薬剤師がオーストラリアで働くには|OPRA®(旧KAPS)から登録までの流れと英語要件

HLCA編集部
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薬剤師がオーストラリアで働くには|OPRA®(旧KAPS)から登録までの流れと英語要件
海仲由美
この記事の監修者
HLCA代表 / 校長 / 正看護師
正看護師として日本で4年半の臨床経験。2013年フィリピン・セブ島で英語留学。2015年4月に医療従事者向け医療英語スクールHLCAを設立。医療従事者の英語学習・海外キャリア・医療通訳を支援。「女性のためのフィリピン留学協会」理事、国際看護学非常勤講師。

「日本の薬剤師免許を持ったまま、オーストラリアで薬剤師として働きたい」と考えたとき、まず立ちはだかるのが試験制度の複雑さです。「KAPS」と「OPRA」の両方が出てきて、どちらが今の正式な試験なのか分かりにくいという声をよく聞きます。

結論から言うと、日本の薬剤師免許だけでは、オーストラリアで登録薬剤師として業務を行うことはできません。ただしAustralian Pharmacy Council(APC)が実施するOPRA®(Overseas Pharmacist Readiness Assessment)に合格し、Pharmacy Board of Australiaへの登録手続きを進めれば、オーストラリアで薬剤師として働く道は開かれています。この記事では、2025年に大きく変わったKAPSからOPRA®への移行の経緯、試験内容、英語要件、登録までの流れを公式情報にもとづいて整理します。

日本の薬剤師免許はオーストラリアで使える?結論と全体像

薬剤師の資格制度は国ごとに独立しています。オーストラリアで薬剤師として登録するには、Australian Pharmacy Council(APC)が実施するEligibility Checkを通過し、OPRA®試験に合格したうえで、Pharmacy Board of Australiaへの登録申請を行う必要があります。

全体の流れは大きく2段階に分かれます。

  1. APCによるSkills Assessment:Eligibility Check(適格性審査)とOPRA®試験の2段階を経て、オーストラリアで薬剤師として働くための知識レベルにあることを評価してもらう
  2. Pharmacy Board of Australiaへの登録:Ahpra(Australian Health Practitioner Regulation Agency)経由で、英語要件を満たしたうえで登録を申請し、監督下実務期間を経て正規登録に至る

ここで見落とされやすいのが、APCのEligibility Checkの段階では英語能力証明が不要という点です(出典:Australian Pharmacy Council公式・Knowledge Stream)。英語要件はこの後、Pharmacy Board of Australiaへの登録段階で別途課されます。「試験に合格すればすぐ働ける」わけではなく、試験ルートと英語要件、登録手続きは別々に準備を進める必要があります。

もう一点、この制度は2025年に変わったばかりです。次の章で説明するとおり、旧試験のKAPSは2024年11月で終了し、2025年3月から新試験OPRA®に切り替わりました。個人ブログや数年前の体験談では、まだ「KAPS」という名称で書かれていることが多く、現行制度と食い違っている場合があります。最新の情報は必ずAPC・Ahpra・Pharmacy Board of Australiaの公式ページで確認してください。

KAPSからOPRA®へ|2025年に変わった海外薬剤師の評価制度

オーストラリアで海外薬剤師の知識を評価する試験は、2025年に名称・出題形式ともに刷新されました。APC公式の発表によると、旧試験のKAPS(Knowledge Assessment of Pharmaceutical Sciences)は2024年11月の実施を最後に終了し、2025年3月から新試験OPRA®(Overseas Pharmacist Readiness Assessment)が開始されています(出典:Australian Pharmacy Council公式・APC announces re-designed KAPS exam)。

時期 試験 状態
〜2024年11月 KAPS 最終実施(終了)
2025年3月〜 OPRA® 現行試験として開始

OPRA®はKAPSの単純な名称変更ではなく、出題領域が改訂され、therapeutics(薬物治療学)と知識の実践的な応用がより重視される内容に刷新されています。また試験の構成も、複数ペーパーに分かれていたKAPSから、単一ペーパーの試験に整理されました(出典:同上)。

このメディアでも過去の記事でKAPSの名称のまま案内していた箇所があり、2026年8月に訂正しています。海外薬剤師の資格情報は制度改定のスピードが速い領域のため、体験談やまとめサイトの情報を参照する際は、必ず公開・更新日を確認し、最終的にはAPCの公式ページで裏を取ることをおすすめします。

OPRA®試験の内容と受験までの流れ|適格性審査・出題形式・受験料

OPRA®のSkills Assessmentは、次の2段階で構成されています(出典:Australian Pharmacy Council公式・Knowledge Stream)。

段階 内容 ポイント
①Eligibility Check
(適格性審査)
出身校の薬学資格などがOPRA®の受験要件を満たすかを審査 この段階では英語能力証明の提出は不要
②OPRA®試験 120問・多肢選択式のコンピューター試験。試験時間は150分(2時間30分) 単一ペーパー・結果は約4週間で通知

OPRA®試験は120問を150分で解く形式で、KAPSと比べて出題領域がtherapeuticsと知識の実践的な応用に重点を置くよう改訂されています(出典:Australian Pharmacy Council公式・OPRA Exam Guide and Sample Content)。結果は約4週間で通知され、合否に加えて出題領域別のフィードバックも示されますが、素点や得点率は開示されません。公式のExam GuideとSample Contentを使って、出題範囲と形式に沿った準備を進めることが重要です。

受験料は公式の手数料表(2026年8月時点)で次のとおり案内されています。Eligibility CheckがAUD 810/申請、OPRA®試験がAUD 2,245/回です(出典:Australian Pharmacy Council公式・Skills Assessment Fees)。手数料は改定されることがあるため、申請前に必ず公式の最新の手数料表を確認してください。

なお、Eligibility Checkの段階で英語能力証明が不要とされているのは、あくまで「この審査そのものに英語スコアの提出が求められない」という意味です。英語要件自体が免除されるわけではなく、次の章で説明するとおりPharmacy Board of Australiaへの登録段階で別途必要になります。

英語要件|IELTS・OET・PTE・TOEFLのどれで満たすか

オーストラリアで薬剤師として登録するには、APCのSkills Assessmentとは別に、Pharmacy Board of AustraliaのEnglish language skills registration standard(英語能力に関する登録基準)を満たす必要があります。この基準では、IELTS Academic・OET・PTE Academic・TOEFL iBTなど複数の試験が英語能力証明として認められています。

基準は更新されるため、申請前に必ずPharmacy Board of Australiaの登録基準ページで最新の数値を確認してください。基準スコアの数値を誤って案内することを避けるため、本記事では具体的なスコアの断定は行いません。IELTS Academic・OET・PTE Academic・TOEFL iBTのいずれかが認められており、各試験区分(Reading/Writing/Listening/Speaking)ごとの基準スコアは、Pharmacy Board of Australiaの登録基準ページで必ず最新の数値をご確認ください。

英語要件を確認するときに押さえておきたいポイントは、次の2点です。

  • 受け入れられる試験の種類は複数あり、自分の得意・不得意に応じて選べる場合がある
  • 基準スコアは試験区分(技能)ごとに設定されていることが一般的で、総合点だけでなく各区分の最低ラインをすべて満たす必要がある制度設計になっていることが多い

OET(Occupational English Test)は医療従事者向けに設計された英語試験です。IELTSやTOEFL iBTのような汎用的な試験を選ぶか、OETのような医療特化型の試験を選ぶかは、対策スタイルや得意分野によって検討するとよいでしょう。

試験合格後の登録プロセス|暫定登録・監督下実務・正規登録

OPRA®試験に合格したあとも、すぐに独立して薬剤師業務を行えるわけではありません。Ahpra経由でPharmacy Board of Australiaに登録申請を行い、監督下実務(supervised practice)の期間を経て、正規登録(General Registration)に進む流れになっています(出典:Australian Pharmacy Council公式・Knowledge Stream)。

この監督下実務の具体的な必要期間・時間数は、基準が更新されるため本記事では断定しません。「OPRA®試験に合格=即独立して勤務できる」という誤解を避けるため、期間や時間数の数値は記載せず、Ahpra・Pharmacy Board of Australiaの公式ページで申請段階に確認することをおすすめします。

全体の流れを整理すると、次のようになります。

  1. APCのEligibility Check(適格性審査)に申請する
  2. OPRA®試験を受験し、合格する
  3. Pharmacy Board of Australiaの英語要件を満たす(IELTS・OET・PTE・TOEFL iBTのいずれかで基準スコアを取得)
  4. Ahpra経由でPharmacy Board of Australiaに登録を申請し、暫定的な登録区分で監督下実務を行う
  5. 監督下実務の要件を満たし、正規登録(General Registration)に進む

試験合格から正規登録までは複数のステップがあり、それぞれに申請・審査の時間がかかります。試験対策だけでなく、登録全体のスケジュールを見ながら準備を進めましょう。

申請から就労までの期間と費用の考え方|公式で示されている範囲

申請から就労開始までの正確な期間は、個人の状況(書類の準備状況、試験の受験回数、監督下実務先の確保など)によって変わるため、公式ページでも一律の期間として明示されていません。本記事では、公式に確認できる範囲で費用が発生する場面を整理します。

受験料は前章のとおりEligibility CheckがAUD 810/申請、OPRA®試験がAUD 2,245/回です。金額を確認する際は、必ず申請直前に公式の最新の手数料表をチェックしてください。

費用が発生する主な場面を整理すると、次のとおりです。

  • APCのEligibility Check申請時
  • OPRA®試験の受験時(不合格の場合は再受験のたびに発生)
  • 英語試験(IELTS・OET・PTE・TOEFL iBTなど)の受験料
  • Pharmacy Board of Australiaへの登録申請時

試験を複数回受験することになると、その分費用がかさむ構造になっています。公式のExam GuideとSample Contentで出題形式を確認し、計画的に準備を整えることが、結果的に費用と時間の節約につながります。

英語要件と試験対策を両立する学習の進め方

オーストラリアでの薬剤師登録を目指すうえで、OPRA®試験の対策とPharmacy Board of Australiaの英語要件対策は、性質の異なる2つの課題です。OPRA®は薬学の専門知識を英語で問う試験であるのに対し、英語要件(IELTS・OET・PTE・TOEFL iBTなど)は英語運用能力そのものを測る試験です。どちらか一方だけを先に仕上げるのではなく、並行して準備を進めることをおすすめします。

特に意識しておきたいのが、試験でスコアを取ることと、現場で患者さんに服薬指導ができることは、求められる力が異なるという点です。現場で薬剤師に求められる英語には、次のような場面があります。

  • 処方内容と用法用量を患者さんに説明する
  • 副作用の可能性と、症状が出たときの対応を伝える
  • 併用薬やアレルギーの有無を聞き取る
  • 薬局のスタッフや医師・看護師と処方について確認を取る

会話の一例を挙げると、次のようなやり取りがあります。

Take this medication after breakfast and dinner.
このお薬は朝食後と夕食後に服用してください。

OETのような医療現場の場面設定を取り入れた試験を選ぶ場合、対策を進める過程がそのまま現場での実践練習にもつながりやすくなります。一方でIELTSやTOEFL iBTのような汎用的な試験を選ぶ場合は、試験対策とは別に、薬局の現場で使う語彙・表現の練習を並行して進める必要があります。

薬剤師のオーストラリア就労についてよくある質問

Q. KAPSとOPRA®は何が違うのですか?
KAPSはオーストラリアの海外薬剤師向け評価試験の旧名称で、2024年11月の実施を最後に終了しました。2025年3月からはOPRA®(Overseas Pharmacist Readiness Assessment)に切り替わっており、出題領域が改訂され単一ペーパーの試験に整理されています。現在申請する場合はOPRA®が対象です。

Q. OPRA®試験のEligibility Checkの段階で英語スコアは必要ですか?
Eligibility Checkの段階では英語能力証明の提出は不要です。ただし英語要件そのものが免除されるわけではなく、後続のPharmacy Board of Australiaへの登録段階で別途必要になります。

Q. 英語要件はIELTS・OET・PTE・TOEFL iBTのどれを選べばよいですか?
いずれもPharmacy Board of Australiaの登録基準で認められている試験ですが、区分ごとの基準スコアは変更されることがあるため、申請前に必ず公式の登録基準ページで最新の数値を確認したうえで、自分の得意・不得意に合わせて選ぶことをおすすめします。

Q. OPRA®試験に合格すればすぐに薬剤師として働けますか?
合格後もAhpra経由でPharmacy Board of Australiaへの登録申請と、監督下実務の期間を経る必要があります。試験合格がゴールではなく、登録手続き全体を見据えて準備を進める必要があります。

まとめ|OPRA®と英語要件を並行して準備する

日本の薬剤師免許だけでは、オーストラリアで登録薬剤師として業務を行うことはできませんが、APCのOPRA®試験に合格し、Pharmacy Board of Australiaへの登録を進めれば道は開かれています。2025年3月にKAPSから切り替わったOPRA®は出題領域の改訂と単一ペーパー化という変更点があり、古い情報のまま準備すると制度と食い違うおそれがあるため、必ず公式情報で最新の内容を確認してください。

英語要件はOPRA®試験とは別にPharmacy Board of Australiaが定めており、IELTS・OET・PTE・TOEFL iBTなど複数の試験が対象です。試験でスコアを取ることと、現場で服薬指導ができる英語力は別の課題として、両方を並行して準備しておく必要があります。

HLCAは医療従事者専門の医療英語スクールです。試験対策とあわせて、現場で患者さんに服薬指導ができる英語力まで学びたい方は、無料カウンセリングでご相談ください。

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最終更新日:2026年9月9日

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この記事を書いた人
HLCA編集部

医療英語スクールHLCAの編集チーム。 医師・看護師・薬剤師・受付スタッフなど、医療従事者向けの医療英語学習を支援するメディアとして、現場で使える医療英単語・フレーズ・ロールプレイを発信しています。 記事制作では、医療現場でのコミュニケーション、患者対応、多職種連携の観点を重視し、医療英語を初めて学ぶ方にも分かりやすい内容を心がけています。