看護師として働きながら、医療英語を武器に空港内クリニック、地域のクリニック、そしてクルーズ船看護師と、活躍の場を広げてきたRさん。
今回は、HLCAで学んだ英語がどのように現場で生きているのか、そして医英検3級合格までの道のりについて伺いました。
- ICUで英語圏の患者に「何もできない」と感じたことから、医療英語を学ぶ決意をした経緯
- ロールプレイ中心の看護英語コーチング(3ヶ月)で「現場で使える英語」が身についた過程
- 空港内クリニック、大阪のクリニック、クルーズ船看護師と、医療英語で広がったキャリア
- 複数の仕事を掛け持ちしながら医英検3級に合格した、単語力重視の勉強法
この記事のもくじ
ICUで感じた「何もできない」という悔しさから、医療英語を学ぶ決意へ

Rさんは看護専門学校を卒業後、循環器の病棟からキャリアをスタートし、その後ICUに勤務していました。英語との出会いは小学3年生から6年生まで通ったECCで、中学に入ってから「ちょっと得意かもしれない」と感じたものの、高校卒業後は英語に触れる機会がないまま看護師になったといいます。
転機になったのは、ICUで英語圏の患者を担当したときの経験でした。人工呼吸器を使用し、気管切開もしていて会話が難しい状態の患者で、しかも英語しか話せない相手だったといいます。日本語での口頭コミュニケーションすら難しい状況に加えて英語がまったく通じず、「何もできない」ということを強く感じたそうです。
その後、コロナ禍で重症化した外国人患者の対応にも直面し、「医療の世界は狭いのに、英語ができないと対応できる幅が限られてしまう」という思いから、英語を勉強しようとカナダに渡ることを決意しました。
カナダへはワーキングホリデーとして渡航しましたが、ビザの手続きでスチューデントビザからワークビザへの切り替えがうまくいかず、結果として一般英語の語学学校に半年ほど通う形になりました。医療英語には触れられず、現地では看護学生の友人とNCLEXの教材を図書館で読み合う程度だったといいます。
帰国後、「一般英語はできるようになったが、看護師の仕事と英語を両方掛け合わせたいと思っても、それを実現できるほどの英語力がなかった」ことが、HLCA入会のきっかけになりました。当時は「医療英語を学ぶ場所がない」「勉強のガイドラインが欲しい」という悩みを抱えていたそうです。
ロールプレイで身についた「現場で使える英語」

Rさんが選んだのは、看護英語コーチングコース(NECC)でした。(現在は提供を終了しているコースです。現在は内容をリニューアルしコーチングプレミアムコースとして提供しています。)
「だらだらやってもしょうがない」と、3ヶ月でやり切る集中コースを選んだといいます。
コース内では、担当講師によるロールプレイテストが定期的に行われました。バイタルサインの取り方から始まり、NRS(痛みの評価スケール)、アナムネ(既往歴の聴取)と、扱えるテーマが少しずつ積み上がっていく形式です。Rさんは「これが一番身についた」「HLCAを卒業した後も、ここで学んだことが生きている」と振り返っています。
コーチングを担当したのは「ゆうこさん」(現在HLCAヘッドコーチ)で、予習の負担についても「和訳でざっと内容をつかむだけでいい」とアドバイスを受け、気持ちが楽になったといいます。苦手だったL(エル)の発音についても、毎回指摘を受けたことで「HLCAが終わった後も意識できるようになった」そうです。
コーチング期間中の変化として、CASECのスコアが665点から785点へ伸びたことも挙げられていました。
空港内クリニックから、時給が上がった大阪のクリニックへ
NECC卒業後、最初の転職先は関西国際空港内のクリニックでした。応募時に求められた英語力の条件は特になく、看護師免許があれば良いという状況だったといいます。しかし実際に働き始めると、他のスタッフに英語を話せる人がおらず、受付対応、問診、診察の通訳、服薬説明まで、外国人患者に関わる業務を一人で担当することになりました。一方で、英語ができることによる時給の変化は「なかった」とのことです。診療できる疾患の幅も限られたクリニックだったため、「もっといろいろな疾患を見られるところに行こう」と、次の転職を決めました。
次の転職先は、大阪にあるクリニックでした。外国人患者を積極的に受け入れる方針の院長のもとで、看護師として勤務しています。このクリニックでは、英語ができることを理由に時給を上げてもらえたといいます。在日外国人や旅行者など、英語での対応が必要な場面は空港クリニックより多く、特に発熱外来では日本語が得意な在日外国人でも「英語のほうが楽」というケースがあったそうです。電話対応でも英語が必要になる場面があり、「ここでも新しい難しさを学ばせてもらっている」と話しています。
患者からのGoogleクチコミで名指しで感謝の言葉をもらうこともあり、「英語ができる部分に助けられている」と感じているそうです。
HLCAのSlackで見つけたクルーズ船看護師の仕事
大阪のクリニックで勤務する傍ら、Rさんはクルーズ船看護師(シップナース)としても活動しています。きっかけは、HLCAのSlackに流れていた求人情報でした。
クルーズ船が寄港した際、下船する外国人乗客に付き添って現地の病院を受診する仕事で、問診票の翻訳、診察時のサポート、受診後の結果をクルーズ内のメディカルルームへ報告するまでを担当します。眼鏡の破損から、高齢者の転倒による頭部の検査、内視鏡検査への付き添いまで、対応する内容は様々だといいます。
船に乗るクルー(乗組員)は全員が外国籍で、船内の公用語は英語です。医師が日本語しか話せない場合は通訳も担当します。
「この患者さんは人生で一度きりの受診かもしれない」という意識で、旅行を楽しめるように、また不安を抱えている乗客には声をかけるようにと、細やかな気配りを大切にしていると話していました。
単語力が合格を分けた、医英検3級

複数の仕事を掛け持ちしながら、Rさんは医英検3級にも合格しています。試験勉強は本格的には試験の2ヶ月前から始め、隙間時間を医療英語の学習に充てていたそうです。
印象的だったのは、公式問題集のリスニング問題数の少なさに気づいていた点です。「問題数が少なすぎて、この1冊だけでは全てのジャンルを網羅しきれない」と考え、YouTubeの教材も併用してリスニング対策を補強していました。
合格の決め手について尋ねると、「圧倒的に単語の勉強」という答えが返ってきました。文字を見て分かる、聞いて分かるだけでなく、「口に出せる」ところまで、音を意識して覚えることを重視していたそうです。問題集の解説作りにも工夫があり、4択の選択肢すべてに自分で解説を書き加えることで理解を深めていたといいます。
また、クルーズ船やクリニックでの臨床経験が、医英検のリスニング対策にもつながったと振り返っています。特に診断書に使う正式な医療用語(例えば「high blood pressure」ではなく「hypertension」)は、実際の現場で使う英語と重なる部分が多かったそうです。
最後に、これから英語を使って働きたいと考えている看護師へのメッセージを聞きました。「英語を使って看護師の仕事ができるようになると、本当に自己肯定感が上がります」。そして、「頑張れ」というより「楽しく、長く続けられる勉強方法を見つけること」が一番大切だと話していました。1日に少しずつでも365日続けるほうが、まとまった時間を短期間だけ頑張るよりも力がつくといいます。意図的に「勉強しない日」を作ることも、続けるための工夫の一つだそうです。
自分がやりたいと思った今が一番のチャンスだと、ずっと自分に言い聞かせてきたというRさん。今後の目標については、「英語力は落とさず、ライフスタイルが変わっても英語を使って看護師を続けられる道を探したい」と語ってくれました。
まとめ|医療英語は、現場に出てからも力になり続ける
Rさんの歩みは、空港内クリニック、外国人患者さん受け入れを強化しているクリニック、そしてクルーズ船看護師と、医療英語を軸にキャリアの幅を広げてきた例です。ロールプレイで身につけた実践的な表現、単語力を重視した試験対策、そして現場での経験が、それぞれを支え合っている様子がうかがえました。
英語を使って働きたいと考えている看護師にとって、今回のお話が一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。
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