薬剤師がUAE(ドバイ・アブダビ)で働くには|DHA・DOH・MOHAPのライセンス手続きと英語要件

HLCA編集部
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薬剤師がUAE(ドバイ・アブダビ)で働くには|DHA・DOH・MOHAPのライセンス手続きと英語要件
海仲由美
この記事の監修者
HLCA代表 / 校長 / 正看護師
正看護師として日本で4年半の臨床経験。2013年フィリピン・セブ島で英語留学。2015年4月に医療従事者向け医療英語スクールHLCAを設立。医療従事者の英語学習・海外キャリア・医療通訳を支援。「女性のためのフィリピン留学協会」理事、国際看護学非常勤講師。

「ドバイやアブダビで薬剤師として働いてみたい」と考えたとき、まず気になるのが日本の薬剤師免許がそのまま通用するかという点です。調べてみると、DHA・DOH・MOHAPという聞き慣れない機関名が出てきて、しかも首長国によって申請先が違うらしいと分かり、どこから手をつければいいのか分かりにくいところです。

結論から言うと、日本の薬剤師免許でそのままUAEの薬局や病院に就職することはできません。ただし働く首長国の規制当局にライセンス申請を行い、統一資格要件(PQR)が求める学歴・実務経験・書類審査・試験・英語要件を満たせば、UAEで薬剤師として登録する道は開かれています。この記事では、DHA・DOH・MOHAPという3つの規制当局の違い、統一資格要件の内容、日本の薬剤師免許者が原則ライセンス試験を受ける必要がある理由、英語要件について、公式情報をもとに整理します。

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日本の薬剤師免許はUAE(ドバイ・アブダビ)で使える?結論と全体像

薬剤師の資格はUAE全体で一本化された国家資格ではなく、首長国ごとの規制当局が管轄しています。そのため日本の薬剤師免許を持っていても、それだけでUAEの薬局や病院で薬剤師として働くことはできません。まず働く予定の首長国の規制当局にライセンス申請を行い、3当局が共通で用いる統一資格要件(PQR=Unified Healthcare Professional Qualification Requirements)が定める基準を満たす必要があります(出典:DHA公式・Unified Healthcare Professional Qualification Requirements)。

全体の流れは大きく次のように整理できます。

  1. 働く首長国を決め、該当する規制当局を特定する:ドバイならDHA、アブダビならDOH、それ以外の首長国ならMOHAPが申請先になる
  2. 統一資格要件(PQR)の学歴・実務経験の基準を満たしているか確認する:薬剤師タイトルの場合、学位と資格取得後の実務経験が求められる
  3. 書類の一次ソース照会(PSV)を受ける:学歴・免許・実務経験の証明書類を第三者機関が認証する
  4. 該当する場合はライセンス試験を受験する:日本の薬剤師免許は試験免除国リストに含まれていないため、原則受験が必要
  5. 該当する場合は英語能力証明を提出する:大学教育を英語で受けていない場合などに必須
  6. 規制当局に登録申請を行う

ここで見落とされやすいのが、DHA・DOH・MOHAPの3当局はそれぞれ別の組織でありながら、資格の基準自体は共通の統一資格要件(PQR)に沿っているという点です。つまり「どの当局に申請するか」と「何を満たせば登録できるか」は分けて考える必要があります。まずは働く首長国を決め、その当局のルールに沿って準備を進めるのが基本の考え方です。

もう一つ注意したいのは、こうした制度は変更される可能性があるということです。本記事は2026年8月時点で確認できたDHA公式PDF(2025年4月版)にもとづいていますが、最新の要件はSheryanポータルおよび各当局の公式ページで確認してください。

UAEの薬剤師ライセンスはDHA・DOH・MOHAPの3当局に分かれる|どこに申請するか

UAEの首長国ごとの規制当局をイメージした写真

UAEの医療従事者ライセンスは、地理的な管轄範囲によって次の3つの規制当局に分かれています(出典:DHA公式・PQR(Authoritiesの定義))。

規制当局 管轄する首長国 主な申請窓口
DHA
(Dubai Health Authority)
ドバイ首長国 電子申請システム「Sheryan」(出典:DHA公式・Manual for Licensing Healthcare Professionals)
DOH
(Department of Health – Abu Dhabi)
アブダビ首長国 DOH所管の申請窓口(詳細は各当局公式サイトで確認)
MOHAP
(Ministry of Health and Prevention)
ドバイ・アブダビ以外の首長国 MOHAP所管の申請窓口(詳細は各当局公式サイトで確認)

この3当局は完全に独立した組織ですが、資格審査で用いる基準自体は共通の統一資格要件(PQR)に沿っています。つまり「学歴・実務経験・試験・英語要件という中身の基準」は3当局でほぼ共通しながら、「どこに申請書類を出すか、どの電子申請システムを使うか」という手続きの窓口だけが首長国ごとに分かれている、という二層構造になっています。

本記事ではドバイのDHAについて、電子申請システム「Sheryan」の存在まで公式資料で確認できています。一方でDOH(アブダビ)・MOHAP(その他首長国)については、PQRの基準そのものは3当局共通で適用されると解釈できるものの、それぞれの専用ポータル名や運用固有のページ文言までは今回確認できていません。アブダビやその他首長国での就労を検討する場合は、当該当局の公式サイトで最新の申請窓口・手続きを直接確認してください。

働く首長国を先に決めておくと、この後に説明する試験や英語要件の準備を、どの当局のルールに沿って進めればよいかが明確になります。

統一資格要件(PQR)とは|3当局共通の学歴・実務経験の基準

統一資格要件(PQR)は、DHA・DOH・MOHAPの3当局が共通で用いる資格基準です。薬剤師(Pharmacist)については、次の学歴・実務経験が定められています(出典:DHA公式・PQR §18.27 Pharmacy)。

項目 基準
学歴 BSc in Pharmacy(薬学士)または Doctor of Pharmacy(PharmD)
実務経験 資格取得後、関連分野で2年間の実務経験
実務経験の注意点 製薬会社勤務や医薬品営業(MR)としての経験は実務経験として認められない

日本の薬学部・薬科大学を卒業し薬剤師免許を取得している場合でも、学歴要件を満たすかどうかは個別の審査次第です。あわせて、実務経験の「関連分野で2年間」という条件を、調剤薬局や病院薬剤部などでの臨床業務としてどう証明するかが実務上のポイントになります。製薬企業の営業職としての経験は対象外と明記されているため、自分のキャリアがこの条件に当てはまるかは早めに確認しておく必要があります。

一次ソース照会(PSV)と良好専門職証明(GSC)|書類審査で求められるもの

書類審査のイメージ写真

UAEのライセンス取得では、学歴・実務経験・免許などの証明書類について、第三者機関による「一次ソース照会(Primary Source Verification=PSV)」による照合・検証が必須です。実施団体はDataFlow Groupで、GCC(湾岸協力会議)加盟6か国の保健当局と契約している機関です(出典:DHA公式・PQR §1.4 Primary Source Verification)。

あわせて、母国または直近の勤務国の医療規制当局が発行する「良好専門職証明(Good Standing Certificate=GSC)」の提出も必須です。懲戒処分歴がないことを証明する書類で、発行から6か月以内のものが有効とされています(出典:DHA公式・PQR §1.3 Professional License and Good Standing Certificate)。

日本の薬剤師の場合、GSCに相当する証明をどこに発行してもらうかは、申請先の当局・DataFlow Groupの最新案内で個別に確認が必要な部分です。PSV・GSCともに取得や審査に一定の日数がかかることが想定されるため、申請全体のスケジュールの中で早めに着手しておくと安心です。PSVの具体的な審査期間や手数料は公式一次資料で確認できなかったため、申請前にDataFlow GroupおよびSheryanポータルの最新案内を確認してください。

ライセンス試験|日本は試験免除国リストに入っていない

ライセンス試験の準備をイメージした写真

UAEで医療従事者として登録するには、原則として各当局が実施するライセンス試験に合格する必要があります。試験方式は職種により筆記・口述・OSCE(実技試験)などに分かれ、すべての試験は英語で実施され、口述試験に通訳の同席は認められません(出典:DHA公式・PQR §1.5 Examination)。受験は各当局合計で3回までとされ、3回不合格の場合は別の当局で1回追加受験できる救済規定があります(同PQR §1.5.4〜1.5.8)。

ここで日本の薬剤師にとって特に重要なのが、試験免除国リストの存在です。PQRには「直近3年以内に取得した有効な免許とGSCがあれば試験を免除する」国・当局のリストが定められていますが、対象はオーストラリア・カナダ(NAPRA加盟)・英国(GPhC)・米国(NABP加盟)・ドイツ・フランス・シンガポール・南アフリカなど欧米・一部アジア諸国に限られています。このリストに日本は含まれていません(出典:DHA公式・PQR §21.19 Pharmacists and Clinical Pharmacists)。

つまり、試験免除国リストに含まれる免許であれば試験免除の対象になり得る一方、日本の薬剤師免許を持つ人は原則としてライセンス試験の受験が必要になるという非対称性があります。この違いを知らずに準備を始めると、試験対策の時間を見込めていないまま申請時期を迎えてしまう可能性があります。

試験の実施運営会社名、具体的な試験時間・問題数・受験料・合格基準については、DHA公式のPQR本文やライセンシングマニュアルの中に明記を見つけられませんでした。これらの詳細情報は変更される可能性もあるため、受験を検討する段階でSheryanポータルおよび各当局の公式案内で最新情報を確認してください。

英語要件|大学教育が英語でない場合に求められる証明

UAEの英語要件には条件があります。PQRでは「大学教育を英語で受けていない場合」または「免許発行国が非英語圏国リストに該当する場合」に限り、英語能力証明の提出が必須と定められています。認められる基準は次のいずれかです(出典:DHA公式・PQR §21.19)。

試験 基準スコア
TOEFL 500点以上(相当スコアを含む)
IELTS 5.0以上
OET(Occupational English Test) Cグレード以上
Cambridge Assessment English 169点以上

日本の薬学部・薬科大学の教育は基本的に日本語で行われており、日本は非英語圏国として扱われるため、日本の大学で薬学教育を受けた人は原則としてこの英語証明の提出対象になります。カナダやオーストラリアなど「学歴自体は英語」という国の記事とは異なり、UAEでは「教育言語が英語だったかどうか」がまず判定基準になる点に注意が必要です。

英語試験のスコア基準自体は上記の表のとおり比較的取得しやすい水準に見えますが、注意したいのはライセンス試験自体がすべて英語で実施され、口述試験には通訳の同席が認められないという点です。英語証明のスコア基準を満たすことと、実際に試験本番で専門的な内容を英語で理解・回答できることは別の課題です。基準スコアの取得を目標にするだけでなく、薬剤師として現場で使う英語表現も並行して準備しておく必要があります。

服薬指導などで使う具体的な英語表現は薬剤師の医療英語をまとめた記事で例文とあわせて整理しています。海外で働く薬剤師の英語の学び方全般については薬剤師の英語勉強法の記事もあわせてご覧ください。

継続的専門能力開発(CPD/CME)と免許更新

UAEでライセンスを取得した後も、継続的専門能力開発(CPD)の取得が免許更新の要件になります。薬剤師は年間20ポイントのCPD取得が義務づけられています(出典:DHA公式・PQR §1.7 Discontinuity of Practice)。

また、実務のブランク(Gap of Practice)が3年以上ある場合は、薬剤師・アライドヘルス職種に対して20 CME/CPDクレジットに加え、6か月の実地研修が追加要件として課されます(同PQR §1.7)。日本でしばらく現場を離れていた薬剤師がUAEでの就労を検討する場合、このブランク要件に該当するかどうかも事前に確認しておくとよい点です。

薬剤師のUAE就労についてよくある質問

Q. ドバイで働きたい場合、まず何をすればよいですか?
ドバイの場合はDHAが管轄当局になります。DHAの電子申請システム「Sheryan」で最新の申請手順を確認し、統一資格要件(PQR)が求める学歴・実務経験の証明書類の準備や一次ソース照会(PSV)を進めていくことになります。

Q. 日本の薬剤師免許があれば試験は免除されますか?
原則受験が必要です。PQRが定める試験免除国リストにはオーストラリア・カナダ・英国・米国・ドイツ・フランス・シンガポール・南アフリカなどが含まれますが、日本はこのリストに入っていないため、原則としてライセンス試験の受験が必要です。

Q. 英語試験のスコアを満たせば、試験対策は不要ですか?
英語証明のスコア基準を満たすことと、試験本番に合格することは別の課題です。ライセンス試験はすべて英語で実施され、口述試験に通訳は同席できないため、専門的な内容を英語で理解・回答できる力を別途準備しておく必要があります。

Q. アブダビやその他の首長国で働く場合も同じ流れですか?
学歴・実務経験・試験・英語要件といった基準の骨格はPQRとして3当局共通ですが、DOH(アブダビ)・MOHAP(その他首長国)それぞれの申請窓口や運用の詳細は、本記事の一次情報だけでは確認しきれていません。働く首長国が決まったら、該当する当局の公式サイトで最新の手続きを直接確認してください。

まとめ|当局選びと試験免除の有無から準備を始める

日本の薬剤師免許でそのままUAEの薬局や病院に就職することはできませんが、働く首長国に応じてDHA・DOH・MOHAPのいずれかに申請し、統一資格要件(PQR)が求める学歴・実務経験・一次ソース照会・試験・英語要件を満たせば、UAEで薬剤師として登録する道は開かれています。中でも見落としやすいのが、日本の薬剤師免許は試験免除国リストに入っておらず、原則としてライセンス試験の受験が必要になるという点です。

英語要件は「大学教育を英語で受けていない場合」に必須となる条件付きの基準で、日本の薬学教育を受けた人の多くが対象になります。基準スコアを満たすことに加えて、英語のみで実施される試験本番に対応できる専門的な英語力を、並行して準備しておくことが重要です。

HLCAは医療従事者専門の医療英語スクールです。薬剤師としてUAEでのライセンス取得を目指す場合も、試験対策に必要な英語力と、現場で薬について説明できる実践的な英語表現の両方を見据えた学習プランをご提案できます。当局選びや準備の進め方に迷っている段階でも構いませんので、無料カウンセリングでご相談ください。

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最終更新日:2026年8月30日

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この記事を書いた人
HLCA編集部

医療英語スクールHLCAの編集チーム。 医師・看護師・薬剤師・受付スタッフなど、医療従事者向けの医療英語学習を支援するメディアとして、現場で使える医療英単語・フレーズ・ロールプレイを発信しています。 記事制作では、医療現場でのコミュニケーション、患者対応、多職種連携の観点を重視し、医療英語を初めて学ぶ方にも分かりやすい内容を心がけています。