薬剤師がアメリカで働くには|FPGEC認証・NAPLEX・州免許の3段階と英語要件

HLCA編集部
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薬剤師がアメリカで働くには|FPGEC認証・NAPLEX・州免許の3段階と英語要件
海仲由美
この記事の監修者
HLCA代表 / 校長 / 正看護師
正看護師として日本で4年半の臨床経験。2013年フィリピン・セブ島で英語留学。2015年4月に医療従事者向け医療英語スクールHLCAを設立。医療従事者の英語学習・海外キャリア・医療通訳を支援。「女性のためのフィリピン留学協会」理事、国際看護学非常勤講師。

「日本で薬剤師として働いているが、アメリカでも薬剤師として働きたい」と考えたとき、まず気になるのが日本の薬剤師免許がそのまま通用するかという点です。調べてみると、FPGECという聞き慣れない認証や、NAPLEX・MPJEといった複数の試験名が出てきて、どこから手をつければいいのか分かりにくいところです。

結論から言うと、日本の薬剤師免許でそのままアメリカの薬局に就職することはできません。ただしNABP(National Association of Boards of Pharmacy)が定めるFPGEC認証を起点に、インターン実務・NAPLEX・州法試験(MPJE)という段階を踏めば、アメリカで薬剤師として登録する道は開かれています。この記事では、NABPの公式情報にもとづき、FPGEC認証・NAPLEX・州免許取得までの3段階の流れと、英語要件を整理します。

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日本の薬剤師免許はアメリカで使える?結論と全体像

薬剤師の免許はアメリカ国内で発行される単一の国家資格ではなく、州ごとの薬事委員会(Board of Pharmacy)が管轄しています。そのため日本の薬剤師免許を持っていても、それだけでアメリカの薬局や病院で薬剤師として働くことはできません。まずNABPによるFPGEC(Foreign Pharmacy Graduate Examination Committee)認証を受け、そのうえで働く予定の州の薬事委員会に登録する必要があります。

全体の流れは大きく3段階に分かれます。

  1. FPGEC認証:教育・免許の審査、TOEFL iBTの合格、FPGEE(Foreign Pharmacy Graduate Equivalency Examination)の合格という3要素を満たし、アメリカで薬剤師として働くための教育水準にあることを認定してもらう
  2. インターン実務とNAPLEX:FPGEC認証後、州が定めるインターン実務を経て、NAPLEX(North American Pharmacist Licensure Examination)に合格する
  3. 州法試験(MPJE)と州への登録:働く予定の州の薬事委員会に対して、MPJE(Multistate Pharmacy Jurisprudence Examination)を含む登録申請を行う

ここで見落とされやすいのが、インターン実務の必要時間や登録の細かい要件は州ごとに薬事委員会が個別に定めているという点です。FPGEC認証を進めながら、並行してどの州で働くかを決め、その州の要件を早めに確認しておくと準備がスムーズになります。

もう一つ注意したいのは、こうした制度は改定されるということです。数年前の体験談やブログの情報が現行制度と食い違っていることは珍しくありません。最新の情報は必ずNABP・各州の薬事委員会の公式ページで確認してください。

FPGEC認証とは|教育審査・英語試験・FPGEE試験の3要素

FPGEC認証の3要素をイメージした写真

FPGEC認証は、次の3要素で構成されています(出典:NABP公式・Foreign Pharmacy Graduate Certification)。

要素 内容 ポイント
①教育・免許の確認 出身校の薬学課程と免許・登録状況を、Educational Credential Evaluators(ECE)経由で評価 TOEFL iBTの合格スコアを含む必要書類がNABPに揃ってからの審査は約12週間が目安(保証はされない)
②TOEFL iBT合格 NABPが定めるセクション別スコア基準を満たす 基準は次のH2で解説
③FPGEE合格 薬学の知識を問う筆記試験 合格最低スコアは75点・試験は年1回実施

この3要素の中で特に注意したいのが期限です。FPGECへの申請後は2年以内にプログラムへの受入要件を満たす必要があり、そのうえでFPGEEの受験資格が認められた日から2年以内に、年1回実施のFPGEEを受験・合格する必要があります(出典:NABP公式・FPGEC Certification Program)。FPGEEは年1回しか実施されないため、申請のタイミングを誤ると受験できる回数が限られてしまいます。学習計画を立てる際は、この「2種類の2年・年1回」という制約を念頭に置いてスケジュールを組む必要があります。

受験料やECEの評価料については、NABP公式ページの本文で具体的な金額を確認できませんでした。申請前に必ずNABP・ECEそれぞれの公式サイトで最新の料金を確認してください。

FPGEEの出題内容と受験の流れ

FPGEEは、FPGEC認証の3要素のうち最後に位置づけられる筆記試験です。前のH2で触れたとおり、合格最低スコアは75点で、試験は年1回しか実施されません(出典:NABP公式・FPGEC Certification Program)。

FPGEEを受験するまでの流れを整理すると、次のとおりです。

  1. FPGECへの申請書類を提出する
  2. ECEによる教育・免許の評価を含む、NABPの申請書類審査を受ける(必要書類が揃ってから約12週間が目安)
  3. TOEFL iBTの基準スコアを満たす(FPGEEの受験資格を得るには、TOEFL iBT合格が先に必要)
  4. NABPからFPGEEの受験資格が通知される
  5. 受験資格が認められた日から2年以内に、年1回のFPGEEを受験する

年1回しか実施されないという制約上、1回目の受験で不合格になった場合、次の受験機会まで1年待つことになります。さらに申請受理日から2年という期限があるため、実質的に受験できる回数は限られます。書類提出のタイミングを早め、余裕を持ったスケジュールで臨むことが重要です。

試験の出題数・試験時間・出題科目の詳細な配点は、NABP公式ページの本文からは確認できませんでした。最新の試験概要はNABP公式サイトで確認してください。

英語要件|TOEFL iBTのセクション別基準

TOEFL iBTの英語要件をイメージした写真

FPGEC認証の英語要件はTOEFL iBTのみが対象で、NABPは2026年1月21日以降の受験分について、次のセクション別スコア基準を定めています(出典:NABP公式・FPGEC Certification Program)。

セクション 必要スコア
Reading 4
Listening 5
Writing 4.5
Speaking 5

4セクションすべてで最低基準を満たす必要があります。基準を下回るセクションが1つでもあると、FPGEEの受験資格を得られません。適用される基準はTOEFL iBTの受験日によって決まるため、申請時期ではなく受験日を基準に確認してください。特にSpeakingは対策が後回しになりやすいセクションのため、早い段階で自分の弱点を把握しておくことをおすすめします。

この基準は2026年1月21日以降の受験分に適用されるものです。申請時期によって適用される基準が変わる可能性があるため、受験前に必ずNABPの最新ページで数値を確認してください。

認証後のステップ|インターン時間・NAPLEX・州法試験(MPJE)

FPGEC認証を取得した後は、志望する州が定めるインターン実務・NAPLEX・州法試験等の要件を満たしていきます。必要な順序や受験資格は州ごとに異なるため、詳細は志望州のBoard of Pharmacyで確認してください。

  1. 州が定めるインターン実務を行う(必要時間は州により異なる)
  2. NAPLEXを受験する
  3. 州法試験を受験する(州によりMPJE、UMPJE、独自の法試験があり、法試験を求めない州もある)
  4. 州の薬事委員会に免許登録を申請する

NAPLEXは225問・6時間のコンピュータ上の試験で、合格・不合格のみが通知されます。合格するまで最大5回まで受験が可能です(出典:NABP公式・Take the NAPLEX Exam)。受験料や合格基準となるスケールスコアは、NABP公式ページの本文からは確認できなかったため、本記事では具体的な金額・スコアの記載を避けています。最新の受験料・出題形式はNABP公式サイトで確認してください。

州法試験は、多くの州でMPJE(Multistate Pharmacy Jurisprudence Examination)が採用されていますが、2026年4月以降、複数の州がUMPJE(Uniform MPJE)へ移行を進めています。また、独自の法試験を課す州や、法試験そのものを求めない州もあります(出典:NABP公式・州別のMPJE要件案内)。つまり複数州での就労を考えている場合、州ごとに求められる試験が異なる可能性があります。どの州で働くかを早めに決め、その州のBoard of Pharmacyで最新の要件を確認しておくことが、無駄な受験を避けるポイントになります。

インターン実務の必要時間は州により異なり、本記事では具体的な時間数を記載していません。志望する州の薬事委員会の公式ページで、最新の必要時間を確認してください。

州によって異なる要件と、州選びの考え方

ここまで見てきたとおり、FPGEC認証・NAPLEXまではアメリカ全体で共通の枠組みですが、その先のインターン実務時間・州法試験・登録手続きの細かい条件は州ごとに薬事委員会が個別に定めています。

州選びを考えるときに押さえておきたいポイントは、次のとおりです。

  • インターン実務の必要時間は州により異なる
  • 州法試験は州ごとにMPJE・UMPJE・独自試験のいずれかであり、出題内容も異なる
  • 州の薬事委員会によって登録申請の書類・手続きが異なる

そのため「アメリカで薬剤師になる」という目標を、最初から特定の州を意識せずに進めると、後から要件の違いに戸惑うことがあります。FPGEC認証を進める段階で、家族の事情や就労ビザのサポート状況、薬局・病院の求人状況などをふまえて、候補となる州をいくつか絞り込んでおくと、その後のインターン先探しや州法試験対策がスムーズになります。

州ごとの詳しい要件は、必ず各州の薬事委員会(Board of Pharmacy)の公式ページで確認してください。二次情報や体験談だけで判断すると、制度改定後の古い情報に基づいて準備してしまうリスクがあります。

働き始めるまでの英語学習の進め方

アメリカで働くための英語学習をイメージした写真

FPGEC認証の英語要件であるTOEFL iBTのスコアを取ることと、実際にアメリカの薬局で患者さんに服薬指導ができることは、求められる力が異なります。TOEFL iBTはアカデミックな英語力を測る試験である一方、現場で薬剤師に求められるのは、処方内容や副作用を患者さんに分かりやすく説明する実践的な英語力です。

現場で薬剤師に求められる英語には、次のような場面があります。

  • 処方内容と用法用量を患者さんに説明する
  • 副作用の可能性と、症状が出たときの対応を伝える
  • 併用薬やアレルギーの有無を聞き取る
  • 医師や看護師と処方について確認を取る

会話例を3つ挙げます。

Please take this medication twice a day after meals.
このお薬は1日2回、食後に服用してください。

Have you experienced any allergic reactions to medications before?
これまでにお薬でアレルギー反応が出たことはありますか。

If you notice any unusual symptoms, please contact your doctor or pharmacist.
何か普段と違う症状に気づいたら、医師または薬剤師にご連絡ください。

TOEFL iBT対策を進めながら、こうした現場の英語表現を並行して身につけておくと、FPGEC認証取得後のインターン実務にもスムーズに移行しやすくなります。服薬指導で使う具体的な英単語やフレーズは薬剤師の医療英語をまとめた記事で例文とあわせて整理しています。学習の進め方全般については薬剤師の英語勉強法の記事もご覧ください。

HLCAでは薬剤師向けの医療英語レッスンを提供しています。TOEFL iBT対策そのものではなく、その先にある「現場で患者さんに服薬指導ができる英語力」まで見据えて、学習プランをご提案できます。

薬剤師のアメリカ就労についてよくある質問

Q. FPGEC認証と州への登録は、どちらから始めればよいですか?
FPGEC認証の申請から始めるのが一般的です。ただしインターン実務の要件やMPJEの内容は州ごとに異なるため、認証を進めながら早い段階で働きたい州を決めておくと、その後の準備で迷わずに済みます。

Q. FPGEEに落ちた場合、いつ再受験できますか?
FPGEEは年1回しか実施されないため、次回の年次試験まで待つ必要があります。さらにFPGEEの受験資格が認められた日から2年以内に合格する必要があるため、早めの申請と対策が重要です。

Q. NAPLEXは何回まで受験できますか?
NABPの公式情報によれば、合格するまで最大5回まで受験できます。ただし受験のたびに追加の準備期間や費用がかかるため、1回で合格できるよう対策しておくことをおすすめします。

Q. 州によって必要なインターン時間はどう調べればよいですか?
インターン実務の必要時間は州ごとに薬事委員会が個別に定めています。志望する州が決まったら、その州の薬事委員会の公式ページで最新の必要時間を確認してください。

Q. 年収やビザについても教えてください。
年収の水準や就労ビザの取得要件は本記事の対象外です。ビザに関する公式情報はUSCIS(アメリカ合衆国市民権・移民局)の公式サイトでご確認ください。

まとめ|FPGEC認証を起点に、州を決めて逆算する

日本の薬剤師免許でそのままアメリカの薬局に就職することはできませんが、NABPが定めるFPGEC認証・インターン実務・NAPLEX・州法試験(州によりMPJE・UMPJE・独自試験)という段階を踏めば、アメリカで薬剤師として働く道は開かれています。FPGEC認証は教育審査・TOEFL iBT・FPGEEの3要素で構成され、特にFPGEEは「受験資格通知後2年以内・年1回実施」という制約があるため、早めのスケジュール管理が欠かせません。

NAPLEX以降は州ごとの要件(インターン実務時間・MPJE・登録手続き)が絡んでくるため、認証を進める段階から働きたい州を意識しておくことが、その後の準備をスムーズにするポイントです。TOEFL iBTのスコアを取ることと、現場で患者さんに服薬指導ができる英語力は別の課題として、両方を準備しておく必要があります。

HLCAは医療従事者専門の医療英語スクールです。TOEFL iBT対策そのものではなく、その先にある「現場で患者さんに服薬指導ができる英語力」まで見据えて、学習プランをご提案できます。働く州や試験の準備順序に迷っている段階でも構いませんので、無料カウンセリングでご相談ください。

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最終更新日:2026年9月11日

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この記事を書いた人
HLCA編集部

医療英語スクールHLCAの編集チーム。 医師・看護師・薬剤師・受付スタッフなど、医療従事者向けの医療英語学習を支援するメディアとして、現場で使える医療英単語・フレーズ・ロールプレイを発信しています。 記事制作では、医療現場でのコミュニケーション、患者対応、多職種連携の観点を重視し、医療英語を初めて学ぶ方にも分かりやすい内容を心がけています。