調剤事務・薬局受付の英語対応|処方箋受付から会計までの定型フレーズ集

HLCA編集部
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調剤事務・薬局受付の英語対応|処方箋受付から会計までの定型フレーズ集
海仲由美
この記事の監修者
HLCA代表 / 校長 / 正看護師
正看護師として日本で4年半の臨床経験。2013年フィリピン・セブ島で英語留学。2015年4月に医療従事者向け医療英語スクールHLCAを設立。医療従事者の英語学習・海外キャリア・医療通訳を支援。「女性のためのフィリピン留学協会」理事、国際看護学非常勤講師。

調剤薬局のカウンターに外国人の患者さんが処方箋を持って訪れたとき、対応するのは薬剤師だけではありません。受付・保険資格の確認・待ち時間案内・会計まで、調剤事務スタッフが英語で乗り切らなければならない場面は意外と多くあります。「難しい医療英語は話せないから」と身構えてしまう方も多いのではないでしょうか。

結論から言うと、調剤事務が英語で対応すべき範囲は限られています。服薬指導は薬剤師の業務であり、事務スタッフが担うのは処方箋の受付・保険資格や本人確認・待ち時間や会計案内までです。この記事では、その範囲に絞って、現場でそのまま使える定型フレーズと会話例を場面別に整理します。あわせて、処方箋の使用期間や自己負担割合といった制度の基本も、公的機関が公開している情報の範囲でご紹介します。

調剤薬局に外国人患者が来たとき、調剤事務が担う対応の流れ

外国人の患者さんが処方箋を持って来局した場合、調剤事務が担う流れは大きく次の4段階に分けられます。

  1. 処方箋・お薬手帳の受領と、マイナ保険証・資格確認書による保険資格の確認
  2. 初回であれば問診票(アレルギー・現在服用中の薬など)の記入案内
  3. 調剤にかかる待ち時間の案内
  4. 会計(自己負担分の精算・領収書の発行)

この4段階のうち、事務スタッフが英語で対応する場面は「受付」「待ち時間案内」「会計」の3つに集約されます。処方内容やアレルギー・併用薬についての薬学的な評価、飲み合わせの確認、副作用の説明は薬剤師の業務であり、事務スタッフが自己判断で答える範囲ではありません。患者さんから聞き取った内容は記録し、薬剤師へ確実に引き継ぐ、という線引きを最初に持っておくことが、英語対応の負担を減らす近道です。もう一つ意識しておきたいのが、保険資格の確認方法や処方箋の使用期間など、日本の薬局特有のルールです。これらは英語力とは別に、事務スタッフ自身が正確に理解しておく必要があります。

処方箋の受付で使う英語フレーズ|保険資格の確認・本人確認・初回の質問票

まず、来局した患者さんに処方箋を提出してもらう場面です。基本的なやり取りは次のようなフレーズで対応できます。

  • Do you have a prescription?
    処方箋はお持ちですか?
  • May I have your prescription, please? Could you also show me your My Number Card or eligibility certificate?
    処方箋をお預かりできますか。マイナ保険証か資格確認書もご提示いただけますか。
  • Is this your first time visiting our pharmacy?
    当薬局のご利用は初めてですか?
  • Could you fill out this form, please? It asks about allergies and medications you’re currently taking.
    こちらの用紙にご記入いただけますか。アレルギーや現在服用中のお薬について伺うものです。

初回来局の患者さんには、アレルギーや併用薬を確認する問診票の記入をお願いすることになります。上記のフレーズを覚えておくと、口頭での案内もスムーズです。

保険資格の確認は特に丁寧に行いたい場面です。日本の健康保険証は2025年12月1日に有効期限が終了しており、現在はマイナ保険証か資格確認書で保険資格を確認するのが基本です(出典:厚生労働省)。海外からの旅行者は日本の公的医療保険に加入していないことが一般的で、その場合は自由診療扱いとなり全額自己負担になります。厚生労働省・健康保険証と資格確認について

  • Do you have Japan’s public health insurance?
    日本の公的医療保険には加入されていますか?
  • I’m afraid you don’t have Japan’s public health insurance, so you will need to pay the full cost yourself.
    恐れ入りますが、日本の公的医療保険に未加入のため全額自己負担となります。

公的医療保険の窓口負担割合は年齢や所得区分などに応じて定められています。加入していてもマイナ保険証や資格確認書でその場で資格を確認できない場合は、健康保険証(保有していれば)の提示や申立書の記入など、薬局所定の代替確認・精算手順に沿って案内します。具体的な取り扱いは薬局や保険者によって異なる場合があるため、判断に迷うケースはその場で薬剤師や管理者に確認するのが安全です。

待ち時間・お薬の準備状況を伝える英語フレーズ

受付が終わったら、調剤にかかる待ち時間を案内します。日本の薬局を初めて利用する外国人患者さんは、待ち時間の目安が分からず不安を感じやすいため、具体的な時間を伝えることが安心につながります。

  • It will take about 15 to 20 minutes to prepare your medication.
    お薬の準備に15〜20分ほどかかります。
  • Please have a seat and we’ll call your name when it’s ready.
    お座りになってお待ちください。準備ができましたらお呼びします。
  • We’re sorry for the wait. It will take a bit longer because we need to order one of your medications.
    お待たせして申し訳ございません。お薬の一部を取り寄せる必要があり、もう少し時間がかかります。
  • Would you like us to call you by name or by number?
    お名前でお呼びしますか、それとも番号でお呼びしましょうか?

待ち時間が想定より長引く場合や、在庫がなく取り寄せが必要な場合は、早めに一声かけることが不安の軽減につながります。理由と目安の時間をセットで伝えるフレーズを用意しておきましょう。

会計で使う英語フレーズ|自己負担・支払い方法・領収書

お薬の準備ができたら会計です。自己負担額の伝え方と、支払い方法の案内が中心になります。

  • Your total is 1,200 yen.
    お会計は1,200円です。
  • We accept cash and credit cards.
    現金とクレジットカードがご利用いただけます。
  • Would you like a receipt?
    領収書は必要ですか?
  • This is a summary of your medication and how to take it.
    こちらはお薬と服用方法の説明書です。

公的医療保険の窓口負担割合は、年齢や所得区分などに応じて定められています。公費助成などが適用される場合は資格確認の結果や受給者証等に基づいて確認するため、詳しい説明を求められた際は「保険者にご確認いただくのが確実です」と案内しましょう。

クレジットカードや電子マネーに対応していない薬局もあります。対応可能な決済手段は事前に整理しておき、現金のみの場合は早めに伝えます。

場面 フレーズ例 ポイント
合計金額の提示 Your total is ○ yen. 金額は数字をはっきり伝える。紙に書いて見せるのも有効
支払い方法の確認 Would you like to pay in cash or by card? 対応していない決済手段は先に伝える
領収書の要否 Would you like a receipt? 海外の保険会社への請求で必要になることがある
お薬の説明書の案内 This explains your medication and dosage. 詳しい服用方法の質問は薬剤師へ引き継ぐ

薬剤師へ引き継ぐときの英語|服薬指導は薬剤師が行うことを伝える

処方内容や副作用、飲み合わせについて質問された場合、調剤事務が自己判断で答えるのは避けるべき場面です。ここは無理に対応しようとせず、薬剤師へ引き継ぐことをはっきり伝えましょう。

  • I’ll ask our pharmacist to explain that to you.
    そちらは薬剤師からご説明いたします。
  • Our pharmacist will give you instructions on how to take this medication.
    お薬の飲み方については薬剤師からご案内します。
  • Please wait a moment while I get our pharmacist.
    少々お待ちください、薬剤師を呼んでまいります。

服薬指導そのものの英会話フレーズ(副作用の説明・飲み合わせの確認など)は、薬剤師が担う専門領域です。より詳しいフレーズは

でまとめています。調剤事務の役割は「英語で服薬指導をすること」ではなく「英語で困っている患者さんと薬剤師をつなぐこと」だと捉えると、対応すべき範囲が明確になります。

場面別の会話例|初来局・保険資格の確認ができない・処方箋の有効期限切れ

ここでは、実際の来局シーンを想定した会話例を3つ紹介します。

【場面1:初来局の患者さん】
Staff: Welcome. Is this your first time here? May I have your prescription and your My Number Card or eligibility certificate?
スタッフ:いらっしゃいませ。当薬局は初めてですか?処方箋と、マイナ保険証か資格確認書をお預かりできますか。
Patient: Yes, this is my first time.
患者:はい、初めてです。
Staff: Could you fill out this form about your allergies and current medications? It will take about 15 minutes to prepare your medication.
スタッフ:アレルギーと現在服用中のお薬についてこちらの用紙にご記入ください。お薬の準備に15分ほどかかります。

【場面2:日本の公的医療保険に未加入の旅行者】
Patient: I don’t have Japan’s public health insurance. I’m visiting Japan.
患者:日本の公的医療保険には入っていません。日本を訪れています。
Staff: I understand. In that case, you will need to pay the full cost yourself since you don’t have Japan’s public health insurance.
スタッフ:承知しました。その場合、日本の公的医療保険をお持ちでないため全額自己負担となります。
Patient: That’s fine. Can I pay by credit card?
患者:分かりました。クレジットカードで払えますか?
Staff: Yes, we accept credit cards. Would you like a receipt for your insurance company back home? Please check with them about any other documents they may require.
スタッフ:はい、クレジットカードをご利用いただけます。母国の保険会社用に領収書はご入用ですか?他に必要な書類がないか、保険会社にご確認ください。

【場面3:処方箋の使用期間が切れている】
Staff: I’m sorry, but this prescription has expired. Unless another use-by date is specified, prescriptions are valid for four days, including the date of issue.
スタッフ:申し訳ございませんが、こちらの処方箋は使用期間が過ぎています。別途記載がある場合を除き、処方箋は交付の日を含めて4日間有効です。
Patient: Oh, I didn’t know that. What should I do?
患者:それは知りませんでした。どうすればいいですか?
Staff: This prescription can no longer be filled here. Please contact the medical institution that issued it. I’ll ask our pharmacist to explain the next step.
スタッフ:こちらの処方箋では調剤できません。処方箋を発行した医療機関にご相談ください。次の対応については薬剤師からご案内します。

処方箋の使用期間は、交付の日を含めて4日以内と定められています(休日・祝日も含む)。医師・歯科医師が長期の旅行など特殊な事情を認め、処方箋に別途使用期間を記載した場合は、その記載日まで延長されます。使用期間を過ぎた処方箋では調剤できないため、処方元の医療機関へ相談するよう案内し、再発行の手続や費用は医療機関に確認してもらいます。厚生労働省・処方箋の使用期間について

調剤事務が英語対応に慣れるための学習法

ここまでのフレーズを覚えるだけでも初動の対応はできますが、実際の現場では患者さんの言い回しが教科書通りとは限りません。聞き取れなかったときの聞き返し方や、早口で話されたときの対応力も合わせて身につけておくと安心です。

  • I’m sorry. Could you say that again more slowly?
    もう一度、ゆっくり言っていただけますか?
  • Could you write it down, please?
    紙に書いていただけますか?

聞き取れないときに黙ってしまうと、患者さんはさらに不安になります。聞き返すこと自体は失礼にあたらないため、上記のような定型フレーズをいくつか用意しておくと、その場で慌てずに済みます。

学習の進め方としては、まず本記事で紹介したような受付・会計の定型フレーズを覚え、次に想定される質問(保険資格の確認ができない場合・処方箋の期限切れ・支払い方法)への受け答えをロールプレイ形式で練習するのが効率的です。医療現場全般で使う英語表現の基礎については

でも整理しています。

調剤事務の英語対応についてよくある質問

Q. 服薬指導も英語でできるようになる必要がありますか?
服薬指導は薬剤師の業務であり、調剤事務が行うものではありません。事務スタッフが担うのは受付・待ち時間案内・会計が中心で、処方内容に関する質問は薬剤師へ引き継ぐのが基本です。

Q. マイナ保険証や資格確認書を持っていない外国人患者さんへの対応で気をつけることは?
公的医療保険に未加入なら自由診療扱いで全額自己負担になるのが一般的です。一方、加入していてもその場で資格を確認できない場合は薬局所定の代替確認・精算手順に沿って案内します。この2つを混同しないよう注意し、判断に迷う場合は薬剤師や管理者に確認してください。

Q. 処方箋の使用期間が切れていた場合はどう伝えればよいですか?
「処方箋は交付の日を含めて4日以内が使用期間である(別途記載があればその日まで)」という制度の基本を伝えたうえで、使用期間を過ぎた処方箋では調剤できないこと、再発行については処方元の医療機関へ相談する必要があることを案内します。

Q. 英語が話せなくても対応できますか?
定型フレーズをいくつか覚えておくと、受付・会計の基本的なやり取りの助けになります。聞き取れないときの聞き返し方も含めて練習しておくと、突発的な場面でも落ち着いて対応しやすくなります。

まとめ|受付から会計までの定型文を持っておく

調剤事務が英語で対応すべき範囲は、処方箋の受付・保険資格や本人確認・待ち時間案内・会計までであり、服薬指導は薬剤師の業務です。この線引きを持っておくことで、「難しい医療の話をしなければ」という不安を減らせます。マイナ保険証・資格確認書の有無による自己負担の違いや、処方箋の使用期間(交付の日を含めて4日以内)といった制度の基本も、英語フレーズとあわせて理解しておきましょう。細かな取り扱いは薬局や保険者によって異なる場合があるため、判断に迷ったときは薬剤師や管理者にその場で確認する習慣を持つことが大切です。

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この記事を書いた人
HLCA編集部

医療英語スクールHLCAの編集チーム。 医師・看護師・薬剤師・受付スタッフなど、医療従事者向けの医療英語学習を支援するメディアとして、現場で使える医療英単語・フレーズ・ロールプレイを発信しています。 記事制作では、医療現場でのコミュニケーション、患者対応、多職種連携の観点を重視し、医療英語を初めて学ぶ方にも分かりやすい内容を心がけています。