日本と海外の病院の違い|受診の仕組み・入院・看護の慣習を制度から比較

HLCA編集部
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日本と海外の病院の違い|受診の仕組み・入院・看護の慣習を制度から比較
海仲由美
この記事の監修者
HLCA代表 / 校長 / 正看護師
正看護師として日本で4年半の臨床経験。2013年フィリピン・セブ島で英語留学。2015年4月に医療従事者向け医療英語スクールHLCAを設立。医療従事者の英語学習・海外キャリア・医療通訳を支援。「女性のためのフィリピン留学協会」理事、国際看護学非常勤講師。

「海外で看護師として働きたいけれど、病院の仕組みが日本とどれくらい違うのか分からない」

「受診の流れも、入院中の付き添いも、日本の常識のままで大丈夫なのだろうか」

渡航前にそう感じている看護師の方も多いのではないでしょうか。

この記事では、日本と海外で受診の仕組み・入院時の付き添いや面会の慣習・看護体制・費用や保険の考え方がどう違うのかを、制度の背景から整理します。誤解しやすい場面での英語表現もあわせて紹介します。

【この記事でわかること】

  • 日本と海外で、受診の仕組み(フリーアクセスか登録制・紹介制か)がどう違うか
  • 入院時の付き添い・面会に関する慣習が国によってどう異なるか
  • 看護体制やチーム医療の考え方、費用・保険の仕組みの違い

受診の仕組みの違い(フリーアクセス制と紹介制・登録制)

日本の医療制度は、患者が自分の意思で医療機関を選んで受診できる「フリーアクセス」が基本になっています。

大学病院のような大きな病院にも、原則として直接かかることができます。

ただし、紹介状を持たずに一定規模以上の病院を受診すると、通常の診療費とは別に特別料金がかかる仕組みがあります。

これは外来患者が大病院に集中し、待ち時間や勤務医の負担が増える課題に対応するためのもので、かかりつけ医への受診を促す狙いがあります。

一方、イギリスのNHS(国民保健サービス)は、この点で日本と大きく異なります。

患者はまず自分が登録しているGP(かかりつけ医)を受診し、専門医の診療が必要と判断された場合に紹介を受ける仕組みが基本です。

性病クリニックや救急科などの例外を除き、専門医に自己判断で直接アクセスすることは想定されていません。

GPがすべての医療記録を保管しているため、紹介の要否も含めて医学的な判断はGPが行います。

アメリカは民間保険が中心のため制度が保険プランによって異なりますが、HMO(Health Maintenance Organization)と呼ばれるプランでは、専門医を受診する前にプライマリケア医の紹介を必要とする仕組みが一般的です。

この違いを知らずに渡航すると、現地で「なぜ専門医にすぐかかれないのか」と戸惑う場面が出てきます。

海外で働く看護師としては、患者からこうした制度の違いについて質問されることも想定しておくとよいでしょう。

受診の仕組みの違いと、知っておくと役立つ英語表現
国・制度 受診の仕組み 知っておくと役立つ英語表現
日本 フリーアクセスが基本。紹介状なしの大病院受診には特別料金が生じる場合がある Do I need a referral to see a specialist?(専門医の受診に紹介状は必要ですか)
イギリス(NHS) 登録したGPを受診し、必要に応じてGPから専門医へ紹介される I’d like to register with a GP practice.(GP診療所に登録したいです)
アメリカ(HMOプランの場合) プライマリケア医の紹介を経て専門医を受診するのが一般的 Do I need a referral from my primary care provider?(プライマリケア医からの紹介は必要ですか)

受診の仕組みについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

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入院時の付き添い・面会に関する慣習の違い

日本の入院では、看護は病院の看護職員が中心となって行い、家族による付き添いは小児や意思疎通が難しい患者などに限って認められる形が一般的です。

「基準看護」「完全看護」と呼ばれてきた考え方がこの背景にあり、看護の担い手は医療機関側というのが原則になっています。

面会時間についても、病棟ごとに定められた時間帯の中で行うのが通例です。

一方、アメリカでは患者が「サポートパーソン(support person)」を自分で選ぶ権利が、メディケア・メディケイドに参加する病院の運営基準として位置づけられています。

この支援者は家族に限らず、パートナーや友人でもよいとされ、患者が誰の付き添いを受けるかを患者自身が決めるという考え方が基本にあります。

病棟の状況によって面会に制限がかかることはありますが、「家族だから」「友人だから」という理由だけで面会を断られることは想定されていません。

こうした違いから、日本の感覚で「付き添いは家族の役目」と考えていると、現地の病棟で付き添いの範囲や面会のルールについて患者・家族から質問を受けたときに戸惑うことがあります。

逆に、海外の病棟から日本へ来た患者・家族に対応する場面では、「なぜ付き添いが制限されるのか」を説明する場面も想定しておくとよいでしょう。

付き添い・面会に関する考え方の違いと、知っておくと役立つ英語表現
国・制度 付き添い・面会の考え方 知っておくと役立つ英語表現
日本 看護は医療機関の看護職員が中心。付き添いは小児等に限定される場合が多い Family accompaniment is limited to certain cases.(付き添いは一部のケースに限られます)
アメリカ 患者が選んだサポートパーソンの面会・付き添いが権利として位置づけられている Who would you like as your support person?(どなたを付き添いの方にご希望ですか)

看護体制・チーム医療の違い

日本の病棟では、看護師が受け持ち患者を担当しながら、医師・薬剤師・リハビリ職などと連携するチーム医療の考え方が広がっています。

役割分担はありますが、看護業務そのものは看護師が中心になって担う体制が一般的です。

アメリカの病院でよく見られる「チームナーシング(team nursing)」というモデルでは、登録看護師(RN)がチームリーダーとなり、准看護師や看護助手など複数の職種にケアを割り振って進めていく形をとります。

アメリカ看護師協会(ANA)も、多様な専門性を持つメンバーで構成される患者中心のヘルスケアチームを支持する立場を示しています。

この体制では、日本以上に「誰がどの業務を担当しているか」が役割ごとに明確に分かれている場面が多く見られます。

海外の病棟で働く場合、自分がチームの中でどの役割を担っているのかを英語で正確に伝えられるかどうかが、業務連携の質に直結します。

「自分は何をする係なのか」「誰に確認すればよいのか」を曖昧にせず質問できることが、現場に早くなじむための鍵になります。

看護体制の考え方の違いと、知っておくと役立つ英語表現
国・体制 看護体制の考え方 知っておくと役立つ英語表現
日本 受け持ち制を基本に、多職種と連携するチーム医療 Who is the primary nurse for this patient?(この患者の受け持ち看護師は誰ですか)
アメリカ(チームナーシングの場合) RNがチームリーダーとなり、複数職種に業務を割り振る What’s my role on this team today?(今日のチームでの私の役割は何ですか)

費用・保険制度の考え方の違い

日本は国民皆保険制度のもとで、医療機関を自由に選びながら一定の自己負担割合で受診できる仕組みが整っています。

紹介状の有無による特別料金はあるものの、保険適用の範囲内であれば大きな価格差を意識せずに受診先を選べます。

一方、アメリカは公的保険と民間保険が併存する制度で、多くの現役世代は勤務先を通じた民間保険や個人で加入する民間保険を利用します。

保険の種類やプランによって、受診できる医療機関の範囲や、専門医受診に紹介が必要かどうかが変わるため、「保険に入っていること」と「どこでも自由に受診できること」は必ずしもイコールではありません。

イギリスのNHSは税財源による公的医療サービスで、GPへの登録を起点に医療へアクセスする仕組みになっており、日本のような「保険証を持って好きな病院へ」という感覚とは制度の前提が異なります。

海外で働く場合も、海外で受診する患者に対応する場合も、「その国の医療は誰が費用を負担し、どの窓口を通じてアクセスする制度なのか」を理解しておくことが、患者への説明や自分自身の受診準備の土台になります。

数字や保険料率は制度改定で変わりやすいため、渡航前には必ず現地の公的機関が公開する最新情報を確認するようにしてください。

日本と海外、それぞれの制度を知っておく意味

ここまで見てきたように、受診の仕組み・付き添いや面会の慣習・看護体制・費用や保険の考え方は、国によって前提から異なります。

これらの違いは、どちらが優れているかという話ではなく、それぞれの国が医療資源をどう配分し、患者と医療者の役割をどう定義してきたかという制度設計の結果です。

海外就職や海外留学を考える看護師にとって、この違いを事前に知っておくことには、大きく2つの意味があります。

1つは、現地の患者・同僚とのコミュニケーションで無用な誤解を避けられることです。

たとえば「なぜ専門医にすぐかかれないのか」「なぜ付き添いが制限されるのか」といった疑問に、制度の背景から答えられれば、患者の不安を和らげることにつながります。

もう1つは、自分自身が働く現場のルールを、単なる「決まりごと」ではなく「なぜそうなっているか」を理解した上で受け入れられることです。

制度の違いを理解したうえで現地の医療現場に入ることで、戸惑う場面を減らし、早い段階からチームの一員として動きやすくなります。

こうした制度面の違いを理解したうえで、実際の外国人患者対応の場面でどう英語を使うかについては、こちらの記事で場面別に解説しています。

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まとめ|制度の違いを知ることが、海外で働く準備の第一歩

日本と海外では、受診の仕組み・入院時の付き添いや面会の慣習・看護体制・費用や保険の考え方が、それぞれの制度設計の違いから大きく異なります。

これらを知らないまま渡航すると、現地で戸惑う場面や、患者への説明に困る場面が出てきます。

制度の違いを理解することは、単なる知識としてだけでなく、海外の医療現場で早くなじむための準備にもなります。

そのうえで欠かせないのが、制度の違いを患者や同僚に説明できる医療英語力です。

HLCAでは、看護師をはじめとする医療従事者向けに、医療バックグラウンドを持つ講師とマンツーマンで学べるオンライン医療英語レッスンを提供しています。

「海外で働く前に、制度の違いを英語で説明できるようになりたい」という方は、無料カウンセリングで一度相談してみてください。

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この記事を書いた人
HLCA編集部

医療英語スクールHLCAの編集チーム。 医師・看護師・薬剤師・受付スタッフなど、医療従事者向けの医療英語学習を支援するメディアとして、現場で使える医療英単語・フレーズ・ロールプレイを発信しています。 記事制作では、医療現場でのコミュニケーション、患者対応、多職種連携の観点を重視し、医療英語を初めて学ぶ方にも分かりやすい内容を心がけています。