日本人看護師のNCLEX-RN対策ガイド|合格率・勉強法・必要な英語力を徹底解説

今実紅
公開日:2026.04.15
更新日:2026.04.13
海仲由美
この記事の監修者
HLCA代表 / 校長 / 正看護師
正看護師として日本で4年半の臨床経験。2013年フィリピン・セブ島で英語留学。2015年4月に医療従事者向け医療英語スクールHLCAを設立。医療従事者の英語学習・海外キャリア・医療通訳を支援。「女性のためのフィリピン留学協会」理事、国際看護学非常勤講師。

この記事のもくじ

この記事でわかること

  • NCLEX-RNとは何か、日本人看護師が受験する意味
  • 日本人のNCLEX合格率と試験の難易度
  • CGFNS認定から受験までの具体的な手続きの流れ
  • 科目別の効率的な勉強法と学習スケジュール
  • 必要な英語力レベルと医療英語の準備方法
  • おすすめ教材・アプリの比較と活用法

NCLEX-RNとは?日本人看護師が受験するまでの全体像

NCLEX-RN試験の準備をする看護師

NCLEX-RN(National Council Licensure Examination for Registered Nurses)は、アメリカで正看護師(RN)として働くために必須の国家試験です。アメリカの看護学校卒業生だけでなく、日本で看護師免許を持つ外国人看護師(International Educated Nurse)も受験できます。

試験はNCSBN(全米看護委員会協議会)が管理し、Pearson VUE のテストセンターで受験します。CAT(Computer Adaptive Testing)方式を採用しており、回答の正誤に応じて出題される問題の難易度がリアルタイムに変化するのが特徴です。

日本人看護師がNCLEXを受験する主な理由

  • アメリカで看護師として働きたい:NCLEX合格はRNライセンス取得の必須条件
  • 年収アップ:アメリカのRNの平均年収は約$89,000(約1,300万円)で、日本の看護師の約2.5倍
  • キャリアの幅を広げたい:アメリカのRNライセンスは世界的に高い評価を受ける
  • グリーンカード取得の近道:看護師はEB-3ビザ(永住権)の優先職種

日本人看護師がNCLEXを受験するまでの大まかな流れは、CGFNS審査 → 州のBoard of Nursingに申請 → ATT取得 → 試験受験です。全プロセスには通常6ヶ月〜1年かかります。

アメリカで看護師として働くための全体像については、「アメリカで看護師になるには?資格・NCLEX・年収・ビザを徹底解説」で詳しく解説しています。

日本人のNCLEX合格率と難易度

NCLEX-RNの合格率データを分析するイメージ

NCLEXの難易度を正しく理解することが、効率的な対策の第一歩です。ここでは公式データをもとに、日本人受験者の合格率と試験の特徴を解説します。

全体の合格率と日本人の合格率

NCSBNが公開している統計データによると、NCLEX-RNの合格率は受験者の背景によって大きく異なります。

受験者カテゴリ 初回合格率(目安)
アメリカの看護学校卒業生 約85〜90%
外国人看護師(全体) 約30〜35%
日本人看護師 約30〜40%(非公式推計)

外国人看護師の合格率が低い主な理由は、看護知識の不足ではなく「英語力」と「アメリカの看護基準への理解」です。日本の看護教育は世界的に高水準ですが、NCLEXはアメリカの臨床基準に基づいて出題されるため、日本とは異なるアプローチが求められます。

NCLEXが難しいと言われる3つの理由

  1. CAT方式で問題数が変動する:最少75問〜最大145問。正答し続けると問題が難しくなり、間違えると易しくなる。合格ラインを超えた(または下回った)と判定された時点で終了
  2. 「優先順位」を問う問題が多い:単純な知識問題ではなく「この状況で最初にすべきことは?」という臨床判断力が試される
  3. SATA(Select All That Apply)問題:複数の正解を全て選ぶ必要があり、部分点がない

日本人が特につまずくポイント

  • 精神看護(Mental Health Nursing):日本の看護教育ではアメリカほど深く扱わない分野
  • 法的・倫理的問題:患者の権利やインフォームドコンセントに関するアメリカ固有の法律
  • 薬理学(Pharmacology):薬の一般名(Generic Name)での出題が多く、日本では商品名で覚えている場合に対応しにくい
  • 委任・優先順位(Delegation / Prioritization):RN・LPN・NAPの役割分担はアメリカ特有

NCLEX受験に必要な手続き(CGFNS → 州ボード申請 → 受験)

NCLEX受験に必要な書類のイメージ

NCLEX受験までの手続きは複雑ですが、一つひとつ進めれば難しいものではありません。以下のステップで進めます。

ステップ1:CGFNS(Commission on Graduates of Foreign Nursing Schools)への申請

日本人看護師がNCLEXを受験するには、まずCGFNSによる資格審査(Credentials Evaluation)が必要です。CGFNSは外国で看護教育を受けた人の資格を、アメリカの基準と照合して評価する機関です。

提出が必要な書類:

  • 看護学校の卒業証明書・成績証明書(英文)
  • 看護師免許の証明書(厚生労働省から英文証明を取得)
  • パスポートのコピー
  • CGFNS申請料(約$445〜$600、コースにより異なる)

処理期間:通常3〜6ヶ月。書類に不備があるとさらに遅れるため、早めの準備が重要です。

ステップ2:州のBoard of Nursing(BON)に申請

CGFNSの審査が通ったら、受験する州のBoard of Nursingに看護師免許の申請を行います。州によって要件が異なるため、自分が受験したい州の条件を事前に確認してください。

日本人受験者に人気の州と特徴:

特徴
ニューヨーク州 外国人看護師の受け入れ実績が多い。SSN不要で受験可能
カリフォルニア州 日系コミュニティが大きい。ただし要件が厳しめ
テキサス州 医療機関の求人が豊富。比較的手続きがスムーズ
サイパン(CNMI) 日本から近く、試験会場として選ぶ人も

ステップ3:ATT(Authorization to Test)の取得

BONの申請が承認されると、ATT(受験許可証)がメールで届きます。ATTを受け取ったら、90日以内にPearson VUEで試験日を予約する必要があります。

ステップ4:受験

Pearson VUEのテストセンターで受験します。アメリカ国内のほか、日本(東京・大阪)でも受験可能です。試験時間は最大5時間で、前述のCAT方式で実施されます。

手続き全体のスケジュール目安

ステップ 所要期間
CGFNS申請・審査 3〜6ヶ月
BON申請 1〜3ヶ月
ATT取得〜受験 1〜2ヶ月
合計 6ヶ月〜1年

科目別の勉強法:NCLEX-RN合格のための学習戦略

NCLEX-RN科目別の勉強法のイメージ

NCLEXは8つのクライアントニーズ(Client Needs)カテゴリから出題されます。各カテゴリの出題割合と、日本人看護師向けの効率的な学習法を解説します。

出題カテゴリと配分

カテゴリ 出題割合 日本人の難易度
Safe and Effective Care Environment(管理) 6〜12% やや難
Safe and Effective Care Environment(安全・感染管理) 9〜15% 普通
Health Promotion and Maintenance 6〜12% 普通
Psychosocial Integrity(精神看護) 6〜12%
Physiological Integrity(基本ケア) 6〜12%
Physiological Integrity(薬理・非経口) 13〜19% やや難
Physiological Integrity(リスク軽減) 9〜15% 普通
Physiological Integrity(生理的適応) 11〜17% 普通

Pharmacology(薬理学)の攻略法

日本人が最も苦労する分野の一つです。アメリカではGeneric Name(一般名)で出題されるため、日本で使っている商品名とのギャップに対応する必要があります。

  • 薬のグループで覚える:語尾(suffix)に注目(例:-olol = β遮断薬、-pril = ACE阻害薬)
  • 副作用と禁忌を優先的に暗記:NCLEXは「この薬を投与してはいけない状況」を問う問題が多い
  • 計算問題も出題される:薬用量計算(Dosage Calculation)は確実に得点できる分野

Med-Surg(成人看護)の攻略法

出題割合が最も高い分野です。疾患の病態生理→症状→治療→看護介入の流れで体系的に学びましょう。

  • ABCDEアプローチを基本にする:Airway → Breathing → Circulation → Disability → Exposure
  • 優先順位問題の解き方:「まず何をするか?」の問題はマズローの欲求階層と ABCDEで判断
  • 検査値の正常範囲を覚える:Na、K、BUN、Creatinine、Hgb等の基準値はアメリカ基準で暗記

Psychosocial Integrity(精神看護)の攻略法

日本人が最もスコアを落としやすいカテゴリです。アメリカの精神看護は治療的コミュニケーション(Therapeutic Communication)を重視します。

  • 「最も適切な看護師の反応」を選ぶ問題が多い:共感的傾聴、開かれた質問(Open-ended question)が正解になりやすい
  • 自殺リスクアセスメント:直接的に自殺念慮を確認する選択肢がアメリカでは正解
  • 虐待(Abuse)の通報義務:Mandatory Reporterとしての看護師の法的義務を理解する

Pediatrics(小児看護)・Maternity(母性看護)の攻略法

  • 発達段階別のバイタルサインの正常値を暗記する
  • 予防接種スケジュールはアメリカのCDC推奨に従う(日本とは異なる)
  • 分娩時の胎児心拍モニタリング(FHR pattern)の判読は頻出

NCLEX合格に必要な英語力と医療英語の準備

医療英語を学ぶ看護師のイメージ

NCLEXには英語のスコア要件はありませんが、試験問題は全て英語で出題されます。医療の知識があっても英語で問題文を正確に読み解けなければ合格できません。

求められる英語力の目安

英語指標 推奨レベル
TOEFL iBT 80点以上
IELTS 6.5以上
TOEIC 800点以上

ただし上記はあくまで一般英語の目安です。NCLEX対策には、一般英語力に加えて医療英語の語彙力と読解力が不可欠です。

NCLEXの英語で特に重要な3つのスキル

  1. 長文読解力:1問あたり200〜300語の状況説明を素早く読み、核心を把握する力
  2. 医療専門用語:疾患名、薬品名、検査名、看護用語を英語で理解する力
  3. ニュアンスの読み取り:「most appropriate」「priority」「first action」などの微妙な表現の違いを正確に判断する力

医療英語の効率的な準備方法

  • NCLEX問題集を英語で解くことが最高の教材:最初は辞書を引きながらでOK
  • 医療英語の接頭辞・接尾辞を覚える:hepat- = 肝臓、-ectomy = 切除、-itis = 炎症 など
  • 医療ドラマを英語字幕で観る:Grey's Anatomy等でリスニングと語彙に慣れる
  • 医療英語専門のスクールで体系的に学ぶ:独学では抜け漏れが出やすい分野

HLCAでは、看護師出身の講師がNCLEX受験を見据えた医療英語のマンツーマンレッスンを提供しています。看護師に必要な医療英語を、現場で使う表現とともに体系的に身につけることができます。IELTSやTOEFLなど英語試験の対策についてもサポートしています。詳しくは「看護師のIELTS対策ガイド|国別スコア要件と最短で7.0を取る勉強法」もご覧ください。

おすすめ教材・アプリ|NCLEX対策に使える学習ツール

NCLEX対策の教材とアプリで学習するイメージ

NCLEX対策には、正しい教材選びが合格への近道です。世界中のNCLEX受験者に支持されている教材を紹介します。

問題集・オンライン学習ツール

教材名 特徴 おすすめ度
UWorld NCLEX対策の定番。本番に近い問題形式と詳細な解説。合格者の多くが使用 最高
Saunders Comprehensive Review 体系的な知識整理に最適。分厚いがカバー範囲が広い 最高
Kaplan NCLEX-RN Prep Decision Treeという独自の解法戦略が特徴
NCLEX High Yield YouTube動画と連動。視覚的に学べる
Archer Review コスパが良い。CAT形式の模擬試験あり
Mark Klimek講義 音声講義で通勤中の学習に最適。優先順位問題の解法が秀逸

学習スマホアプリ

  • UWorld NCLEX:PC版と同期可能。隙間時間に問題演習ができる
  • NCLEX RN Mastery:カテゴリ別の問題演習と弱点分析機能が充実
  • Picmonic:イラストと語呂合わせで医療用語を暗記。薬理学に特に有効
  • Quizlet:自作のフラッシュカードで単語を暗記。他の受験者が作ったデッキも利用可能

教材の組み合わせ方(おすすめ)

  1. 知識のインプット:Saunders + Mark Klimek講義で全範囲を網羅
  2. 問題演習:UWorld を2周以上解く(正答率65%以上を目標に)
  3. 弱点補強:苦手分野はPicmonicやYouTubeの解説動画で補完
  4. 直前対策:Archer ReviewのCAT模擬試験で本番をシミュレーション

合格者のリアルな声と学習スケジュール

NCLEX合格を目指して学習する看護師のイメージ

NCLEX対策の学習期間は個人の英語力や看護経験によって異なりますが、日本人看護師の場合、3〜6ヶ月の集中学習が一般的です。ここでは、合格者に共通する学習パターンを紹介します。

3ヶ月プラン(英語力がある程度ある場合)

期間 学習内容 1日の学習時間
1ヶ月目 Saundersで全範囲を通読。並行してUWorld開始 3〜4時間
2ヶ月目 UWorldを中心に問題演習。弱点分野を重点的に 4〜5時間
3ヶ月目 UWorld2周目+CAT模擬試験。間違えた問題を徹底復習 5〜6時間

6ヶ月プラン(英語力を同時に強化する場合)

期間 学習内容 1日の学習時間
1〜2ヶ月目 医療英語の基礎固め。接頭辞・接尾辞・基本用語の暗記 2〜3時間
3〜4ヶ月目 Saundersで知識整理+UWorld問題演習を開始 3〜4時間
5〜6ヶ月目 問題演習の量を増やし、弱点を集中的に強化 4〜6時間

合格者に共通する学習のコツ

  • 毎日最低50問は問題を解く:量をこなすことで出題パターンに慣れる
  • 間違えた問題の解説を必ず読む:「なぜその選択肢が正解なのか」を理解する
  • UWorldの正答率65%以上を目標にする:合格者の多くがこのラインを超えている
  • 学習仲間を作る:SNSやオンラインコミュニティで情報交換する
  • 本番と同じ条件で模擬試験を受ける:時間配分の感覚をつかむ

HLCAの卒業生の中にも、NCLEX合格を目指して医療英語を学んだ方がいます。「アメリカ看護師を目指しNCLEXとIELTS対策!医療英語オンラインスクールの活用法とは?」では、実際の受講体験を紹介しています。

よくある質問(FAQ)

NCLEX-RNに関するよくある質問

Q. NCLEXは独学で合格できますか?

独学での合格は可能ですが、日本人看護師の場合は英語面でのハードルが高いのが現実です。看護の知識は十分にあっても、問題文の英語を正確に読み解けないと合格は難しくなります。UWorldなどの問題集をベースにしつつ、医療英語の基礎は専門スクールで効率的に身につけることをおすすめします。

Q. NCLEX受験に英語試験のスコアは必要ですか?

NCLEX自体には英語スコア要件はありません。ただし、ビザ申請やCGFNSのVisaScreen(就労ビザ取得に必要な審査)では、IELTS 6.5〜7.0やTOEFL iBT 83点以上が求められる場合があります。

Q. 日本でNCLEXを受験できますか?

はい、東京と大阪のPearson VUEテストセンターで受験可能です。わざわざアメリカに行く必要はありません。ただし、受験する「州」のBoard of Nursingへの申請は必要です。

Q. NCLEX不合格だった場合、再受験はできますか?

再受験は可能です。不合格の場合、45日間の待機期間の後に再受験できます(州によって異なる場合あり)。再受験の回数制限も州によって異なるため、事前に確認してください。

Q. NCLEX対策にどのくらいの費用がかかりますか?

NCLEX受験の主な費用は以下のとおりです。

  • NCLEX受験料:$200
  • CGFNS審査料:$445〜$600
  • 州のBON申請料:$50〜$400(州による)
  • 教材費(UWorld等):$100〜$400
  • 英文書類の取得・翻訳費用:数万円

合計で約15〜30万円が目安です。

Q. NCLEX合格後、すぐにアメリカで働けますか?

NCLEX合格後も、就労ビザの取得が必要です。看護師はEB-3ビザ(永住権)の対象ですが、ビザの処理には数ヶ月〜数年かかることがあります。VisaScreen Certificateの取得も別途必要です。

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この記事を書いた人
今実紅

看護師免許を保有。企業勤務・産業保健領域での経験を経て、医療英語スクールHLCAに参画。 現在は、受講を検討する医師・看護師・薬剤師など医療従事者へのカウンセリングを担当しながら、医療英語メディアの記事制作・SEOコンテンツ改善に携わる。 海外在住経験を通じて実践的な英語力を身につけ、TOEIC860点を取得。 メンタルヘルス、ウィメンズヘルスなど、医療専門性と生活者視点の両方が求められるテーマでの執筆経験を持つ。 看護師としての医療知識、医療英語学習者へのカウンセリング経験、SEO記事制作の知見を活かし、現場で安全に使える医療英語表現をわかりやすく発信している。