「外国人患者が来たらどうしよう」——英語に自信がない看護師なら、一度はそう思ったことがあるはずです。実際に、英語ができないことで起きたトラブルやヒヤリハットは少なくありません。
この記事では、英語ができない看護師が外国人患者対応で実際に困った5つのケースを紹介し、それぞれの場面で「どうすれば防げたか」「今からできる対策は何か」を具体的に解説します。
- 英語ができないことで起きた外国人患者対応トラブル実例5選
- 各ケースの原因分析と防止策
- 最低限覚えておくべき「命を守る」英語フレーズ10選
- 英語力ゼロからでも始められる対策
この記事のもくじ
ケース1: アレルギー確認ができず投薬ミスの一歩手前に

何が起きたか
救急外来に搬送された外国人患者に対し、看護師がアレルギーの有無を確認しようとしましたが、英語で質問できず、ジェスチャーだけで「ない」と判断。しかし実際にはペニシリンアレルギーがあり、投与直前に通訳が到着して発覚しました。
防げた一言
“Do you have any allergies? Any drug allergies?”(アレルギーはありますか?薬のアレルギーは?)
たったこの一文を知っているだけで、医療事故を防げる可能性があります。
ケース2: 痛みの程度が伝わらず適切な鎮痛ができなかった

何が起きたか
術後の外国人患者が痛みを訴えていましたが、看護師は痛みの程度を英語で確認できず、「少し痛い」のか「激痛」なのか判断できませんでした。結果、鎮痛剤の投与が遅れ、患者の苦痛が長引きました。
防げた一言
“On a scale of 1 to 10, how bad is your pain? 1 is no pain, 10 is the worst.”(1〜10で痛みはどのくらい?1は痛みなし、10は最悪の痛み)
NRS(Numerical Rating Scale)を使えば、言語の壁を越えて正確に痛みを評価できます。
ケース3: 検査の説明が通じずCT撮影がやり直しに

何が起きたか
造影CT検査で「息を止めてください」という指示が通じず、患者が動いてしまい画像がブレて撮り直しに。追加の造影剤投与と被曝が発生しました。
防げた一言
“Take a deep breath in… and hold it. Don’t breathe.”(大きく息を吸って…止めて。呼吸しないでください)
ケース4: 退院指導が伝わらず再入院

何が起きたか
糖尿病の外国人患者に対する退院指導で、食事制限や服薬スケジュールを英語で説明できず、翻訳アプリだけで対応。退院後、食事管理ができず血糖コントロールが悪化して再入院となりました。
防げた対策
多言語の退院指導資料の準備と、入退院対応の医療英語の基本フレーズを覚えておくことで防げたケースです。
ケース5: 文化的配慮の欠如でクレームに

何が起きたか
イスラム教徒の女性患者に対し、男性医師の診察を事前説明なく行おうとしたところ、患者が強く拒否。英語でのコミュニケーションが取れず、家族が到着するまで1時間以上診察が遅延しました。
防げた一言
“Would you prefer a female doctor?”(女性の医師がよろしいですか?)
英語ができれば、文化的な配慮を事前に確認し、スムーズな対応が可能でした。
最低限覚えておくべき「命を守る」英語フレーズ10選

| # | 英語フレーズ | 日本語 |
|---|---|---|
| 1 | Do you have any allergies? | アレルギーはありますか? |
| 2 | Where does it hurt? | どこが痛いですか? |
| 3 | On a scale of 1 to 10, how bad is your pain? | 痛みは1〜10でどのくらい? |
| 4 | Are you taking any medications? | 何か薬を飲んでいますか? |
| 5 | Are you pregnant? | 妊娠していますか? |
| 6 | Do not eat or drink anything. | 飲食しないでください |
| 7 | We need to do a blood test. | 血液検査が必要です |
| 8 | Take a deep breath and hold it. | 深呼吸して止めてください |
| 9 | Press the call button if you need help. | 助けが必要なときはナースコールを押してください |
| 10 | You will be okay. We are taking care of you. | 大丈夫ですよ。私たちがケアしています |
このフレーズだけでも覚えておけば、外国人患者の安全を守る最低限のコミュニケーションが可能です。さらに詳しくは外国人患者対応フレーズ集をご覧ください。また、英語が苦手でも現場を乗り切る具体的な対処法は病院サバイバル術5選で解説しています。
英語力ゼロからの対策ロードマップ

STEP 1: 上の10フレーズを暗記する(1週間)
まずはこの10フレーズを丸暗記しましょう。音声で聞いて真似るのが最短の覚え方です。
STEP 2: 自分の部署で使う場面を英語化する(1ヶ月)
医療英語の勉強法を参考に、自分の部署の日常業務で使うフレーズを英語に翻訳して練習します。
STEP 3: HLCAのオンラインレッスンで実践練習(3ヶ月〜)
覚えたフレーズを実際の場面設定で使う練習をします。医療英語に精通した講師とのロールプレイが最も効果的です。
よくある質問(FAQ)

Q. 翻訳アプリだけでは対応できませんか?
A. 緊急時は翻訳アプリを起動する余裕がありません。また、医療用語の誤訳リスクもあります。最低限の英語フレーズを自分の口で言えることが重要です。
Q. 英語ができなくても医療通訳を呼べばいいのでは?
A. 医療通訳の到着には時間がかかります。特に夜間・休日は手配が難しく、その間の初期対応は看護師自身が行う必要があります。
Q. どのくらいの英語力があれば外国人患者に対応できますか?
A. まずは本記事の10フレーズを覚えるだけでも大きな違いが出ます。TOEIC 400〜500点程度の基礎力があれば、基本的な対応は可能です。
Q. 夜勤や休日で英語ができる人がいないときは?
A. 本記事の10フレーズと翻訳アプリを併用し、患者の安全確保を最優先します。落ち着いて「We are taking care of you.(私たちがケアしています)」と伝えるだけでも、患者の不安は大きく和らぎます。
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