【更新:2021年12月13日】
アメリカの医学部といえば、世界の医学部ランキングトップ10のうち半数を占めるほどのハイレベルさで有名です(参考:QS世界大学ランキング)。
世界トップレベルのアメリカの医学部に留学するには、何が必要なのでしょうか?
本記事では、アメリカの医学部の教育内容や、留学条件、アメリカでの医師免許の取り方などを解説していきます!
アメリカの医学部への留学を考えている方は必見です!
この記事のもくじ
アメリカには「医学部」がない!
日本で医師になるには大学の医学部に進学しなければなりませんが、アメリカの大学には「医学部」がないといいます。
どういうことなのか見ていきましょう!
アメリカにあるのは「メディカルスクール」
日本の医学部にあたる教育機関を、アメリカでは「メディカルスクール」と呼びます。
メディカルスクールに入学するには、4年制の大学を卒業して学士号を取得しなければなりません。
日本でいう大学院のようなものと考えると分かりやすいでしょう。
アメリカでは、「医師は広い教養を持ち合わせた人しかなるべきではない」という考えがあるため、高校を卒業したばかりの生徒が医師の道を選べないようになっているそうです。
メディカルスクールも卒業までに4年かかります。
大学とメディカルスクールを合わせると、卒業までには最低でも
大学4年間+メディカルスクール4年間=8年間
必要なのです。
最低6年で卒業できる日本に比べ、卒業までに2年は長くかかります。
メディカルスクールの教育内容
アメリカのメディカルスクールの教育内容は以下のようになっています。
- 前臨床(2年間):基礎医学、体の構造や機能、疾病、診断、処置などについて学ぶ
- 臨床(2年間):実習。数か月ごとに各科を回る
日本の医学部では実習は4年生中盤から始まりますが、アメリカのメディカルスクールでは3年生から実習が始まります。
既に大学で基礎教育を終えている分、早く進めることができるのです。 数ヶ月ごとに各科を回るのは日本の医学部とも似ていますね。
アメリカの医学部「メディカルスクール」留学の流れ
実際にアメリカのメディカルスクールに留学するにはどうすれば良いのでしょうか?
具体的な流れを解説していきます!
1.大学で学士号を取得する
アメリカのメディカルスクールに留学するには、まず大学で学士号を取得しなければなりません。
アメリカの大学に留学する場合は、以下の6つの要素が必要です。
- 学校の成績
- エッセイ
- 推薦状
- 課外活動
- テスト
- 面接
大学入学にはセンター試験が必要な日本の大学入試とは違い、アメリカの大学入試には全国統一のテストがありません。
その代わり、エッセイや課外活動、面接といった、生徒本人の人柄を重視する項目が盛り込まれています。
日本では、高校在学中に多少成績が悪くても、センター試験や入試で挽回すれば大学合格も可能ですが、アメリカではそうもいきません。
学校の成績はもちろん、ボランティア活動といった課外活動も精力的に行う必要があります。
また、メディカルスクール志望者でも基本的に学部は何でも良いと言われています。
近年は特に多様性が重視されているため、医学に関係のない学部の生徒を積極的に合格にするメディカルスクールも増えているそうです。
もちろん英語での授業となりますので、大学で必要とされる英語力を身に着けて受験に臨みましょう。
2.メディカルスクール入学
メディカルスクール入学にはどのような条件があるのでしょうか?
詳しく見ていきましょう!
メディカルスクール受験条件
メディカルスクールの受験条件は各校によって異なります。
メディカルスクールへの進学過程であるプレメディカルコースなど、特定コースの受講が定められている場合もありますので、志望校の募集要項を確認しましょう。
多くの場合は大学で1年間の生物と英語の履修、2年間の化学の履修が義務付けられています。(参考:AAMC)
このほか、研究経験、ボランティアなどに関する条件と面接を義務付けられていることが多いです。
その上でメディカルスクール入学の共通試験であるMCATの受験が必要です。
MCATとは
MCATとは、The Medical College Admission Testの略で、ほぼ全てのメディカルスクールで受験を義務付けられている共通試験です。
毎月複数回開催されており、自分の好きなタイミングで受験が可能です。(参考:AAMC)
受験科目は以下のようになっています。
- Biological and Biochemical Foundations of Living Systems(生態系の生物学・生化学基礎)
- Chemical and Physical Foundations of Biological Systems(生物系の化学的・物理的基礎)
- Psychological, Social, and Biological Foundations of Behavior(行動の心理的・社会的・生物学的基礎)
- Critical Analysis and Reasoning Skills(批判的分析・論理展開スキル)
(引用:AAMCより)
2~3年前までのスコアなら受け付けてくれるメディカルスクールが多いので、複数回受験したことがある人はベストスコアの提出が可能です。
アメリカの医学部留学に必要な学費は?
アメリカで医学部を卒業するには、大学とメディカルスクールの両方を卒業しなければなりません。
それぞれの学費はいくらほどなのでしょうか?
まず、大学について見ていきましょう。
大学には州立大学と私立大学があり、安いと言われているのは州立大学です。
それでも、留学生などの州外の人は年間約250万円かかると言われています。
私立の場合は約350万円と言われていますので、州立大学に入学するのがおすすめです。
メディカルスクールの場合は、州立・私立問わず年間500万円前後の学費がかかると言われています。
これらを卒業年数に換算してみると、以下のようになります。
250万円×4年間+500万円×4年間=3,000万円
アメリカのメディカルスクールを卒業するまでには、最低でも約3,000万円かかる計算となります。
非常に高額ではありますが、日本の私立大学の学費も、学費によっては同じぐらいかそれ以上です。
金銭的余裕があり、英語にも自信があれば、アメリカの医学部留学も良い選択肢になるでしょう。
アメリカの医師免許の取得法
アメリカの医学部に留学したのち、そのままアメリカで医師免許を取得する場合はどんな流れになるのでしょうか?
アメリカの医師免許は「州資格」
日本の医師免許は国から交付される国家資格ですが、アメリカの医師免許は州ごとに交付される「州資格」です。
そのため、交付条件も州によって異なります。
1度医師免許を取得しても、州を移動した場合は再度取得し直さなければならないので、注意が必要です。
あらかじめ、自分が働きたい州の医師免許交付の条件をチェックしておきましょう。
医師免許取得の条件
アメリカの医師免許交付の条件は州によって異なりますが、アメリカで統一された条件もあります。
州を問わず、必要な条件を確認していきましょう!
条件1. USMLEに合格する
アメリカで医師免許交付の申請をするには、USMLEに合格しなければなりません。
USMLEとは、アメリカのFSMB(医事審議会連合:Federation of State Medical Boards)とNBME(国立医療試験審議会:National Board of Medical Examiners)が主催するアメリカの医師免許試験です。
USMLEは以下のStep1~3で構成されています。
Step2だけ2つに分かれているので、実質4ステップと考えた方が分かりやすいでしょう。
- 基礎医学に関する選択問題。60分×7分野のテストを8時間で行う
- コンピューター試験で、日本からも受験可能
- 通常、メディカルスク―ル2~3年生で受験
- 臨床医学に関する選択問題。60分×8分野のテストを9時間で行う。
- コンピューター試験で、日本からも受験可能
- 通常、メディカルスクール4年生で受験
-
- 模擬患者への診察スキルを測る医療面接試験
- 8時間で12人の模擬患者を対象に行う
- アメリカ国内のテストセンターで受験
- 通常、メディカルスクール4年生で受験
※2021年12月時点で、コロナ感染症の拡大によりStep 2.CSは中止されOETに置き換わっています。 参考:USMLE Announcements
- 臨床医学に関する選択問題。2日間に分けて行われる
- 1日目は7時間、2日目は9時間
- コンピューター試験で、アメリカ国内でのみ受験可能
- メディカルスクールスクール卒業後の研修医期間中に受験
日本の国家試験は医学部卒業後に1回受験するのみですが、アメリカの場合は在学中から複数回受験することになります。
何度も試験があるのは大変ですが、試験勉強自体が自身のレベルを大きく引き上げてくれることは間違いないでしょう。
詳しくはUSMLEの公式ページをご確認ください。
条件2. 研修を修了する
アメリカで医師免許の交付申請をする場合は、USMLE合格のほか、研修医として最低3年間働くことが必要です。
メディカルスクールを卒業した後、自分が働きたい州の病院で3年間研修医として働きましょう。
日本では国家試験に合格して医師になった後に2年間の研修を行いますが、アメリカでは3年間の研修を終えるまでは医師になれません。
日本の医師と比べて、医師になるまで時間がかかる印象ですね。
アメリカの医学部留学から医師免許取得の流れ
ここまでアメリカの医学部留学や、医師免許取得の条件を見てきました。
全体としてはどのような流れになるのでしょうか?
もう一度まとめて確認してみましょう。
学年 | 内容 |
大学1~4年生 | ・学士号修得
・プレメディカルコース受講やボランティア活動など |
MS1年生 | ・前臨床 |
MS2年生 | ・前臨床
・USMLE Step1受験(~MS3年生位まで) |
MS3年生 | ・臨床実習 |
MS4年生 | ・臨床実習
・USMLE Step2 CK受験 |
研修医3年間 | ・USMLE Step 3受験 |
研修終了後 | 各州で医師免許交付申請 |
大学入学から研修終了まで合わせると、アメリカで医師免許を取得するには最低でも11年かかることになります。
最低6年で医師免許が取得できる日本と比べると非常に長い道のりです。
ですが、世界トップレベルの医学部で学べることを考えると、熱意さえあれば、挑戦する意義は十分あるでしょう。
アメリカ医学部留学は強い意志を持って臨もう!
アメリカの医学部に留学すると、卒業までに日本よりも2年以上長くかかることになります。
医師免許も取得するとなると日本の倍近くの年月が必要となり、非常に長い道のりです。
ただし、アメリカの大学の医学部が世界でトップレベルであることに違いはありません。
アメリカの医学部で学びたいという強い意志と、英語力、経済力があるのであるなら、ぜひ夢に向かって突き進んでいきましょう!
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