「言語聴覚士として働いていて、外国人の患者さんが来たらどう説明すればいいのだろう」「嚥下評価や構音訓練の内容を英語で伝える自信がない」——そんな不安を感じたことはありませんか。
言語聴覚士(ST)は、嚥下・構音・失語症といった専門性の高い領域を扱う職種です。日常会話の英語ができても、評価の目的や訓練の進め方を患者さんやご家族に英語で説明するのは、また別の準備が必要になります。
この記事では、言語聴覚士が実際に英語を使う場面を整理し、嚥下評価・構音訓練・失語症の評価と説明という言語聴覚士に固有の業務を中心に、場面別の英語表現をまとめました。読み終える頃には、どの場面でどんな英語が必要になるか、学習の優先順位が見えてくるはずです。
この記事のもくじ
言語聴覚士が英語を使う4つの場面|評価・訓練・説明・学術
言語聴覚士が英語を使う場面は、大きく4つに分けられます。
- 嚥下・構音・失語症などの評価を行い、目的や手順を患者さんに説明する場面
- 構音訓練や嚥下訓練など、実際のリハビリを指示・声かけしながら進める場面
- 患者さんの状態や訓練の見通しをご家族に説明する場面
- カルテの記載や英文の学術論文・症例報告を読む場面
このうち最初の3つは臨床現場で日常的に発生し、最後の1つは知識のアップデートや学会発表につながる場面です。以下では、それぞれの場面で使う英語を具体的に見ていきます。
言語聴覚士を英語で何と言うか|Speech-Language Pathologist の意味と略語
言語聴覚士は英語で「Speech-Language Pathologist」(略称:SLP)と表記されます。米国など英語圏では、言語(Language)と発話(Speech)の両方を扱う専門職として位置づけられており、日本の言語聴覚士の業務範囲とおおむね重なります。
| 日本語 | 英語表記 |
|---|---|
| 言語聴覚士 | Speech-Language Pathologist(SLP) |
| 嚥下障害 | Dysphagia |
| 構音障害 | Dysarthria / Articulation disorder |
| 失語症 | Aphasia |
| 言語聴覚療法 | Speech-language therapy / Speech therapy |
資料や論文によっては「Speech Therapist」という表記も見かけますが、これは主に発話面に限定した呼び方で、SLPの方がより正式かつ包括的な表記です。英文で紹介文や名刺を作る場合は、Speech-Language Pathologistを使うと誤解が少なくなります。
嚥下評価(VF・VE)で使う英語|目的の説明と手順の伝え方
嚥下評価は、外国人患者さんに対応する場面で特に英語の準備が必要になる領域です。代表的な検査であるVF(嚥下造影検査:Videofluoroscopic swallowing study)とVE(嚥下内視鏡検査:Videoendoscopic evaluation of swallowing)について、目的をどう伝えるかを整理します。
- “This test checks how safely you swallow food and liquid.”(この検査は、食べ物や飲み物を安全に飲み込めているかを確認するものです)
- “We’ll ask you to swallow different textures so we can see what happens.”(いくつかの形態のものを飲み込んでいただき、様子を確認します)
- “Please tell me if you feel anything caught in your throat.”(喉に何か引っかかる感じがあれば教えてください)
検査結果を伝える段階では、専門用語をそのまま使うのではなく、「食形態の調整が必要になる可能性がある」「誤嚥のリスクについて医師・担当STと相談しながら進める」といった伝え方が有効です。評価そのものの医学的な妥当性や治療方針の決定は、担当のST・医師が行うものであり、この記事で扱うのはあくまで「英語でどう説明するか」という部分です。
構音訓練で使う英語|発音・構音障害の説明とトレーニングの声かけ
構音障害(Dysarthria)や構音訓練の場面では、発音の仕組みを説明しながら、繰り返し練習を促す声かけが中心になります。
- “Let’s practice this sound together. Watch my mouth.”(この音を一緒に練習しましょう。口の動きを見ていてください)
- “Try to make your lips more rounded for this word.”(この単語では、もう少し唇を丸めてみましょう)
- “You’re doing great. Let’s try one more time slowly.”(とても良いですね。もう一度ゆっくり試してみましょう)
構音訓練は単発の指導ではなく継続的な取り組みになるため、進捗を前向きに伝える声かけが患者さんのモチベーション維持につながります。“slowly”(ゆっくり)や“one more time”(もう一度)など、シンプルな単語を繰り返し使うことで、患者さんにとっても指示が理解しやすくなります。
失語症の評価と訓練で使う英語|症状の説明と家族への伝え方
失語症(Aphasia)は、言語聴覚士が扱う中でも特に患者さん本人とご家族への説明が難しい領域です。症状の性質上、患者さん自身が自分の状態を言葉で表現しにくいことも多く、ご家族への説明が重要な役割を持ちます。
- “Aphasia affects the ability to use language, not intelligence.”(失語症は言語を使う能力に影響するもので、知的能力とは別のものです)
- “It may be hard for him to find the right words, but he understands more than he can say.”(言葉を見つけるのが難しくても、話せる以上に理解していることがあります)
- “Please give her time to respond. There’s no need to rush.”(返事をするまで時間をあげてください。急がなくて大丈夫です)
失語症の評価・訓練の内容や回復の見通しについては、症状の程度や原因疾患によって個人差が大きいため、断定的な説明は避け、「担当のSTと相談しながら経過を見ていく」という枠組みで伝えることが大切です。
カルテ・英文論文で使う医療英語|頻出する専門用語
言語聴覚士の業務では、カルテの記載や英文の学術論文・症例報告を読む機会もあります。以下は臨床・論文でよく出てくる用語の一例です。
| 英語表現 | 意味 |
|---|---|
| Oral phase / Pharyngeal phase | 嚥下の口腔期/咽頭期 |
| Articulation | 構音 |
| Fluency | 流暢性(話し言葉のなめらかさ) |
| Cognitive-communication disorder | 認知コミュニケーション障害 |
| Intervention | 介入(訓練・治療的関わり) |
略語や専門用語は、初出時に正式名称を確認しながら読み進めると誤解を防げます。海外の症例報告や学会発表を参照する際は、掲載元や発表年を確認し、最新の知見かどうかを意識することも大切です。
海外で働く言語聴覚士に求められる英語力
海外で言語聴覚士として働く場合、多くの国で国家資格に加えて語学要件が定められています。たとえば米国では、ASHA(American Speech-Language-Hearing Association)が認定するCCC-SLP(Certificate of Clinical Competence)の取得が就労の前提となるケースが多く、資格試験とは別に英語力の証明(IELTSやTOEFL等のスコア)が求められることがあります。
ただし、国や勤務先によって求められる資格・語学要件は異なり、随時制度が見直されるため、実際に海外就労を検討する場合は、各国の言語聴覚士関連団体や勤務先候補の公式情報で最新の要件を確認することをおすすめします。
医療英語全般の基礎から学びたい場合は、医療英語とは何かを整理した記事もあわせてご覧ください。同じくコメディカル職種の医療英語としては、理学療法士・作業療法士の海外留学ガイドや、医療通訳の資格について解説した記事も参考になります。
言語聴覚士の医療英語をどう学ぶか|場面別の優先順位
ここまで見てきたように、言語聴覚士が使う英語は「評価の説明」「訓練中の声かけ」「家族への説明」「カルテ・論文の読解」と幅広く、すべてを一度に習得しようとすると挫折しやすくなります。優先順位をつけて学ぶことが、継続のコツです。
- まずは自分の担当領域(嚥下・構音・失語症のいずれか)で使う基本語彙とフレーズから覚える
- 次に、患者さん・家族向けの説明フレーズを、実際の臨床場面を想定して練習する
- 余裕が出てきたら、カルテ記載や論文で頻出する専門用語を読解できるようにする
HLCAでは、マンツーマンレッスンの中で臨床場面を想定したロールプレイに対応できる学習環境を用意しています。教材を読むだけでなく、実際に声に出して練習したい場合は、こうした環境を活用するのも一つの方法です。
言語聴覚士の英語についてよくある質問
Q. 言語聴覚士に医療英語の資格は必須ですか?
A. 国内で働く場合、医療英語そのものの資格は必須ではありません。ただし外国人患者さんへの対応機会が増えている施設では、実務レベルの英語対応力が求められる場面が増えています。
Q. 英語が苦手でも嚥下評価の説明はできますか?
A. 完璧な英語でなくても、シンプルな単語とジェスチャーを組み合わせることで最低限の説明は可能です。ただし、誤解を防ぐためには、この記事で紹介したような定型フレーズをあらかじめ準備しておくことが有効です。
Q. 海外で言語聴覚士として働くには何から始めればいいですか?
A. まずは希望する国の資格制度と語学要件を公式情報で確認することから始めます。そのうえで、必要な語学スコアの取得と、臨床現場で使う英語表現の学習を並行して進めるのが一般的な進め方です。
まとめ
言語聴覚士が使う医療英語は、嚥下評価・構音訓練・失語症の評価と説明という職種固有の業務を中心に、カルテ・論文の読解までを含む幅広い領域にまたがります。すべてを一度に覚えようとせず、自分の担当領域から優先順位をつけて学ぶことが、無理なく続けるコツです。
言語聴覚士としてのキャリアを考えるうえで、英語力は臨床現場での対応の幅を広げる一つの武器になります。HLCAでは、臨床場面を想定したロールプレイを取り入れたマンツーマンレッスンで、実務に直結する医療英語を学ぶことができます。まずは無料カウンセリングで、自分に合った学習の進め方を相談してみませんか。
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