この記事のもくじ
この記事でわかること
- 国内学会でも英語セッションが増える中、海外学会発表に挑戦した医師の医療英語学習体験
- トルコの国際学会での発表準備に、HLCAのレッスンをどう活用したか
- 多忙な臨床医が、英語学習を続けられるようになるまでの変化
今回お話を伺ったのは、消化器内科の医師・T.Hさん(30代)です。2023年11月にHLCAを始め、2026年春にはトルコで開催された国際学会で英語の口頭発表に挑戦されました。海外発表は初めて。その準備にHLCAをどう使い、何を得たのか。リアルな経験を語っていただきました。
きっかけは、国内学会でも増える「英語セッション」への危機感
T.Hさんが英語学習を始めたのは、海外で働くためではありませんでした。きっかけは、国内の医療現場で感じた変化です。
「将来投資ではないですが、海外を拠点に、みたいなことは全然考えていませんでした。ただ、国内で発表するときも英語がいるな、と思うところがあって。医療系の学会でも英語のセッションがかなり増えてきていて、ネイティブ並みとまでは言わなくても、英語で発信する力が医療界全体で求められてきている傾向を感じていました」
「時間がある今のうちにやっておかないといけないな、という動機でした」とT.Hさん。消化器内科医として働く医療現場でも、外国人患者が受診する機会が増えていたといいます。「中国やアジア系の方だけでなく、ヨーロッパやアメリカから来られる方もいて、世界中ですね。都会ならもっと多いと思います」
HLCAを選んだ理由は、医療特化と「続けられる」柔軟さ
数ある英語学習サービスの中でHLCAを選んだ理由を、T.Hさんはこう振り返ります。

「いろいろなプログラムをノートやブログにまとめている人がたくさんいるので、主にネットで調べました。HLCAは医療のところに力を入れているのと、ブログの中でも上位に何個か出てきていたので、とりあえず始めてみようかなと」
もう一つの決め手が、忙しい医師でも続けられる柔軟さでした。英会話スクールNOVAでは、決まった場所に通う時間的な制約が大きいと感じたといいます。
「現地に通うとなると、それはそれでかなり制約がつきます。ネットで予約できて、時間もフレキシブルに対応できるのは、やっぱりメリットでした」
仕事の繁忙によって受講ペースには波があり、レッスンが空く時期もありました。それでも続けてこられたのは、自分の都合に合わせて予定を調整できたからこそでした。
トルコの国際学会へ。発表準備でHLCAをどう使ったか
大きな転機は、海外学会での発表機会でした。所属先で海外発表する人を募っていたところに声がかかり、T.Hさんは手を挙げます。「めちゃくちゃガチな学会というより、若手が英語でプレゼン練習をするのに行く学会というスタンスだったので、チャンスだなと思ってやってみようと」。研究テーマは、ご自身の専門領域に関する内容でした。

原稿の添削と、スピード・アクセントの調整
準備は発表前の時期に本格化しました。上席の医師から元になる研究データとスライドを受け取り、T.Hさん自身が発表原稿を作成。それをHLCAの講師に渡して、言い回しや文法を自然な形に修正してもらいました。
「実際のプレゼンも聞いてもらいました。発表原稿を事前に渡して、言い回しが自然か、文法的にこっちの方がいいか修正してもらった上で、原稿に沿って発表練習をしました」
意外だったのが、スピードの指摘です。「英語の発表って、日本人が聞くと早口に聞こえるので意識してやってみたら、逆に『早すぎてついていけないからスローで』と言われて。案外ゆっくりでもいいんだなと。専門性が高い内容で、緊張するとどうしてもスピードが上がるので、時間配分や単語のアクセントを調整してもらいました」
「原稿を見ずに発表する」を目標に
今回の発表で、T.Hさんが掲げた目標は「発表原稿を見ずに発表を終える」ことでした。
「原稿を丸覚えすると、一回飛んだ瞬間にフリーズして終わるので、それは絶対やめた方がいいと、講師の先生からも上の先生からも言われました。流れは覚えておいて、最終的にはスライドのキーワードに沿って話せるように。それに向けて練習して、原稿なしでプレゼンを終えるという目標は、なんとか達成できました」
質疑応答の想定スクリプトづくり
準備の中で苦労したのが、質疑応答でした。HLCAの講師に質問役を頼み、答えられなかった質問を持ち帰って調べ、次の準備をする——そのやり取りを3〜4回繰り返したといいます。
「講師の人にも質問してもらって、基本的なことを聞かれても英語が出てこなくて。答えられない質問は『また調べて用意します』と持ち帰って、スクリプトを用意しました。看護師のバックグラウンドがあると思われる講師で、医療の基礎の話は伝わりやすく、『治療方針はどんな感じか』『このスコアはどう計算して何を意味するのか』といった、専門領域の基本的なことを中心に質問してもらえたのは大きかったです」
トルコ学会本番:国際学会の参加者の前で
発表は7〜8分、質疑を含めて約10分のセッション。20〜30人ほどの前で行いました。「国内学会では5分の発表しかしたことがなかったので、いつもより長かったです」

会場には世界中から参加者が集まっていました。「トルコの方だけでなく、基本はヨーロッパ周辺の方で。アジア系はとにかく少なかったですね」。本番の質疑は、想定とは少し違ったといいます。「最終的には質問というより、『もっとこうした方がいい』という研究へのアドバイス的なコメントで終わって、なんとかなりました。ただ、質疑応答はまだまだですね」と、課題も率直に語ってくれました。
スピーチコンテストにも挑戦
学会の翌月には、HLCAのスピーチコンテストにも参加しました。「学会に行った後の熱もあって、同じ内容でもう一回喋ってみようと。海外発表よりゆるくて、PowerPointを共有できましたし、質疑も日本語だったので助かりました」
学会発表に直接活きたというより、復習に近い位置づけだったといいます。それでも、英語で発信する機会そのものに価値を感じていました。「他の参加者の方の発表も見られて、自分と同じように日本人が一生懸命やっているのが伝わってきて、モチベーションが上がりました」
一方で、スピーチコンテストはHLCAの中でもハードルの高いイベントだとも感じたそうです。「もう少しラフに発表できる機会が、3か月に1度くらいあったらいいなと。今まで国内で発表したものを英語に直して喋るだけでも、結構な練習になると思います」と、提案も語ってくれました。
ふだんのレッスンは、問診(History Taking)と言い回しのバリエーション
学会対策は通常レッスンから離れた特別な期間で、ふだんは医療面接(問診)のレッスンが中心です。HLCAの「History Taking」というテキストをベースに、担当のJanice講師と進めています。

「あらかじめ『こういう症状の患者さんに何を聞きますか』を用意してきて、と言われて、予習した内容を言うと、『こっちの方が分かりやすいよ』と修正してもらったり、他の聞き方のバリエーションをたくさん教えてもらえます。次に同じようなシチュエーションになったときに使えるので」
講師を頻繁に変えるのは好まないというT.Hさんは、自分に合う先生に落ち着いてレッスンを続けています。学習の工夫として、レッスンの文字起こしをAIに読み込ませ、フレーズの問題や単語帳を作ってもらうこともあるそうです。また、通勤の車内ではSpotifyで英語のポッドキャストを聞いています。「医療系も試したのですが難しくて。背景知識のある漫画やアニメ系の英語ポッドキャストなら続いています」
学会発表がくれた、キャリアへの手応え
勤務先でも、海外への発信が重視される流れが強まっているといいます。「病院全体が海外に発信する方向になってきていて、その波に乗れないと、求められている人と違うのかな、と。今後ディスアドバンテージになっていくかもしれない、という思いもありました」
海外発表は、サポートしてくれる上の先生がいて、挑戦できる環境がなければ難しい機会でもありました。「お誘いいただいたときに『行きます』と言って、実際にやり切ると前例ができます。そうなると次の機会にもまた話が来る。小さなステップかもしれませんが、長い目で見れば、こうした積み重ねでチャンスは舞い込みやすくなると思います」
そして、HLCAをすでに始めていたことが、挑戦への後押しになったと振り返ります。「話が来たのは、HLCAを始めて2年ほど経った頃。当時は英語のモチベーションが下がっていた時期でしたが、少しでも英語に触れていたからこそ『やってみようかな』と前向きになれた。全く触っていなかったら、ちょっとやばいかなと思って断っていた可能性もあるので」
受講前後の変化は、英語に向き合う習慣がついたこと
HLCAを始める前と後で、何が変わったか。T.Hさんが挙げたのは、英語に向き合う習慣そのものでした。
「めちゃくちゃ勉強しているかというとそうでもないのですが、英語を勉強する機会は確実に増えました。これをやっていなかったら、車の中で英語を聞くことは100%なかったですし、レッスンの予習や復習をする機会も絶対になかった。英語に対するモチベーションは、HLCAをやる前と後で絶対に変わったところです」
当初は50分のレッスンがとても疲れて続かなかったといいますが、「50分受けられるようになったのも変化でした」と振り返ります。今後の目標は、海外発表では自分の研究を一から英語でまとめて質疑にも対応できるようになること。そして日常診療では、外国人患者が外来や入院で来たときに、軽いやり取りができるようになることだといいます。
これから医療英語を始める方へ
最後に、これから英語学習を始める方へのアドバイスを伺いました。T.Hさんが強調したのは、スピーキングとリスニングは「繰り返すしかない」ということでした。
「中学高校でも英語はやりますが、他の教科をやりながらスピーキングとリスニングを固めるのは、時間的にどうしても足りないと痛感します。50分ずっと英語で話すようなことを何回も繰り返さないと、スピーキングとリスニングは培われない。しんどくても、やらないと先に進まないところはあります」
そのうえで、対面レッスンのハードルが高いと感じる人には、まず身近なところから英語に触れることを勧めます。「家や車の中で、自分の興味がある分野の英語を聞いてみる。洋画を英語字幕で見たり、昔やったゲームを英語に切り替えてやってみたり。背景知識があるので『これは英語だとこうなるのか』と入ってきます。そうやって英語に触れるモチベーションを作って、レッスンに向き合ってみるのがいいのかなと思います」
医師やコメディカルにとって、英語で発表する機会は今後さらに増えていくかもしれません。「やばい、まだ発表していないな、と向き合う契機になるイベントがあれば、それも一つのきっかけになると思います」。多忙な臨床の合間に一歩ずつ英語と向き合ってきたT.Hさんの言葉は、これから学ぶ医療従事者にとって等身大の道しるべになりそうです。
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