申し送りは、患者の状態を次の勤務者へ正確に引き継ぐ場面です。情報を思いつくまま並べると抜け漏れが起き、安全に関わります。この記事は単語集ではなく、「悪い申し送り」と「良い申し送り」を見比べ、SBARの型と略語で漏れなく引き継ぐことを目的に、英語の申し送り・夜勤の引き継ぎ・カルテ略語をまとめました。
この記事のもくじ
申し送りはなぜ「型」で伝えるか|NG例とOK例
同じ患者の引き継ぎでも、型があるかどうかで伝わり方が大きく変わります。まず比べてみましょう。
NG例(情報がバラバラで、相手が次に何をすべきか分からない):
Um, the patient in 305… his blood pressure is a bit low, I think. He was admitted for something a few days ago. Maybe you should check on him.
(えっと、305号室の人…血圧が少し低い気がします。数日前に何かで入院していて。診ておいた方がいいかも。)
OK例(SBARの順で、状況→背景→評価→依頼が明確):
I’m calling about Mr. Tanaka in Room 305. His blood pressure has dropped from 120/80 to 90/60 since this afternoon, and he looks pale. He was admitted yesterday for pneumonia and has a history of heart disease. I’m concerned his condition may be worsening. Could you come and see him now?
(305号室の田中さんの件です。午後から血圧が120/80から90/60まで下がり、顔色も悪いです。昨日肺炎で入院し、心疾患の既往があります。状態が悪化しているかもしれず気がかりです。今すぐ診ていただけますか?)
申し送りで使えるSBARの型と英語表現
SBARは、Situation(今の状況)・Background(経緯)・Assessment(あなたの評価)・Recommendation(提案・依頼)の順に話す型です。米国を含む多くの医療現場で使われ、医師への報告や勤務交代の引き継ぎで要点の抜け漏れを減らしやすくなります。
S — Situation(今の状況を一言で)
- I’m calling about Mr. Tanaka in Room 305.(305号室の田中さんの件でお電話しています)
- His blood pressure has been dropping since this afternoon.(午後から血圧が下がってきています)
- He’s complaining of chest discomfort.(胸の不快感を訴えています)
B — Background(背景・経緯)
- He was admitted yesterday for pneumonia.(昨日、肺炎で入院されました)
- He has a history of heart disease.(心疾患の既往があります)
- His last dose of antibiotics was at 2 p.m.(最後の抗菌薬投与は午後2時でした)
A — Assessment(あなたの評価=事実と推測を分ける)
- I’m concerned his condition may be worsening.(状態が悪化しているかもしれず、気がかりです)
- I’m concerned about his breathing.(呼吸が気になっています)
- He looks pale and his hands are cold.(顔色が悪く、手が冷たいです)
R — Recommendation(提案・依頼)
- Could you come and see him now?(今すぐ診ていただけますか)
- Would you like me to start oxygen per protocol?(プロトコルに沿って酸素を開始しましょうか)
- Would you like me to arrange blood tests?(採血検査の手配をしましょうか)
夜勤・交代時の引き継ぎフレーズ
勤務交代では、変化があった点と次の勤務帯で注意してほしい点を中心に伝えると、相手が動きやすくなります。
- Let me hand over the patients in this ward.(この病棟の患者さんを申し送ります)
- Nothing major happened during my shift.(私の勤務帯では大きな変化はありませんでした)
- Please keep an eye on her overnight.(夜間は彼女に注意して見ていてください)
- Her IV bag is due to be changed at midnight.(点滴バッグは0時に交換予定です)
- If anything changes, call the doctor on call.(変化があれば当直医を呼んでください)
申し送り・カルテで使う英語略語一覧
申し送りやカルテでは略語が多用されます。意味を取り違えると事故につながるため、フルスペルとセットで一つずつ確認しましょう。読みは施設・地域で異なることがあります。
- post-op:postoperative(術後)
- Hx:history(既往・病歴)
- NKDA:no known drug allergies(既知の薬剤アレルギーなし)
- NPO:nil per os(nothing by mouth/経口摂取禁止。範囲は施設指示による)
- PRN:pro re nata(必要時に)
- BID:bis in die(twice daily/1日2回)
- TID:ter in die(three times daily/1日3回)
- q8h:quaque octava hora(every 8 hours/8時間ごと)
- I&O:intake and output(水分出納)
- DNR:do not resuscitate / do not attempt resuscitation(有効な医師指示・施設方針・患者意思の確認に基づき、心停止・呼吸停止時にCPRを行わない指示。通常の治療や苦痛の緩和まで控える意味ではない)
申し送りでよく使う英単語
- handover(英)/ handoff(米):申し送り・引き継ぎ
- shift:勤務帯
- stable:状態が安定している
- vital signs:バイタルサイン
- follow-up:経過確認・再診・フォローアップ
よくある質問
SBARは必ず4つすべて言わないといけませんか?
毎回すべてを長く話す必要はありません。緊急の場面では Situation と Recommendation を先に短く伝え、相手の質問に応じて Background や Assessment を補うこともよくあります。大切なのは「相手が次に何をすればよいか」が伝わることです。
自分の判断(Assessment)に自信がないときはどう言えばよいですか?
断定せずに I’m not sure, but I’m concerned about …(確信はありませんが、〜が気になります)や It might be …(〜かもしれません)といった控えめな表現を使えば、観察した事実を共有しつつ、最終判断を医師に委ねる姿勢が伝わります。観察した事実と自分の推測を分けて話すと誤解が減ります。
まとめ
申し送りの英語は、単語の暗記より「悪い例と良い例を見比べ、SBARの型と略語で、患者の状態・処置・注意点を漏れなく伝える」ことが安全な医療につながります。学び方に迷ったら、オンライン医療英語スクールの無料カウンセリングでご相談ください。
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