海外で看護師として働くためにIELTSのスコアが必要——そう知ったものの「どのくらいのスコアが必要なのか」「OETとどちらを受けるべきか」「看護師の仕事をしながらどう勉強すればいいのか」と迷っている方は多いのではないでしょうか。
IELTSは世界で最も広く認められた英語試験の一つですが、看護師登録に求められるスコアは国によって異なります。2025年にはオーストラリアでWritingスコア要件が緩和されるなど、情報のアップデートが欠かせません。この記事では、看護師が知るべきIELTSの全体像を、国別スコア要件・OETとの比較・セクション別の具体的な勉強法・7.0を目指す学習計画まで網羅的に解説します。
この記事でわかること
- 看護師登録に必要な国別IELTSスコア要件【2026年最新】
- IELTSとOETの違い・看護師はどちらを受けるべきか
- セクション別の具体的な対策法(特にWriting・Speaking)
- IELTS 7.0を最短で取得する6ヶ月間の学習計画
- 働きながら学習する看護師向けのスケジュール例

この記事のもくじ
看護師にIELTSが必要な理由

海外で看護師として働くためには、渡航先の国の看護師登録機関に英語力を証明する必要があります。IELTSは世界で最も広く受け入れられた英語能力試験であり、オーストラリア・イギリス・カナダ・ニュージーランドなど主要な看護師移住先のすべてで認められています。
IELTSが看護師に求められる主な場面は以下の通りです。
- 看護師登録(AHPRA・NMC・各州看護協会への申請)
- 永住権・ビザ申請(看護師登録とは別にビザ用スコアが必要な場合あり)
- 大学進学(看護学のBridging Courseや大学院への入学)
OET(Occupational English Test)も代替として認められていますが、IELTSは看護師登録と永住権申請の両方に使える汎用性が最大のメリットです。各国の看護師登録制度の詳細については日本の看護師免許で海外で働ける国5選もあわせてご覧ください。
国別IELTSスコア要件【2026年最新版】

看護師のIELTSスコア要件は、登録先の国と登録機関によって異なります。全ての国で共通しているのは「IELTS Academic」が必要な点です(General Trainingでは看護師登録に使えません)。
| 国 | 登録機関 | Overall | 各セクション | スコア合算 |
|---|---|---|---|---|
| オーストラリア | AHPRA / NMBA | 7.0 | R 7.0 / L 7.0 / S 7.0 / W 6.5 | 2回まで合算可(12ヶ月以内) |
| イギリス | NMC | 7.0 | R 7.0 / L 7.0 / S 7.0 / W 6.5 | 2回まで合算可(6ヶ月以内) |
| カナダ | 各州看護協会 | 6.5 | S 7.0 / 他セクション 6.0以上 | 合算不可(1回のテストで基準達成) |
| アメリカ | 各州BON | 6.5〜7.0 | 州により異なる(TOEFL iBTでも可) | 州による |
| ニュージーランド | NCNZ | 7.0 | 全セクション 7.0 | 2回まで合算可(6ヶ月以内) |
2025年の重要な変更:オーストラリアのWritingスコア緩和
2025年3月から、オーストラリアの看護師登録機関AHPRAがWritingのスコア要件を7.0から6.5に引き下げました。さらに、2回の試験スコアを合算できる期間が6ヶ月から12ヶ月に延長されています。Writingは多くの看護師が最も苦戦するセクションであるため、この変更はオーストラリアを目指す看護師にとって大きな追い風です。
オーストラリアでアシスタントナースとして働く方法はアシスタントナースになる方法で詳しく解説しています。
IELTSとOETの比較:看護師はどちらを受けるべきか

結論から言うと、目的と英語力の現状によって変わります。
| 項目 | IELTS Academic | OET |
|---|---|---|
| 試験内容 | 一般的な学術英語(科学・歴史・社会等) | 医療英語に完全特化(患者対応・症例) |
| Speaking | 日常的なトピックでの面接 | 医療のロールプレイ(患者への説明等) |
| Writing | グラフ描写 + エッセイ | 紹介状(Referral Letter)の作成 |
| 認定範囲 | 看護師登録・永住権・大学進学すべてに有効 | 医療系の登録のみ(永住権には使えない国も) |
| 受験料 | 27,500〜29,900円 | 587 AUD(約58,000円) |
| 受験頻度 | ほぼ毎週(会場・オンライン) | 月1〜2回 |
| こんな人向き | 永住権も同時に申請したい・独学しやすい | 臨床経験を活かしたい・医療英語に集中したい |
どちらを選ぶかの判断基準
- 永住権も同時に申請する → IELTSを優先
- 看護師登録だけが目的 → OETの方が臨床経験が活きやすい
- IELTS 6.0〜6.5で伸び悩んでいる → OETに切り替える戦略も有効
- 費用を抑えたい → IELTSの方が受験料が安く教材も豊富
OETの詳しい対策はOET試験の勉強法とおすすめ参考書で解説しています。
セクション別IELTS対策【看護師向け】

看護師がIELTSで最も苦戦するのはWritingとSpeakingです。
Listening(目標: 7.0〜7.5)
- Cambridge公式問題集のSection 3・4を重点的に練習する
- BBCやTED Talksの医療・科学系トピックを毎日15分聴く
- メモ取りの練習を繰り返す——IELTSでは音声は1回しか流れない
- 看護師の強み: 申し送りやドクターの指示を聞き取る習慣がListeningの集中力に直結する
Reading(目標: 7.0)
- 時間配分が最重要——3パッセージ60分。1パッセージ20分以内に解く練習を繰り返す
- スキミング→スキャニングの2段階読みを身につける
- 看護師の強み: 医療論文のAbstract・Methodsを読む習慣があれば、学術的文章への抵抗が少ない
Writing(目標: 6.5〜7.0)——最大の壁
Task 1 攻略法(20分・150語以上)
- 折れ線グラフ・棒グラフ・円グラフの「傾向」を客観的に描写する
- “increased significantly” “remained stable” “peaked at” などの頻出表現を暗記
- Overview(全体の傾向)を必ず入れる——これがないとスコアが伸びない
Task 2 攻略法(40分・250語以上)
- 4段落構成のテンプレートを身につける: Introduction → Body 1 → Body 2 → Conclusion
- 1週間に2本以上書いて添削を受ける——独学では上達しにくいセクション
- 看護師の強み: 看護記録を書く習慣があるため、「事実を簡潔に書く」スキルがTask 1に活きる
Speaking(目標: 7.0)
- Part 1: 仕事の話は頻出——自分の経験を30秒で語れるよう準備する
- Part 2: 医療関連の体験を3〜5本ストックしておく
- Part 3: 因果関係・賛否・比較の表現パターンを練習する
- スコアアップの鍵はfluency(流暢さ)。毎日10分の英語独り言が効果的
IELTS 7.0を目指す6ヶ月学習計画

フルタイムで働く看護師が現実的にIELTS対策を進めるには、1日1〜2時間 x 6ヶ月が目安です。
| 期間 | 重点セクション | やること | 目標スコア |
|---|---|---|---|
| 1〜2ヶ月目 | 語彙・Reading | 学術語彙強化 + Reading 1日1パッセージ | R 6.0→6.5 |
| 3〜4ヶ月目 | Writing・Listening | Writing週2本+添削。Listening毎日15分 | W 5.5→6.0 / L 6.5→7.0 |
| 5ヶ月目 | Speaking・弱点補強 | Speaking毎日10分。模擬面接週1回 | S 6.0→6.5 |
| 6ヶ月目 | 模試・総仕上げ | フルテスト模試を週1回 | Overall 7.0 |
看護師の働き方に合わせた学習のコツ
- 朝活の活用: 出勤前の1時間を固定の学習時間にする
- 通勤時間の活用: Listeningの練習は通勤中にイヤホンで
- 休憩時間のマイクロ学習: 15分あればReading 1パッセージの速読練習ができる
- 夜勤明けの翌日: Writing 1本を書く時間に充てる
おすすめ教材・リソース
- Cambridge IELTS 公式問題集(最新版)——本番に最も近い唯一の教材
- IELTS Liz(YouTube・Webサイト)——Writing・Speakingの無料解説が充実
- BBC Learning English——Listeningの日常練習に最適
- Grammarly / ProWritingAid——Writing練習時の文法チェックに活用
よくある質問(FAQ)
Q: IELTSとOET、看護師にはどちらが簡単ですか?
A: 一概には言えませんが、医療英語の基礎がある看護師にはOETの方が取り組みやすい傾向があります。目的が看護師登録のみならOET、永住権申請も同時にするならIELTSが効率的です。
Q: IELTS 7.0は英検やTOEICでいうとどのくらいですか?
A: IELTS 7.0はCEFR C1レベルに相当し、英検1級〜準1級上位、TOEIC 870〜970点に近い水準です。ただしIELTSはスピーキングとライティングの比重が大きいため、TOEIC高得点者でもWritingで苦戦するケースは珍しくありません。
Q: IELTSのスコアに有効期限はありますか?
A: 受験日から2年間有効です。渡航時期から逆算して受験計画を立ててください。オーストラリア(AHPRA)では2回の受験スコアを12ヶ月以内に合算できるルールが2025年から適用されています。
Q: IELTS 5.0から7.0まで、どのくらいの期間がかかりますか?
A: 一般的にIELTSのスコアを0.5上げるのに約200〜300時間の学習が必要です。5.0から7.0の場合、約800〜1,200時間が目安です。1日2時間学習すれば約1年〜1年半、フルタイムの語学留学であれば6〜9ヶ月で到達可能です。
Q: 独学でIELTS 7.0は取れますか?
A: Reading・Listeningは独学でもスコアアップが可能です。しかしWriting・Speakingは第三者のフィードバックがないと上達しにくく、特にWriting 6.5以上を目指すなら添削指導を受けることを強くおすすめします。
まとめ:看護師のIELTS対策は「目的の明確化」から始まる
看護師のIELTS対策で最も重要なのは、「どの国で」「何のために」スコアが必要なのかを明確にすることです。
- オーストラリア・イギリス・NZは Overall 7.0(Writing 6.5に緩和の動きあり)
- カナダは Overall 6.5(Speaking 7.0)と比較的取り組みやすい
- 最大の壁はWriting——独学では限界があるため、添削を受けられる環境を整える
- IELTSとOETの併用戦略(永住権はIELTS、看護師登録はOET)も有効
- IELTS 5.5→7.0は6ヶ月〜1年で到達可能。計画的に取り組むことが大切
HLCAでは看護師・医師向けにIELTS・OET対策を含む医療英語の個別指導を行っています。まずは無料カウンセリングで現状を整理してみてください。
監修:海仲 由美(Yumi Uminaka)
HLCA代表/医療英語教育者・カリキュラム開発責任者
医師・看護師・薬剤師など医療従事者向け医療英語教育を専門とし、これまでに延べ3,000名以上の医療従事者への指導・研修を実施。
本メディアでは、現場視点と教育専門性の両面から、実践的かつ正確な医療英語情報の監修を行っている。
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