「ニュージーランドで歯科医師として働いてみたい」「DCNZの登録要件を調べているけれど、IELTSとOETのどちらを受けるべきか分からない」——そんな悩みを抱えていませんか。海外での歯科医師登録は情報が少なく、公式サイトを読み込んでも英語要件や費用がどこに書いてあるのか迷いやすい分野です。
この記事では、ニュージーランドの歯科医師登録機関であるDCNZ(Dental Council of New Zealand)の公式情報にもとづき、日本の歯科医師が知っておくべき登録ルート・英語要件・費用・申請の流れを整理しました。読み終える頃には、自分がまず何を確認し、どちらの英語試験を選ぶべきかの判断材料が揃っているはずです。
HLCAは医療従事者向けの英語コーチングサービスとして、IELTSやOETの対策だけでなく、海外登録を見据えた英語学習の伴走を行っています。まずは記事本文で制度の全体像を確認してください。
この記事のもくじ
日本の歯科医師免許はニュージーランドで使える?結論と全体像
結論から言うと、日本の歯科医師免許をそのままニュージーランドで使うことはできません。ニュージーランドで歯科医師として働くには、登録機関であるDCNZ(Dental Council of New Zealand)への登録が必須です。
DCNZは「Prescribed qualifications(認定資格)」という一覧を公開しており、ここに含まれる資格を持つ人は比較的スムーズに登録できます。認定資格に含まれるのは、ニュージーランドのオタゴ大学、オーストラリアのADC(Australian Dental Council)認定資格、イギリス・アイルランドのGDC(General Dental Council)認定資格、カナダのNDECC(National Dental Examining Board of Canada)認定資格、アメリカのCODA(Commission on Dental Accreditation)認定資格のみです。
日本の歯学部・歯科大学の学位はこの一覧に含まれていません。つまり日本の歯科医師は「非該当者(non-prescribed qualification holder)」として、別ルートで評価を受ける立場になります。この記事で扱うのは、この非該当者としての登録プロセスです。
まず押さえておきたいのは、この記事が扱う範囲です。本記事はDCNZへの登録ルート・英語要件・費用・申請の流れという「制度の理解」に絞って解説します。国内の歯科医院で外国人患者に対応するための実務英語表現については、後述するとおり別記事で詳しく扱っているため、目的に応じて読み分けてください。
DCNZの登録ルート2つ|個別評価とNZDREX

非該当者が日本の歯科医師免許でDCNZに登録する場合、大きく分けて2つのルートがあります。それぞれ評価の方法が異なるため、自分の状況に合わせて検討する必要があります。
ルート1: 個別評価(Assessment of Individual Qualifications and Experience)
これまでの学歴・臨床経験を個別に評価してもらうルートです。流れは次のとおりです。
- 申請書の提出と評価費用の支払い
- 書類審査(学歴・臨床経験の証明書類の確認)
- 評価パネルによる審査(学術評価者と臨床医が担当)
- デスクトップレビューおよびビデオインタビュー
- 登録官またはDCNZカウンシルによる最終決定
このルートは、これまでのキャリアを踏まえて総合的に評価してもらいたい人に向いています。
ルート2: NZDREX(New Zealand Dentist Registration Examination)
カナダのNDEB(National Dental Examining Board of Canada)の同等性評価を活用する試験ベースのルートです。以下の3つの試験で構成されています。
- AFK(基礎知識試験): 受験は最大3回まで
- ACJ(臨床判断試験): 受験は最大3回まで
- NDECC(臨床技能試験): 60ヶ月以内であれば受験回数の制限なし
全体を通しての完了期限は設けられていません。ただし各試験区分ごとの回数・期間制限には注意が必要です。
2つのルートのどちらを選ぶべきかは、これまでの臨床経験の年数や、試験形式への得意・不得意によって変わります。以下に主な違いをまとめました。
| 比較項目 | 個別評価 | NZDREX |
|---|---|---|
| 評価の方法 | 書類審査+パネル審査+ビデオインタビュー | AFK・ACJ・NDECCの3試験 |
| 受験・審査回数の制限 | 回数制限の定めなし(審査プロセス) | AFK・ACJは最大3回、NDECCは60ヶ月以内なら無制限 |
| 完了期限 | 審査完了まで(明確な期限の定めなし) | 全体の完了期限なし(区分ごとの制限あり) |
| 向いている人 | 臨床経験・キャリアを総合的に評価してほしい人 | 試験形式で客観的に実力を示したい人 |
どちらのルートも最終的には英語要件を満たす必要があります。次の項目で詳しく見ていきましょう。
DCNZが定める英語要件|IELTSとOETのどちらを選ぶか

DCNZへの登録には、英語力の証明が求められます。認められている試験はIELTS AcademicとOETの2つです。
IELTS Academicの要件
IELTS Academicの場合、4技能(リーディング・ライティング・リスニング・スピーキング)すべてでバンドスコア7.0以上が必要です。1技能でも7.0を下回ると要件を満たしません。
OETの要件
OET(Occupational English Test)の場合、4パートすべてでグレードAまたはBが必要です。OETは医療従事者向けに設計された試験で、歯科を含む医療現場の文脈に沿った問題が出題される点が特徴です。
共通の注意点
どちらの試験を選んでも、合格の有効期限は2年です。期限内に登録申請を完了させる必要があるため、受験のタイミングは慎重に計画しましょう。
また、以下のいずれかに該当する場合は、英語試験を受けずに代替パスで要件を満たせる可能性があります。
- DCNZが認定するプログラムを卒業している
- 英語圏で英語のみによる歯学教育を受けた第一言語話者である
- 英語圏で2年以上の実務経験があり、同僚からの証明が得られる
自分がこの代替パスに該当するかどうかは、DCNZ公式ページで必ず確認してください。
IELTSとOETのどちらを選ぶべきか迷う場合は、以下の比較を参考にしてください。
| 比較項目 | IELTS Academic | OET |
|---|---|---|
| 必要スコア | 4技能すべてバンド7.0以上 | 4パートすべてグレードA・B |
| 出題内容 | アカデミック全般のテーマ | 医療・歯科の臨床場面を想定した内容 |
| 有効期限 | 2年 | 2年 |
| 向いている人 | アカデミック英語の対策に慣れている人 | 臨床現場の英語表現に強みを出したい人 |
臨床経験を活かして英語力を証明したい場合はOET、汎用的な英語力を測る試験に慣れている場合はIELTSが選ばれる傾向にあります。どちらの対策を進めるにしても、実際の医療現場に近い語彙・表現に触れておくことが得点につながります。
登録にかかる費用|公式に示されている金額
DCNZの登録費用は、資格の区分によって金額が異なります。2026年4月1日から2027年3月31日までの料金は以下のとおりです。
- 非規定海外資格(日本の歯科医師免許を含む多くの非該当者): NZ$7,514.00(GST抜)/ NZ$8,641.10(GST込)
- 規定資格(Prescribed qualifications)保有者: NZ$1,597.00(GST抜)
日本の歯科医師の多くは非規定海外資格に該当するため、登録費用としてNZ$8,641.10(GST込)前後を見込んでおく必要があります。この金額は登録費用のみであり、NZDREXの各試験の受験費用や渡航費・生活費は別途かかります。NZDREX試験自体の受験費用については、DCNZ公式ページ上に明確な記載が見つかっていません。受験を具体的に検討する段階では、DCNZまたは試験運営元に直接確認することをおすすめします。
費用は年度ごとに改定されるため、上記の金額は必ずDCNZ公式ページで最新情報を確認してください。
申請から登録までの流れと準備するもの

登録までの大まかな流れは、選んだルートによって多少異なりますが、共通して次のようなステップで進みます。
- 英語要件(IELTS Academicまたは OET)を満たす
- 登録ルート(個別評価またはNZDREX)を選択する
- 必要書類(学歴証明・臨床経験の証明書類など)を準備する
- 申請書の提出と費用の支払い
- 審査または試験の受験
- DCNZからの登録可否の通知
準備段階で特に時間がかかりやすいのが、学歴・臨床経験を証明する書類の取り寄せと、英語試験のスコアメイクです。DCNZは公式ページ上で「登録には時間がかかる」とだけ案内しており、具体的な所要日数は明示していません。早めに情報収集を始め、余裕を持ったスケジュールで進めることが大切です。
また、2026年11月からDCNZの登録プロセスに変更の動きがあることも公式ページ上で言及されています。対象となる国や資格の範囲については本記事執筆時点で確定情報がないため、申請を検討する段階で必ずDCNZ公式ページの最新情報を確認してください。
英語要件を満たすための学習の進め方
IELTS Academicのバンド7.0、OETのグレードA・Bは、いずれも一般的な日常英会話のレベルを超えた、専門性の高い英語力が求められる基準です。特にOETは臨床現場を想定した出題形式のため、歯科診療の文脈で使われる語彙・表現に日頃から触れておくことが得点への近道になります。
学習を進める際は、以下の視点を意識すると効率が上がります。
- 試験形式(IELTSかOETか)を先に決めてから対策を始める
- 臨床現場を想定したリスニング・スピーキングの練習を取り入れる
- ライティングは医療系のトピックで添削を受ける機会を確保する
- スコアの有効期限(2年)から逆算して受験時期を計画する
HLCAでは、医療従事者向けにOET・IELTS対策と実践的な医療英語コーチングを行っています。歯科医師としてニュージーランド登録を目指す場合も、臨床現場の英語表現に絞った学習で効率よくスコアメイクを進められます。まずは無料カウンセリングで、自分に合った学習プランを相談してみてください。
なお、国内の歯科医院で外国人患者に対応するための実務英語表現を知りたい場合は、海外登録とは目的が異なります。国内での患者対応英語については歯科診療で使う患者対応英語のフレーズ集で詳しく解説しているので、目的に応じて参照してください。医療英語全般の基礎を確認したい場合は医療英語とは何かを解説した記事もあわせてご覧ください。
よくある質問
歯科医師のニュージーランド登録についてよくある質問
Q. 日本の歯科医師免許があれば、追加の試験なしでニュージーランドで働けますか?
A. いいえ。日本の歯学部・歯科大学の学位はDCNZの認定資格一覧に含まれていないため、個別評価またはNZDREXのいずれかのルートで評価を受ける必要があります。
Q. IELTSとOET、どちらを受ければよいですか?
A. どちらもDCNZに認められた試験です。臨床現場に近い出題形式で英語力を示したい場合はOET、アカデミック英語の対策に慣れている場合はIELTSが選ばれる傾向にあります。最終的にはご自身の得意分野に合わせて選択してください。
Q. 登録費用はどのくらいかかりますか?
A. 2026年4月1日から2027年3月31日の料金では、非規定海外資格の場合NZ$8,641.10(GST込)です。この金額は年度ごとに改定されるため、申請時は必ずDCNZ公式ページで最新の金額を確認してください。
Q. NZDREXは何回でも受験できますか?
A. 試験区分によって異なります。AFK(基礎知識)とACJ(臨床判断)は最大3回まで、NDECC(臨床技能)は60ヶ月以内であれば回数制限がありません。
まとめ|まずは英語要件の確認から始めよう
日本の歯科医師がニュージーランドで働くには、DCNZへの登録が必須であり、個別評価とNZDREXという2つのルートがあります。どちらを選ぶ場合も、IELTS Academic(4技能バンド7.0以上)またはOET(4パートA・B)の英語要件を満たす必要があり、この英語力の証明が最初の関門になります。
制度は改定される可能性があるため、この記事で紹介した費用や要件は必ずDCNZ公式ページで最新情報を確認したうえで、申請の準備を進めてください。
本記事の内容は以下のDCNZ公式ページの情報にもとづいています。
- Prescribed qualifications for dentists(DCNZ公式)
- English language requirements(DCNZ公式)
- Assessment of Individual Qualifications and Experience(DCNZ公式)
- New Zealand Dentist Registration Examination(DCNZ公式)
- Registration and other fees(DCNZ公式)
HLCAでは、歯科医師をはじめとした医療従事者の海外登録・キャリア形成に向けたOET・IELTS対策と医療英語コーチングを行っています。どちらの試験が自分に合っているか分からない、対策の進め方に迷っているという方は、無料カウンセリングで具体的な学習プランをご相談ください。
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最終更新日:2026年9月3日
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