 10 in the lower back, described as dull and aching.(患者は腰部に10段階で8の痛みを訴え、鈍くうずくような痛みと表現。)
  • Pain disturbs sleep; reported some relief after the last dose.(痛みで睡眠が妨げられている。前回の与薬後にやや緩和との訴え。)

「患者の言葉(subjective)」と「観察した事実(objective)」を分けて書くと、チームに正確に伝わります。

本人の希望・大切にしたいこと(ACP)を聴き、記録する英語

緩和ケアでは、本人が何を大切にしたいかを尊重することが中心になります。答えを急かさず、開かれた質問でたずね、語られた希望はそのまま記録に残します(看護師が解釈を加えすぎないことが大切です)。

  • What matters most to you right now?(今、あなたにとって一番大切なことは何ですか?)
  • How much would you like to know about your condition?(ご自身の状態について、どこまでお知りになりたいですか?)
  • Is there anything you’re worried about or hoping for?(心配なこと、こうありたいと願うことはありますか?)

記録例:Patient states that spending time with family is most important to him.(患者は家族と過ごす時間が最も大切だと話している。)
予後や見通しをたずねられたときは、医療者の価値観を押しつけず、How much would you like to know?(どこまで知りたいか)を確認し、施設の方針に従って医師・チームに共有して対応します。看護師個人の判断で断定的な説明はしません。

家族への説明・寄り添いの英語表現

ご家族の不安に寄り添う言葉も、緩和ケアの大切な一部です。断定や約束ではなく、「できる限りのことをする」という姿勢を伝えます。

  • Our current focus is on comfort and quality of life, based on the care plan.(現在のケア計画では、安楽と生活の質を大切にしています。)
  • We’ll do our best to help keep her as comfortable as possible.(できるだけ楽に過ごせるよう、チームで努めます。)
  • Please take the time you need together. Let us know how we can support you.(どうぞ必要な時間を一緒にお過ごしください。支援できることがあればお知らせください。)

病状や見通しそのものの説明は医師が担うことが多いため、看護師は気持ちへの寄り添いと、医師の説明内容の確認・補足に徹すると安心です。

多職種で共有する英語|申し送り・カンファレンス

緩和ケアは多職種チームで行うため、痛みの状態・本人の希望・家族の様子を簡潔に共有します。記録や口頭申し送りでは、次の表現が役立ちます。

  • Goals of care were discussed with the patient and family by the physician and care team.(ケアの目標について、医師を含むケアチームが本人・家族と話し合った。)
  • Patient reports improved pain after prescribed medication; will continue to monitor and report changes.(処方薬後、患者は痛みの改善を訴えている。観察を継続し、変化を報告する。)
  • Patient expressed a wish to remain at home if possible.(患者は可能なら自宅で過ごしたいと希望している。)

PRN(必要時)や as needed などの略語・表現は施設によって運用が異なります。指示の解釈に迷うときは、自己判断せず医師・先輩に確認します。

ロールプレイ|痛みの評価から希望の傾聴・記録まで

痛みの評価、本人の希望の傾聴、そしてチームへの共有(記録)までを一連でつないだ会話例です。

Nurse: How are you feeling today?
(今日はお加減いかがですか?)
Patient: The pain in my back is hard to bear.
(背中の痛みがつらいです。)
Nurse: On a scale from 0 to 10, how would you rate it now?
(0から10で、今はどのくらいですか?)
Patient: About an eight. It’s a dull, aching pain.
(8くらいです。鈍く、うずくような痛みです。)
Nurse: Thank you for telling me. I’ll let the doctor know so the team can review how best to help with the pain.
(教えてくださってありがとうございます。チームで痛みへの対応を検討できるよう医師に伝えますね。)
Patient: I just want to spend time with my family.
(ただ家族と過ごしたいです。)
Nurse: That’s important. I’ll document that and share it with the care team so we can consider how best to support you.
(それは大切なことですね。記録してケアチームに共有し、どのように支援できるか一緒に考えます。)

このあと看護記録には、Pain 8/10 in the lower back (dull, aching). Patient states spending time with family is important to him. Reported to physician/care team. のように、事実と本人の言葉を簡潔に残します。

よくある質問

痛みの強さはどう英語で尋ね、記録しますか?

数値スケールがよく使われます。On a scale from 0 to 10 … how would you rate it? のように0と10の基準を示して尋ね、記録には Pain 8/10, described as dull and aching のように数値と性質を残します。痛みの性質は dull(鈍い)・sharp(鋭い)・burning(焼けるような)・aching(うずくような)で表現します。

本人や家族に配慮した言い回しを身につけるには?

緩和ケアでは、断定や指示よりも相手の気持ちに寄り添う表現が大切です。What matters most to you?(一番大切なことは何ですか)や We are here to support you and your family.(ご本人とご家族を支えます)のような言葉が安心につながります。痛みの確認・希望の傾聴・家族への声かけ・チームへの共有の各場面を分けて練習しておくと、現場で落ち着いて対応できます。

まとめ

緩和ケアの医療英語は、痛みの評価とその記録、本人の希望の傾聴と記録、家族への寄り添い、そして多職種での共有を、やわらかい言葉とともに正確に行うことが大切です。code status や goals of care といった方針に関わる事項は、医師・チームで確認・決定するものとして扱います。学び方に迷ったら、オンライン医療英語スクールの無料カウンセリングでご相談ください。

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この記事を書いた人
HLCA編集部

医療英語スクールHLCAの編集チーム。 医師・看護師・薬剤師・受付スタッフなど、医療従事者向けの医療英語学習を支援するメディアとして、現場で使える医療英単語・フレーズ・ロールプレイを発信しています。 記事制作では、医療現場でのコミュニケーション、患者対応、多職種連携の観点を重視し、医療英語を初めて学ぶ方にも分かりやすい内容を心がけています。