訪日・在日外国人の数が増え続けている昨今、日本の病院を訪れる外国人患者の数も増えています。
「診察時の問診や患者説明を英語でできるようになりたい」
「もう外国人患者が来ても焦りたくない」
そんな方のために本記事では、都内病院で多くの外国人患者と接してきた元看護師の筆者が、病院の診察で使える医療英語を解説します。
医療英語を使って患者に安心・安全な看護を提供しましょう!
この記事のもくじ
病院の診察の医療英語
病院の診察は、以下のような流れで進んでいきます。
- 問診
- 視診・聴診・触診・打診
- 検査の案内
これら3場面に対応できる医療英語をご紹介します。
問診をする医療英語
診察の際は、まずは問診をする必要があります。
以下の情報をもとに問診し、患者の状態を把握しましょう。
①部位(Site)
②始まり(Onset)
③性質(Character)
④広がり(Radiation)
⑤随伴症状(Associations)
⑥時間経過(Time course)
⑦憎悪因子(Exacerbating factors)
⑧強さ(Severity)
これらは、英語の頭文字をとって「SOCRATES(ソクラテス)」と覚えることができます。
その他、既往歴やアレルギー、服薬状況なども重要な情報です。
以下の医療英語を使って、問診をスムーズに行いましょう。
■病院に来た理由
What brings you here today?
(今日はどうされましたか?)
I have a fever.
(熱があります)
My low back hurts.
(腰が痛いんです)
I have itchy eyes.
(目がかゆいんです)
■部位(Site)
Where does it hurt/itch?
(どこが痛い/かゆいですか?)
■始まり(Onset)
When did it start hurting?
(いつから痛み始まりましたか?)
When did the symptom start?
(その症状が始まったのはいつですか?)
When did you get hurt?
(ケガをしたのはいつですか?)
■性質(Character)
What is the pain like?
(どのような痛みですか?)
■広がり(Radiation)
Does the pain move anywhere?
(その痛みは移動しますか?)
■随伴症状(Associations)
Do you have any other symptoms?
(他に何か症状はありますか?)
■時間経過(Time course)
Does it hurt continuously, or off and on?
(痛みは持続的ですか、それとも途切れ途切れですか?)
■憎悪因子(Exacerbating factors)
Does anything make it better or worse?
(症状を和らげたり悪化させたりするものはありますか?)
■強さ(Severity)
How much does it hurt, on a scale of 1 to 10?
(1から10までの範囲だと、どれぐらい痛みますか?)
■既往歴
Have you ever had any illness before?
(以前何かご病気にかかったことはありますか?)
■アレルギー
Do you have any allergies?
(何かアレルギーはありますか?)
■服薬状況
Do you take any medicines?
(何かお薬は飲んでいますか?)
■手術歴
Have you ever had a surgery before?
(以前手術をしたことはありますか?)
- 症状は「have + 名詞」、「feel + 形容詞」、「主語 + 動詞」という
- 「have ever 動詞の過去分詞」=「~したことがある」
使える英単語
- fever=[名]熱
- cough=[名]咳
- stomachache=[名]腹痛
- headache=[名]頭痛
- running nose=鼻水がたれている鼻
- sore=[形]痛い
- dizzy=[形]めまいがする
- nauseous=[形]吐き気がする
- ill=[形]気分が悪い
- itchy=[形]かゆい
- vomit=[自動]吐く
- hurt=[自動]~が痛む、[名]けが
- injure=[他動]~を傷つける
- itch=[自動]かゆい
- head=頭
- eye=目
- eyelid=まぶた
- nose=鼻
- ear=耳
- mouth=口
- tooth=歯
- lip=唇
- tongue=舌
- cheek=頬
- chin=顎
- forehead=おでこ
- neck=首
- throat=のど
- chest=胸
- stomach=お腹・胃
- belly=お腹
- back=背中
- low back=腰
- shoulder=肩
- armpit=わきの下
- arm=腕
- elbow=肘
- wrist=手首
- hand=手
- palm=手のひら
- finger=指
- thumb=親指
- index finger=人差し指
- middle finger=中指
- ring finger=薬指
- pinky=小指
- nail=爪
- leg=脚
- thigh=太もも
- knee=膝
- shin=すね
- calf=ふくらはぎ
- foot=足
- ankle=足首
- Achilles tendon=アキレス腱
- toe=つま先
- sole=足の裏
- heel=かかと
- buttocks=おしり
視診・聴診・触診・打診をする医療英語
問診が終わったら、視診・聴診・触診・打診で患部を観察します。
患者を不安にさせないよう、何をしているのか説明できるようにしましょう。
■視診
Let me see your throat.
(喉を見せてください)
Please open your mouth.
(口を開けてください)
Please roll up your shirt.
(シャツをまくってください)
■聴診
I’ll hear your breath sounds.
(呼吸音を聞きますね)
Please inhale/exhale.
(息を吸って/吐いてください)
■触診
I’ll touch here.
(ここを触りますね)
Does it hurt here?
(ここは痛いですか?)
Please lie on your back/stomach/right side/left side.
(仰向け/うつ伏せ/右向き/左向きに寝てください)
■打診
I’ll pop here.
(ここを叩きますね)
I’ll push here.
(ここを押しますね)
- 「Let me 動詞の原形」=「~させてください」
使える英単語
- see=~を見る
- open=~を開く
- roll up=巻き上げる
- hear=~を聞く
- breath sounds=呼吸音
- heartbeat=心拍
- inhale=吸い込む
- exhale=息を吐く
- touch~に障る
- lie on your back/stomach/right side/left side=仰向け/うつ伏せ/右向き/左向きに寝る
- pop=~をたたく
- push=~を押す
検査の案内をする医療英語
問診・視診・聴診・触診・打診が終わったら、必要に応じて検査を行います。
検査内容を患者に説明し、英語で案内しましょう。
You need to take X-ray.
(レントゲンを撮る必要があります)
Please come back when you finish X-ray.
(レントゲンが終わったら戻ってきてください)
- 検査を「受ける」という英語は、ほぼ全て「take」で言い表すことができる
使える英単語
- blood test=採血
- blood pressure check=血圧測定
- X-ray=レントゲン
- CT scan=CT検査
- ultrasound scan=エコー検査
- electrocardiogram / ECG=心電図
- flu test=インフルエンザ検査
病院の診断の医療英語
診察の後は、患者に診断を伝えます。
診断を完了させるには、以下3つのプロセスがあります。
- 診断を伝える
- 処置を行う
- 処方箋を渡す
次の医療英語を使って、滞りなく診断を完了させましょう!
診断を伝える医療英語
患者の検査が終わったら、結果をもとに医師から診断を伝えます。
以下の医療英語を使って、患者の理解を助けましょう。
■診断を伝える
You have flu.
(あなたはインフルエンザです)
Your left collar bone is broken.
(左の鎖骨が折れています)
■注意点を伝える
You can’t go out for at least 2days.
(最低3日間は外出できません)
Please drink plenty of water to prevent dehydration.
(脱水にならないよう、お水はたくさん飲んでください)
You should eat something easy on the stomach.
(消化に良いものを食べるようにしてください)
Please don’t take a bath for 3 days.
(3日間は湯舟に浸からないでください)
- 病名は、「have + 病名」で伝えることができる
- 「plenty of ~」=「たくさんの~」
- 「something easy on the stomach」=「お腹にやさしいもの」
- 「take a bath/shower」=「お風呂に入る/シャワーを浴びる」
使える英単語
- cold=風邪
- influenza/flu=インフルエンザ
- dehydration=脱水
- pneumonia=肺炎
- asthma=喘息
- stomach flu=胃腸炎
- food poisoning=食あたり
- anemia=貧血
- fracture=骨折
- dislocation=脱臼
- herniated disc=椎間板ヘルニア
- shingles=帯状疱疹
- cold sore=口唇ヘルペス
- middle ear infection=中耳炎
- pink eye=結膜炎
- bone:骨
- skull:頭蓋骨
- back bone:背骨
- collar bone:鎖骨
- breast bone:胸骨
- costal bone:肋骨
- shoulder blade:肩甲骨
- pelvis:骨盤
- coccyx:尾骨
- thighbone:大腿骨
- brain:脳
- cornea:角膜
- conjunctiva:結膜
- eyeball:眼球
- lung:肺
- thyroid gland:甲状腺
- windpipe:気管
- tonsil:扁桃腺
- heart:心臓
- esophagus:食道
- stomach:胃
- guts:腸
- liver:肝臓
- pancreas:膵臓
- kidney:腎臓
- womb:子宮
- prostate:前立腺
- muscle:筋肉
- blood:血液
- blood vessel:血管
- nerve:神経
- lymph:リンパ
処置を行う医療英語
病院で何らかの処置が必要になった場合、患者に説明をする必要があります。
患者が安心して処置を受けられるよう、以下の英語で説明しましょう。
■点滴の説明
You will have an IV.
(点滴をします)
It takes for about an hour.
(1時間ほどかかります)
Please lie down on this bed.
(このベッドに横になってください)
Please roll up the sleeve.
(袖をまくってください)
I will tie a tourniquet.
(駆血帯を結びますね)
I will clean it.
(消毒をします)
Does it hurt now?
(今痛みますか?)
■ギプスやシーネの説明
You need a cast/ splint.
(ギプス/シーネが必要です)
Please sit down here.
(ここに座ってください)
Please roll up the sleeve.
(袖をまくってください)
First, we are going to take your arm impression.
(最初に、あなたの腕の型をとります)
We are going to roll a pad around your arm.
(腕に当てものを巻きます)
Now we will stabilize your arm.
(では腕を固定していきます)
■縫合の説明
We are going to stich the wound.
(傷を縫います)
I will disinfect it.
(消毒をします)
You will get a local anesthesia.
(局所麻酔をします)
This may sting a little, but just hold on for a second so that you won’t feel any pain.
(少し痛むかもしれませんが、少しだけ我慢してください。そうすれば痛みを感じなくなります)
Now it’s finished. You got 8 stitches.
(終わりました。8針縫いましたよ)
- 「~します」は「I/You will 動詞の原形」や「I/You be going to 動詞の原形」で伝わる
- 指示は「Please」を付けるだけでいい
使える英単語
- injection=[名]注射
- IV=点滴(intravenous dripの略)
- tourniquet=[名]駆血帯
- stitch=[他動]~を縫う、ひと針
- disinfect, clean=[他動]~を消毒する
- anesthesia=[名]麻酔
- cast=[名]ギプス
- splint=[名]シーネ
- impression=[名]押し付けてできる跡
- pad=[名]柔らかい当てもの
- stabilize=[他動]~を固定する
- eye drop=[名]目薬
- cream / lotion=塗り薬
処方箋を渡す医療英語
最後に、患者に処方箋を渡して診察は終了です。
処方箋を渡す際は、効能や用法、薬局での薬のもらい方を説明する必要があります。
■効能
This is a medicine for headache.
(頭痛を和らげるお薬です)
■用法
Please take this 3 times a day after every meal.
(食後1日3回飲んでください)
You can apply this to your low back when it hurts.
(腰が痛むときはこれを塗る/貼ると良いです)
Please put this eye drops 3 times a day.
(1日3回この目薬を差してください)
■薬のもらい方
Please bring this prescription to a pharmacy.
(薬局にこの処方箋を持って行ってください)
There is a pharmacy next to this hospital.
(病院の隣に薬局があります)
Please give this prescription to a pharmacist.
(薬剤師にこの処方箋を渡してください)
- 「medicine for 病名」で「~を和らげる薬」という意味で使える
- 例)「medicine for nausea」=「吐き気止め」、「medicine for stomachache」=胃薬など
使える英単語
- medicine=薬
- prescription=処方箋
- take=薬を飲む
- apply to~=~に塗る、貼る
- put eye drops=目薬を差す
- pharmacy=薬局
- pharmacist=薬剤師
診察の医療英語を学んで患者に安心・安全な看護を!
日本の病院に訪れる外国人の方は、言葉が通じない分非常に不安を感じています。
本記事でご紹介した医療英語を使って、安心・安全な看護を提供しましょう!
短期間で効率的に医療英語を学びたい方には、「HLCA」の医療英語オンラインスクールがおすすめです。
1日50分の「オンライン英会話」と、1日6コマの授業を受ける「オンライン留学」から好きなコースを選べます。
目標に合わせて確実に医療英語を話せるようになりたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。