医療通訳士とは?仕事内容・年収・資格・求人事情を徹底解説

HLCA編集部
公開日:2018.09.07
更新日:2026.03.26

医療通訳士とは、医療の場面で医師・看護師などの医療従事者と、日本語が話せない外国人患者の間に入り、正確な意思疎通を実現する専門職です。

訪日外国人の増加や在留外国人の定住化に伴い、医療通訳の需要は急速に高まっています。しかし、「どうすればなれるのか」「資格は必要なのか」「年収はどのくらいか」といった具体的な情報はまだ十分に知られていません。

この記事では、医療通訳士の仕事内容・年収・資格・求人事情・将来性まで、医療通訳を目指す方が知りたい情報を網羅的に解説します。

医療通訳士とは?役割と仕事内容

医療通訳士の仕事風景

医療通訳士の役割は、医療の場面において、異なる言語や文化を持つ医療従事者と外国人患者の間に入り、意思疎通を成立させることです。

具体的な仕事内容には、以下のようなものがあります。

  • 外来診察の通訳:問診・検査説明・診断結果の伝達
  • 入院患者のサポート:治療方針の説明、同意書の内容説明、退院指導
  • 救急対応:緊急時の症状ヒアリング、処置の説明
  • 行政・保健分野:乳児健診、予防接種案内、保健指導
  • 海外での医療通訳:日本人旅行者・駐在員への医療サポート

医療通訳は一般的な通訳とは大きく異なります。誤訳が患者の健康や生命に直結するため、医学用語の正確な理解はもちろん、文化的背景への配慮や高い倫理観が求められます。

HLCA卒業生で社会福祉士の石村さん(50代)は、大学病院で外国人患者の退院調整を担当する中で医療通訳の道に進みました。「通訳は医師や患者の言葉に余計なことを足さない・引かない。言い間違いが訴訟問題にもなり得る」と、医療通訳の責任の重さを語っています。

石村さんの詳しい体験談は「社会福祉士から医療通訳へ|石村さんインタビュー」でご紹介しています。

医療通訳士の年収・収入の目安

医療通訳士の年収イメージ

医療通訳士の収入は、働き方(フリーランス・病院勤務・派遣など)によって大きく異なります。現状の目安は以下の通りです。

雇用形態別の年収目安

  • 病院・医療機関の常勤スタッフ:年収300万〜450万円程度。事務職員や医療ソーシャルワーカーに準じた待遇が多い
  • 医療通訳派遣会社に登録:時給2,000〜4,000円程度。案件数により月収に変動あり
  • フリーランス:1件あたり5,000〜20,000円程度。専門性の高い言語(英語以外の希少言語)は単価が上がる傾向
  • ボランティア・NGO:無償〜交通費程度。現在も医療通訳者の多くがこの形態で活動している

収入アップのポイント

医療通訳の収入を上げるには、以下が有効です。

  • 認定資格の取得:医療通訳技能認定試験の合格者は、派遣会社での優遇や病院への直接採用で有利になる
  • 専門分野の深掘り:精神科、産婦人科、小児科など特定分野に強い通訳者は重宝される
  • 複数言語対応:英語に加え、中国語・ベトナム語・ポルトガル語などができると案件が増える
  • 海外勤務:ジャパニーズヘルプデスク(JHD)など海外の日本人向け医療機関で働く選択肢もある

医療通訳の求人・就職先

医療通訳の職場環境

医療通訳者の主な就職先・活動先は以下の通りです。

国内の求人

  • 外国人患者受入れ医療機関:JMIP(外国人患者受入れ医療機関認証制度)認証病院を中心に、専任の医療通訳者を配置する病院が増加
  • 医療通訳派遣会社:メディフォン、MEDICA等の企業が病院に医療通訳者を派遣。登録制で複数の医療機関を担当
  • 自治体・国際交流協会:地域の外国人住民向けに、保健センターや公立病院で医療通訳を配置するケースが増加
  • 電話・オンライン医療通訳:遠隔通訳サービスの普及により、在宅で対応できる求人も登場

海外の求人

  • ジャパニーズヘルプデスク(JHD):タイ・フィリピン・シンガポール等のアジア各国の病院に設置。日本人旅行者や駐在員への医療通訳を担当
  • 海外の日系クリニック:日本人医師が開業するクリニックでの通訳・事務
  • 国際NGO:難民支援や途上国医療支援の現場での通訳

HLCA卒業生の吉田さん(30代・元保健師)は、TOEIC420点から810点までスコアを伸ばし、JICA海外協力隊でソロモン諸島に2年間派遣された後、HLCAで医療英語を学び、セブ島のジャパニーズヘルプデスクで医療通訳として採用されました。JHDの採用条件はTOEIC750点以上が目安で、海外旅行保険の適否判断や日本人旅行者への医療通訳が主な業務です。

吉田さんの体験談は「海外で働く看護師の体験談|ジャパニーズヘルプデスク」で詳しく紹介しています。

外国人患者の増加に伴う医療現場の課題については外国人対応病院の現状も参考になります。また、すぐに使えるフレーズは病院での外国人患者対応フレーズ集をご覧ください。

日本における医療通訳の現状と需要

日本の医療現場で求められる通訳

日本における医療通訳の需要は年々高まっています。

出入国在留管理庁の統計によると、在留外国人数は2024年末時点で約340万人を突破し、過去最高を更新し続けています。また、コロナ禍後のインバウンド回復により、訪日外国人数も2024年に3,600万人を超えました

こうした中、医療機関を受診する外国人は増加の一途をたどっていますが、現場の体制は追いついていません。

  • 外国人患者を受け入れる意向がある医療機関でも、言語対応の人材不足が最大の課題
  • 医療通訳者の多くはボランティアやNGOとして無償で活動しており、持続可能な体制とは言いがたい
  • 地域の保健分野でも通訳の重要性が認識されており、乳児健診に医療通訳を配置したことで外国人の受診率が大幅に向上した事例もある

需要に対して供給が大幅に不足している現状は、裏を返せばこれから医療通訳を目指す人にとって大きなチャンスでもあります。

医療通訳士になるには?資格・試験について

医療通訳の資格取得を目指す女性

医療通訳には国家資格は存在しませんが、民間の認定試験が複数あり、キャリアアップや信頼性の証明に有効です。

主な認定試験・資格

  • 医療通訳技能認定試験(一般財団法人 日本医療教育財団):最も認知度が高い認定試験。基礎と専門の2レベルがあり、養成講座の受講が受験要件
  • 医療通訳士®技能検定試験(一般社団法人 通訳品質評議会):筆記・口頭試験で実践力を測定
  • 医療通訳認定試験(一般社団法人 日本医療通訳協会):こちらも養成講座の受講が受験の前提

HLCA卒業生の石村さんは、HLCAで医療英語を学んだ後、医療通訳技能認定試験(専門)に合格。「医療通訳の認定試験は3団体が実施しており、いずれも約1年間の養成講座の受講が受験要件」と実体験をもとに解説しています。

医学英語関連の検定

  • 医学英語検定試験(医英検):日本医学英語教育学会が主催。1〜4級まであり、医療英語力のレベル認定として活用できる
  • 国際医療英語認定試験(CBMS):医療現場で使える英語力を測定する国際資格

海外の資格・プログラム

  • カナダ:Vancouver Community College(VCC)の医療通訳認定プログラム
  • オーストラリア:国家翻訳者認定機関(NAATI)による認定制度
  • アメリカ:医療通訳者トレーニングプログラム Bridging the Gap(BTG)

医療通訳士に必要な英語力の目安

医療英語の学習イメージ

医療通訳を目指すうえで、どの程度の英語力が必要なのでしょうか。

  • TOEIC 750点以上:ジャパニーズヘルプデスク(JHD)の採用基準の目安
  • TOEIC 800点以上:医療通訳派遣会社の登録基準に多い
  • IELTS 6.5〜7.0以上:海外の医療機関で働く場合の目安

ただし、スコアだけでは不十分です。一般英語で高得点を取れても、臓器名、薬名、処置名、疾患名などの医療専門用語が分からなければ現場では通用しません。

吉田さんもTOEIC420点からスタートし、独学と留学を組み合わせて810点まで伸ばしましたが、「一般英語と医療英語は別物。HLCAで医療に特化した英語を学んだことが、JHDでの採用につながった」と振り返っています。

医療通訳士の将来性

医療通訳の将来性・キャリアの成長

医療通訳士を取り巻く環境は、確実に整備が進んでいます。

制度面の進展

  • 2009年に医療通訳士協議会(JAMI)が発足。適正な報酬と身分保証に向けた制度整備が進行中
  • 2011年に「医療通訳士倫理規程」が公表され、守秘義務や公平性の確保など専門職としての基盤が整った
  • 厚生労働省が医療通訳育成カリキュラム基準を策定し、教育の標準化に着手
  • 東京大学・東京外国語大学・大阪大学などで国際医療通訳講座が開講

テクノロジーとの共存

AI翻訳ツールの発展により「医療通訳は不要になるのでは?」という声もありますが、医療現場では以下の理由から人間の通訳者の重要性は変わりません

  • 患者の表情・声のトーンから言葉にならない不安を読み取る力が必要
  • 文化的・宗教的背景を踏まえた配慮ある伝え方ができる
  • 医療訴訟リスクの観点から、責任の所在が明確な人間の通訳が求められる

制度の整備、需要の拡大、そしてAIでは代替できない専門性——医療通訳士の将来性は非常に明るいと言えるでしょう。

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HLCAの医療英語レッスン風景

HLCA(ハルカ)は、医療英語に特化したフィリピン・セブ島の語学学校です。看護師・医師・薬剤師・理学療法士など、医療のバックグラウンドを持つ講師陣が、職種に合わせたマンツーマンの医療英語レッスンを提供しています。

医療通訳を目指す方がHLCAを選ぶ理由は以下の通りです。

  • 臓器名・薬名・処置名など医療現場で使う実践的な英語を集中的に学べる
  • 3,000名以上の卒業生実績があり、医療通訳・海外勤務への進路サポートが充実
  • 卒業生の石村さんは医療通訳技能認定試験(専門)に合格、吉田さんはJHDで医療通訳として就職するなど、実際にキャリアを実現した事例が多数

医療通訳に興味がある方、医療英語力を伸ばしたい方は、まずは無料カウンセリングからお気軽にどうぞ。

海外で医療従事者として働くために必要な試験についてはOET試験対策ガイドや国際看護師になるにはの記事も参照してください。

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この記事を書いた人
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医療英語スクールHLCA(ハルカ)の編集部です。看護師・医師をはじめとする医療従事者に向けて、医療英語の学習法・海外キャリア・留学情報を発信しています。記事の監修は医療英語教育の専門家が行っています。