「看護師として、一度は海外で働いてみたい」
「ワーキングホリデーの対象年齢のうちに、イギリスでの生活を経験してみたい」
そう考えていても、英語力や現地での仕事、看護師資格の取り方が分からず、行動に移せない方もいるのではないでしょうか。
今回は、イギリスでヘルスケアアシスタントとして働きながら医療英語を学び、OET(Occupational English Test)に合格した看護師・リサさんの体験談を紹介します。
リサさんが現地の病棟で直面した英語の壁や、HLCAで行った学習、OET合格までの道のりを伺いました。
このメディアを運営するHLCAでは、看護師をはじめとする医療従事者向けに、オンラインで医療英語レッスンを提供しています。
- 日本の臨床経験からオーストラリア・イギリスへ渡ったリサさんの経歴
- イギリスでHCA(ヘルスケアアシスタント)として担当した業務内容
- IELTS6.5でも看護師の申し送りが聞き取れなかった理由
- 病棟での出来事をレッスンに持ち帰るHLCAでの医療英語・OET学習法
- 3回目の受験でOET全科目に合格するまでの道のり
この記事のもくじ
リサさんはHCAとして働きながらOETに合格
リサさんは日本の看護専門学校を卒業後、看護師として約4年間の臨床経験を積みました。
その後はオーストラリアでのワーキングホリデーを経てイギリスへ渡り、HCA(Healthcare Assistant:ヘルスケアアシスタント)として病院で勤務しています。
イギリスで働きながらHLCAで約1年間医療英語を学び、3回目の受験でOETの全科目に合格しました。
最終的にはイギリスの看護師登録に必要な試験をすべて通過し、NMC(Nursing and Midwifery Council:英国看護助産評議会)の登録番号であるPINを取得しています。
この記事では、資格取得後の働き方ではなく、イギリスの病院でHCAとして働きながら英語力を伸ばした過程を中心に紹介します。
「海外へ行けば英語は伸びる」と考えてオーストラリアへ
日本で約4年間看護師として働いた後、リサさんはオーストラリアのワーキングホリデーを経験しました。
現地ではアシスタントナースの資格を取得したものの、英語力が十分ではなく、思うように仕事のシフトを得られなかったといいます。
この経験から、「海外に行くだけで英語が話せるようになるわけではない」と実感し、英語を学び直しながらイギリス看護師を目指すことになりました。
イギリスでHCAとして病院勤務を開始

イギリスでリサさんが働いていたHCAは、日本の看護助手に近い職種です(制度上まったく同じものではありません)。
リサさんは主にBand 2のHCAとして働き、次のような業務を担当していました。
- 清潔ケア
- ベッドメイキング
- 食事介助
- 患者さんの移送や検査出し
- 患者さんの見守り
- 病棟内の環境整備
職場や研修状況によっては、より上位のBandで採血や血糖測定などを担当するHCAもいます。
上記はリサさんが勤務先で実際に担当した業務です。ただし、具体的な業務範囲は病院やNHS Trust、雇用形態によって異なります。
リサさんが特に大変だったと話すのが、「One-to-one」と呼ばれる患者さんの見守りです。
イギリスの医療現場では、身体拘束をできるだけ使用せず、患者さんのそばにスタッフを配置して安全を守ることがあります。
点滴やチューブを抜いてしまう可能性がある患者さんや、転倒リスクが高い患者さん、不穏が強い患者さんに長時間付き添う仕事です。
「12時間のシフトで、ずっと患者さんのそばにいなければならない日もありました。夜勤で患者さんが眠ってくれればよいのですが、日勤でずっと付き添うのは大変でした」
患者さんの安全を守りながら、英語で状態を理解し、周囲のスタッフと連携する必要があります。
リサさんにとって、体力だけでなく英語力も求められる仕事でした。
IELTS6.5でも看護師同士の申し送りが聞き取れなかった

HCAとして勤務していた当時、リサさんはIELTS6.5を取得していました。
日常生活だけでなく、病院でもある程度コミュニケーションが取れると思っていたそうです。
しかし、実際に病棟で働き始めると、看護師同士の申し送りや医療指示を十分に聞き取れませんでした。
リサさんが働いた病棟では、HCA同士だけで申し送りをするのではなく、看護師同士の申し送りを聞き、その中から自分の業務に必要な情報を拾う必要がありました。
たとえば、「今日は病室4を担当してください」と言われた場合、病室4にいる患者さんの情報を看護師の申し送りから理解します。
リサさんの勤務先では、HCAがすべての病状を把握することまでは求められていませんでした。
それでも、担当するケアのために次のような情報は聞き取る必要がありました。
- 何時まで食事を止める必要があるか
- 検査や手術の予定があるか
- 移動や離床時に注意が必要か
- 転倒や自己抜去のリスクがあるか
- ケアの際に配慮すべき事情があるか
「申し送りの場にいたので、当然聞いているよね、という前提で仕事が進みます。そこから自分に必要な情報を拾わなければいけないことが難しかったです」
老年病棟、外科、婦人科など、病棟が変われば聞き取るべき情報も変わります。
一般的な英会話ができても、疾患名、処置、検査、患者さんの状態を表す医療英語が分からなければ、必要な情報を選び取れません。
リサさんはこの経験から、一般英語と医療現場で必要な英語は異なると実感しました。
申し送りが聞き取れないときは担当看護師へ確認
病棟での英語が聞き取れないとき、リサさんは分かったふりをしないようにしていました。
申し送りが終わった後、担当看護師に次のような意図を伝え、必要な情報を確認していたそうです。
「Band 2のHCAとして最低限把握しておくべき内容を、もう一度確認させてもらえますか」
また、初めて勤務する病棟では、経験豊富なHCAに自分から声をかけていました。
病棟内の物品の場所、ケアで注意すべき患者さん、通常のケア以外に担当する仕事を、勤務の早い段階で教えてもらうためです。
英語力に自信がなくても、分からないことを確認し、安全に仕事をしようとする姿勢は伝えられます。
一方で、毎回周囲のスタッフに聞くだけでは、自分の英語力は伸びません。
リサさんは、現場で分からなかった会話をレッスンへ持ち帰り、次に同じ場面が来たときに対応できるよう準備していました。
病棟で心が折れた日にHLCAのレッスンを受講
リサさんがHLCAを知ったきっかけは、イギリス看護師資格の取得を支援する会社からの紹介でした。
当初の目的はOET対策です。
しかし、実際のレッスンでは、試験対策だけでなく病棟で困った場面について相談することも多かったといいます。
「病棟勤務で心が折れて帰ってきた日にレッスンを入れて、先生に『今日は予定していたレッスンではなく、病棟であった会話について相談したい』と話すこともありました」
講師と一緒に状況を整理し、「その場面では、どのような会話が想定されるか」「自分が伝えたかったことを英語でどう表現するか」を練習しました。
一般的な例文を覚えるだけではありません。
その日にリサさん自身が経験した会話を題材にし、次の勤務で使える表現に変えていきました。
「今日できなかったことの答えをもらえて、OETの勉強もできました。OET対策として受講しましたが、私の場合はOETだけのために使っていたわけではありません」
うまく話せなかった経験をそのままにせず、レッスンで振り返り、再び現場で試す。
リサさんにとってHLCAは、医療英語を学ぶ場所であると同時に、海外の医療現場で働き続けるための支えにもなっていました。
医療英語の基礎からOETスピーキング対策へ

リサさんは最初からOETの問題演習だけに取り組んだわけではありません。
まずはMedical Englishとして、次のような基礎的な内容を学びました。
- バイタルサイン
- 痛みの確認
- 症状の伝え方
- 患者さんへの説明
- 医療者同士の情報共有
基礎的な医療英語を一通り学んだ後、OETのスピーキング対策を本格的に始めています。
リスニングやリーディングは、一人でも問題を解き、反復練習できます。
一方で、スピーキングは患者役となる相手がいなければ、本番に近い練習ができません。
HLCAのレッスンでは、1回につき1〜2つのロールプレイに取り組みました。
事前に課題を確認し、相手から質問された内容にどう答えるか、自分なりのスクリプトを準備します。
レッスンでは実際に会話を行い、講師から次のようなフィードバックを受けました。
- 患者さんに伝わりやすい説明になっているか
- 医療者として自然な言い回しか
- 一方的に説明していないか
- 患者さんの不安や反応を確認できているか
- 会話の流れが途切れていないか
OETの科目ごとの勉強法は、こちらの記事で解説しています。
3回目のOETで全科目に合格
リサさんは、約1年間のHLCA受講を終えた後、3回目の受験でOETのスコアがNMCの英語要件を満たしました。
なかでもスピーキングは、受験した回すべてで合格基準を超えていたといいます。
「スピーキングだけは毎回合格していました。これはHLCAで練習した力だと思っています」
OETの学習を始めた頃と、1年間の受講を終えた頃では、病棟で理解できる医療英語の範囲も大きく変わりました。
現場で分からなかった表現を講師と確認し、繰り返しロールプレイをしたことが、リサさんの力になっています。
なお、2026年10月時点で、NMCが英語力の証明として認めている試験はIELTS AcademicとOETです。
OETでは、Listening・Reading・SpeakingでB以上、WritingでC+以上が基準となっています。
制度や必要スコアは変更される可能性があるため、受験前にはNMCの公式情報をご確認ください。
HCAとして働いたからこそ必要な英語が見えた
英国で看護師として働くためのNMC登録を先に進めたい場合、日本にいる間に申請準備や英語要件への対応、CBTの受験を進め、OSCEの受験段階でイギリスへ渡航する方法もあります。必要な手続きや順序は申請者によって異なるため、NMCの案内をご確認ください。
一方で、現地でHCAとして働くと、イギリスの医療文化や病棟で使われる英語を、実際の仕事を通じて知ることができます。
リサさんも、HCAとして働いたからこそ、自分に足りないものが一般英語ではなく、医療場面で情報を理解し、確認し、相手に伝える力だと分かりました。
日本人がイギリスで看護師になるまでの資格や手続きは、こちらの記事で解説しています。
リサさんから、これからイギリスを目指す看護師へのアドバイス
リサさんは、これからイギリスで働きたい看護師に向けて、「できるだけ早く英語の準備を始めてほしい」と話します。
自身も、海外に行けば自然に英語が身につくと考えていた時期がありました。
しかし実際には、病棟で使われる医療英語や申し送りを理解するには、現地で生活するだけでなく、分からなかった表現を振り返り、繰り返し練習する必要がありました。
また、イギリスのワーキングホリデー(Youth Mobility Scheme)の対象となる場合は、HCAとして働きながら、自分に合う環境かを確かめる方法もあります。この制度には年齢のほかにも条件があるため、英国政府の公式情報をご確認ください。
ただし、英語がほとんど分からない状態で渡航すると、研修や仕事探し、病棟でのコミュニケーションで苦労する可能性があります。
「現地に行ってから勉強すればよい」と考えるのではなく、日本にいる間から一般英語と医療英語の基礎を身につけておくことが大切です。
リサさん自身、英語力不足によって長い時間をかけて遠回りしたからこそ、これから目指す人には早い段階から準備を始めてほしいと考えています。
まとめ|海外の医療現場で働くための英語を、渡航前から準備しよう
リサさんは、英語力が十分でない状態で海外へ渡り、HCAとして働く中で、一般英語と医療英語の違いを実感しました。
病棟でできなかった会話をHLCAのレッスンへ持ち帰り、講師と練習して再び現場で試すことを繰り返し、OET合格までたどり着いています。
医療英単語や例文は、一人でも覚えられます。
一方で、患者さんの反応に合わせて説明を変えることや、申し送りから必要な情報を聞き取ること、医療者として自然な表現になっているかを確認することは、独学だけでは難しい部分です。
実際の医療現場では、患者さんの症状や要望、理解度が毎回異なります。
記事を読んで表現を覚えるだけでなく、臨床場面を想定したロールプレイを繰り返し、第三者から英語をチェックしてもらう学び方も選択肢になります。
HLCAでは、看護師をはじめ、さまざまな医療職種向けの医療英語教材を用意しています。
医療バックグラウンドを持つ講師と、患者対応、申し送り、問診、OETなど、目標に合わせた実践的なロールプレイができます。
「イギリスで働きたいけれど、何から始めればよいか分からない」
「今の英語力でOET対策を始めてよいのか相談したい」
そのような方は、無料カウンセリングで現在の英語力や目標を整理してみてください。
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※本記事はリサさんへのインタビューをもとに編集しています。制度、ビザ、試験要件、職務範囲は変更される可能性があります。申請や渡航前には、NMC、英国政府、雇用先などの公式情報をご確認ください。
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