看護師が外国人患者とコミュニケーションをとる方法や使える英語を解説

HLCA編集部
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看護師が外国人患者とコミュニケーションをとる方法や使える英語を解説
海仲由美
この記事の監修者
HLCA代表 / 校長 / 正看護師
正看護師として日本で4年半の臨床経験。2013年フィリピン・セブ島で英語留学。2015年4月に医療従事者向け医療英語スクールHLCAを設立。医療従事者の英語学習・海外キャリア・医療通訳を支援。「女性のためのフィリピン留学協会」理事、国際看護学非常勤講師。

近年外国人が急増中の日本では、外国人患者も増えています。

看護師は外国人患者とどのようにコミュニケーションをとれば良いのでしょうか?

本記事では、都内病院で多くの外国人患者と接してきた元看護師の筆者が、外国人患者とのコミュニケーションをマニュアル化してみました!

外国人患者とうまくコミュニケーションをとりたい看護師は、ぜひ最後まで読んでみてくださいね!

看護師が外国人患者とコミュニケーションをとる機会が増加中!

近年、日本に訪問・在住する外国人の数が急増中です。

在留外国人数は、2005年の約190万人から2016年には230万人に増加、訪日外国人数は、2005年の約700万人から2016年には約2400万人に増加しています(法務省より)。

外国人患者も増えていると言われており、厚労省の調査では、2019年には全国の拠点的な医療機関のうち8割以上が外国人患者を受け入れていました。

看護師にとって外国人患者とのコミュニケーションは非常に身近なものとなっているのです。

看護師が外国人患者とコミュニケーションをとる方法

看護師が外国人患者とコミュニケーションをとる方法には、以下の4つがあります。

① 患者の母国語もしくは英語を話す

② 翻訳ツールを使う

③ 筆談をする

④ ジェスチャーで伝える

1番スムーズなのは、外国人患者の母国語でのコミュニケーションです。

しかし、日本人が患者の母国語を話せることはなかなかありません。

お互い英語が話せれば英語でコミュニケーションを取るのがベストでしょう。

英語が話せない場合は、Google翻訳などの翻訳ツールを使ったり、筆談したりする方法もあります。

ジェスチャーで伝えることも可能ですが、説明の精度や患者の安心感を考えると、言葉で伝えるのが1番です。

英語が話せなくても、いざ外国人患者が来たときに対応できるようにしておく必要があります。

よく使う診断名検査名説明を予め英語メモなどにして用意しておくようにしましょう。

外国人患者とのコミュニケーションで看護師に必要なこと

外国人患者とコミュニケーションをとる際、看護師には何が求められるのでしょうか?

「ICN(国際看護師連盟)看護師の倫理綱領」には、以下のように記載されています。

看護のニーズはあらゆる人々に普遍的である。

看護ケアは、年齢、皮膚の色、信条、文化、障害や疾病、ジェンダー、性的指向、国籍、政治、人種、社会的地位を尊重するものであり、これらを理由に制約されるものではない。

(引用元:ICN 看護師の倫理綱領

以上から、外国人患者であろうと、日本人患者であろうと、看護を必要とする人に変わりはないことが分かります。

実践すべき看護内容は、「日本看護協会」で以下のように定められています。

看護を必要とする人を、身体的、精神的、社会的、スピリチュアルな側面から支援する。

看護を必要とする人の意思決定を支援する。

看護を必要とする人が変化によりよく適応できるように支援する。

(引用元:看護業務基準/日本看護協会

これらを実践するために必要な力は、「看護師のクリニカルラダー(日本看護協会版)」で以下4つに定められています。

① ニーズをとらえる力

② ケアする力

③ 協働する力

④ 意思決定を支える力

(引用元:看護師のクリニカルラダー(日本看護協会版)

では、これら4つは具体的にどのような力を指すのでしょうか?

そしてそれを実践するにはどのようなコミュニケーションが必要なのでしょうか?

以下で詳しくみていきましょう!

看護師が外国人患者とコミュニケーションをとるときに使える英語

外国人患者とコミュニケーションをとるときに使える英語をシチュエーション別に紹介します。

外国人患者のニーズをとらえる

ニーズをとらえる力は、外国人患者の情報を把握し、その人に合った処置を決定することを指します。

問診診察において必要となる力です。

ニーズをとらえるために、外国人患者からは以下の情報を得なければなりません。

① 痛みの部位(Site)

② 痛みの始まり(Onset)

③ 痛みの性質(Character)

④ 痛みの広がり(Radiation)

⑤ 随伴症状(Associations)

⑥ 痛みの時間経過(Time course)

⑦ 増悪因子(Exacerbating factors)

⑧ 痛みの強さ(Severity)

これらの項目は、英語の頭文字から「SOCRATES(ソクラテス)」と覚えておくことができます。

この他、既往歴アレルギーなどに関する情報も必要です。

英語などで直接コミュニケーションをとるか、翻訳ツール、筆談、ペインスケールなどで情報を集めましょう。

ニーズをとらえる際には、予め以下のような英語が話せるようにしておくと便利です。

What brings you here today?

(今日はどうされましたか?)

What is the pain like?

(どのような痛みですか?)

Where does it hurt?

(どこが痛みますか?)

When did it start hurting?

(いつから痛み始めましたか?)

How much does it hurt?

(どのぐらい痛みますか?)

What makes the pain worse?

(何をすると痛みがひどくなりますか?)

Do you have any other symptoms?

(他に何か症状はありますか?)

Do you have any allergies?

(アレルギーはありますか?)

Do you take any medicines?

(何かお薬は飲んでいますか?)

Do you have any past medical history?

(何かご病気をされたことはありますか?)

Have you ever had surgery?

(何か手術をされたことはありますか?)

「5W1H」「Do you~?」のパターンを準備しておくだけでも、多くの場面に対応しやすくなります。前もって練習したり、メモにまとめておきましょう。

外国人患者にケアをする

看護師のケア内容は、外国人患者だろうと日本人患者だろうと変わりません。

ただし、外国人患者の場合は、相手が理解できるコミュニケーション方法で以下の内容を伝えなければなりません。

  1. これから行うケアの説明
  2. 患者への注意点や指示の説明

説明する内容自体は、患者が誰であろうとほとんど同じです。

予め説明内容を英語などに直して用意しておくと、いざ外国人患者が来ても説明に慌てずに済みます。

イレギュラーな対応が必要になったときのみ、翻訳機などを使うとスムーズでしょう。

外国人患者への看護ケアで使う英語は、「This is~.」「will / can ~」で十分です。

以下の英語で、外国人患者とスムーズにコミュニケーションをとりましょう。

This is an antibiotic.

(これは抗生剤です)

You will have a blood test.

(採血をします)

It will take about 45 minutes.

(45分ほどかかります)

We will see if you need to be hospitalized after the test.

(検査をして入院が必要かどうか判断します)

You can walk around the hospital from tomorrow.

(明日から病院内を歩き回れます)

協働して外国人患者を看護する

看護に必要とされる「協働する力」は、他職種も含めたチーム全体で患者をサポートする力を指します。

外国人患者の治療をスムーズにするには、患者の文化をチーム全体で理解することが必要不可欠です。

外国人患者の文化アセスメントに必要な情報は、以下のようなものがあります。

  1. 民族
  2. 宗教
  3. 宗教上のルール
  4. 使用言語
  5. 発音
  6. 出生地
  7. 遺伝性疾患
  8. 時間感覚
  9. 家族の有無
  10. 家族の役割 etc…

(参考:外国人患者受け入れにおける診療や入院、治療に伴う対応

これらの情報は、問診や外国人患者とのコミュニケーションから収集可能です。

外国人患者が分かる言語で質問シートを作ったり、直接コミュニケーションをとって情報収集しましょう。

得た情報はチーム全体でシェアすることで、外国人患者にもスムーズな治療が提供できます。

外国人患者の文化的な背景情報を収集する際は、以下の英語が使えます。

情報収集で注意すべきなのが、差別的な意図はないと伝えることです。

文化や宗教に関する質問は、人によっては立ち入った内容と受け取られることがあります。

いきなり「あなたの宗教は何?」などと聞かれると、自分の宗教が何に影響するのか、警戒意識を持たれる可能性があるのです。

外国人患者に文化背景の情報を聞く際は、必ず「看護をスムーズに行うために聞かせてほしい」と前置きすることをおすすめします。

Let me ask you some cultural questions.

(いくつか文化的な質問をさせてください)

May I ask you some cultural questions?

(いくつか文化的な質問をしても良いでしょうか?)

This is to help us provide better care for you.

(あなたにとって我々の看護をより良くするためです)

Do you have any religious or cultural needs we should be aware of?

(配慮すべき宗教上・文化上のことはありますか?)

Do you have any religious practices or rules we should know about?

(宗教上の何らかのルールはありますか?)

Are there any foods you avoid for religious reasons?

(宗教のために食べられないものはありますか?)

What can we do to help you follow your cultural rules?

(あなたが文化上のルールを守れるよう手伝うために、私たちは何ができますか?)

What language do you use?

(あなたは何語を使いますか?)

Do you have any family with you today?

(今日はご家族とご一緒ですか?)

Where does your family live?

(あなたの家族はどこに住んでいますか?)

外国人患者の意思決定を支える

外国人患者の意思決定を支えるには、

  1. 外国人患者のニーズをとらえる
  2. 外国人患者にケアをする
  3. 協働して外国人患者を看護する

の中で患者の不安要素になっているものや、治療の妨げになっているものを取り除いていくことが大切です。

外国人患者とのコミュニケーションが一方的にならないよう、その都度質問がないか尋ねたり、不安なことがないか聞いてみるようにしましょう。

外国人患者の意思決定をサポートするには、

  1. 質問や不安要素を確認する英語
  2. 理解を示す英語
  3. 一緒に考えていく姿勢を示す英語

を覚えておくと便利です。

Do you have any questions?

(何か質問はありますか?)

Do you have any problems?

(何か問題はありますか?)

Is there anything you’re worried about?

(何か心配なことはありますか?)

I understand how you feel.

(その気持ち分かります)

It must be tough.

(大変ですよね)

Let us know anytime if you have a problem.

(問題があればいつでも私たちに教えてくださいね)

Let me confirm that.

(確認させてください)

とっさの場面で使える!外国人患者への一言英語フレーズ

忙しい現場では、じっくり問診や説明をする余裕がないこともあります。ここでは、廊下やベッドサイドでとっさに使える短い英語フレーズをまとめました。長い文章でなくても、一言添えるだけで外国人患者の安心感につながりやすくなります。

患者を安心させる一言

We’ll take good care of you.(しっかりお世話しますね)

I’m here with you.(そばにいますよ)

Take your time.(ゆっくりで大丈夫です)

Please let me know if you feel uncomfortable.(つらくなったら教えてくださいね)

痛み・つらさをすばやく確認する一言

Are you in pain now?(今、痛みはありますか?)

Can you show me where it hurts?(どこが痛いか教えてもらえますか?)

On a scale of 0 to 10, how bad is the pain?(痛みは0〜10でどのくらいですか?)

ペインスケールを指さしてもらうと、英語が苦手な患者でも痛みの強さを共有できます。

待ち時間・順番を伝える一言

Please wait here for a moment.(こちらで少々お待ちください)

The doctor will see you soon.(まもなく医師が参ります)

It will be about 10 more minutes.(あと10分ほどです)

待たせる場面では、「あとどれくらいか」を具体的に伝えると、不安やクレームの軽減につながりやすくなります。

看護師と外国人患者のコミュニケーションには英語習得がおすすめ!

外国人患者は、日本語が話せないことも多いです。

英語メモを用意しておくのも良いですが、時にはメモにはないコミュニケーションも求められます。

その度に翻訳ツールを利用していては時間がかかり、看護の質が落ちかねません。

円滑なコミュニケーションで外国人患者に良質な看護が提供できるよう、看護師も英語を習得しておくのがおすすめです。

全ての外国人患者が英語を話せるとは限りませんが、2019年時点で、世界で最も使われている言語は英語というデータもあります。

英語は、多くの外国人患者と意思疎通できる可能性が比較的高い言語といえます。

とりあえず英語を話せるようになっておけば、その都度英語を調べる手間も減り、精神的なストレスも軽減されます。

外国人患者にスムーズに対応したい看護師は、ぜひ英語を習得してみましょう。

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外国人患者対応に関するよくある質問

Q. 英語が苦手でも外国人患者に対応できますか?

はい、対応できます。最初から流暢に話す必要はなく、本記事で紹介した「5W1H」と「Do you〜?」「This is〜.」などの定型フレーズをいくつか準備しておくだけでも、多くの場面に対応できます。まずはよく使う問診・説明のフレーズをメモにして、声に出して練習しておくのがおすすめです。

Q. 翻訳アプリだけでは不十分ですか?

翻訳アプリは補助としてとても便利ですが、毎回操作していると時間がかかり、緊急時や処置の説明では間に合わないことがあります。とっさの一言や安心の声かけは自分の言葉で、複雑な内容は翻訳アプリでと使い分けるのが現実的です。

Q. どのくらい英語が話せれば現場で困りませんか?

日常的な看護のやり取りであれば、中学英語レベルの文法+医療現場でよく使う単語・フレーズから始められます。ただし、複雑な説明や同意取得、緊急時などは、医療通訳や院内の対応手順を併用することが大切です。難しいのは一般会話より「医療の文脈で正しく伝わるか」で、ここは医療英語に絞って練習すると効率的に伸ばせます。

次のステップ:外国人患者対応の英語を「使える」に

フレーズを覚えたら、次は実際の現場で使える力に変えていく段階です。看護師向けの医療英語学習やスクール選びは、以下の記事が参考になります。

まとめ:良質なコミュニケーションで外国人患者にも安心・安全な看護を

外国人患者の看護では、

  1. ニーズの把握
  2. ケアの実施
  3. チームでの協働
  4. 意思決定のサポート

を可能にする良質なコミュニケーションが必要不可欠です。

英語や、外国人患者の母国語を使って、必要な情報を把握し、正確な説明ができるようにしておきましょう。

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この記事を書いた人
HLCA編集部

医療英語スクールHLCAの編集チーム。 医師・看護師・薬剤師・受付スタッフなど、医療従事者向けの医療英語学習を支援するメディアとして、現場で使える医療英単語・フレーズ・ロールプレイを発信しています。 記事制作では、医療現場でのコミュニケーション、患者対応、多職種連携の観点を重視し、医療英語を初めて学ぶ方にも分かりやすい内容を心がけています。