インフォームドコンセント(informed consent)は、検査や治療、手術の前に、患者さんが内容を理解し、自分の意思で同意するための重要なプロセスです。
英語対応では「説明はしたつもりでも、相手が理解できていない」状態が起こりやすいため、やさしい英語で区切って伝え、質問の時間を確保することが安全につながります。
この記事では、インフォームドコンセントの医療英語を、 医療英単語(辞書型)→例文(医療者→患者/患者→医療者)→シーン別→ロールプレイ の流れで整理します。
医師・看護師だけでなく、受付、検査技師、薬剤師など多職種で使える表現もまとめています。
この記事のもくじ
インフォームドコンセントに必要な医療英単語(Medical vocabulary)
インフォームドコンセントで特に重要な単語をピックアップしてまとめています。
| 英語 | 日本語 | ひと言メモ |
|---|---|---|
| informed consent | インフォームドコンセント | 略語は IC と表記されることもある |
| consent | 同意 | 同意そのもの。書面同意も口頭同意も含む |
| consent form | 同意書 | 署名が必要な書類 |
| procedure | 手技・処置 | 検査や処置全般に使える |
| treatment | 治療 | 手術以外も広く含む |
| examination / test | 検査 | blood test, CT などと組み合わせる |
| surgery / operation | 手術 | 外科系の説明で頻出 |
| anesthesia | 麻酔 | general / local もセットで覚える |
| risk | リスク | 重大・頻度などを区別して説明する |
| benefit | 利益・メリット | 期待できる効果を説明する |
| side effect | 副作用 | 薬だけでなく広く使う |
| complication | 合併症 | 手術や侵襲的検査で重要 |
| alternative | 代替案 | 他の選択肢を提示する時に使う |
| option | 選択肢 | alternative より柔らかい |
| prognosis | 予後 | 見通し。難しければ「what to expect」でも可 |
| interpreter | 通訳 | 言語サポートの提案に必須 |
| understand | 理解する | 確認の中核となる動詞 |
| agree | 同意する | “agree to” が定番 |
| refuse | 拒否する | 患者の権利として大切 |
| withdraw consent | 同意を撤回する | 「途中で変更できる」説明に使える |
| questions / concerns | 質問/不安 | 相談のきっかけを作る言葉 |
インフォームドコンセントでよく使う医療英語(医療者→患者)の例文

ここでは「インフォームドコンセントをわかりやすく」伝えるために、短く区切れる形でまとめます。
1)説明の入り口(目的・流れ)
- I’d like to explain the procedure and get your consent. —処置について説明し、同意をいただきたいです。
- I will explain the benefits, risks, and other options. —期待できる効果、リスク、他の選択肢を説明します。
- Please stop me anytime if something is unclear. —分かりにくいところがあれば、いつでも止めてください。
- After this explanation, you can decide whether to proceed. —説明のあと、受けるかどうかを決めていただけます。
2)理解の確認(安全につながる声かけ)
- Could you tell me in your own words what you understood? —理解した内容を、ご自身の言葉で教えていただけますか?
- Do you have any questions or concerns? —質問や不安はありますか?
- Would you like an interpreter? —通訳をご希望ですか?
3)リスク・代替案の説明(丁寧に、断定しすぎない)
- The most common side effects are nausea and dizziness. —よくある副作用は吐き気やめまいです。
- Rarely, serious complications can occur. —まれに重い合併症が起こることがあります。
- Another option is to try medication first. —別の選択肢として、まず薬で様子を見る方法があります。
- You can also choose not to have the procedure. —処置を受けない選択もできます。
4)同意と署名(書類の案内)
- If you agree, please sign this consent form. —同意される場合は、こちらに署名をお願いします。
- Signing means you give permission to proceed. —署名は、実施に同意することを意味します。
- You can take it home and read it before deciding. —持ち帰って読んでから決めても大丈夫です。
インフォームドコンセント中に患者さんから多い質問・訴え
患者さん側の英語は、質問が出た時に対応できると安心です。
- I’m not sure I understand. Could you explain it again? —よく分かりません。もう一度説明してもらえますか?
- Could you explain it in simpler words? —もっと分かりやすい言葉で説明してもらえますか?
- What are the risks? —リスクは何ですか?
- Are there any alternatives? —他の方法はありますか?
- What happens if I don’t have the procedure? —受けなかった場合はどうなりますか?
- Can I have some time to think about it? —少し考える時間をもらえますか?
- Can I get a second opinion? —セカンドオピニオンを受けられますか?
- I don’t want to proceed today. —今日は受けたくありません。
インフォームドコンセントのシーン別フレーズ
インフォームドコンセントは「説明して終わり」ではなく、理解の確認と意思決定まで含むプロセスです。
外来でのIC(短時間で説明する)
- I’ll explain it step by step. —順番に説明します。
- First, I’ll talk about the purpose. Then the risks and options. —最初に目的、その後リスクと選択肢を説明します。
入院前のIC(家族同席・同意書)
- Would you like your family to be here during the explanation? —説明の際、ご家族も同席されますか?
- We can go over the form together. —同意書を一緒に確認できます。
検査室でのIC(検査技師・放射線技師など)
- I’ll explain what will happen during the test. —検査中に何が起こるか説明します。
- The test will take about 15 minutes. —検査は15分ほどです。
薬剤師のIC(服薬開始前の説明にも応用)
- I’ll explain the benefits and possible side effects of this medication. —この薬の効果と副作用を説明します。
英語でインフォームドコンセントを行う際のロールプレイ

外国人患者さんが安心して判断できるよう、説明の区切りと理解確認を入れた会話例を紹介します。
Situation:外来で検査のインフォームドコンセント
Doctor / Nurse:I’d like to explain the procedure and get your consent. Patient:Okay. Doctor / Nurse:We recommend a CT scan to check the cause of your symptoms. Doctor / Nurse:I will explain the benefits, risks, and other options. Patient:What are the risks? Doctor / Nurse:Most people are fine, but some may feel uncomfortable. Rarely, complications can occur. Patient:Are there any alternatives? Doctor / Nurse:Yes. Another option is to do an ultrasound first. Patient:I’m not sure I understand. Could you explain it in simpler words? Doctor / Nurse:Of course. We want to look inside your body to find the cause. The scan is quick, and we will support you throughout. Doctor / Nurse:Do you have any questions or concerns? Patient:Can I have some time to think about it? Doctor / Nurse:Yes. Take your time. You can decide after reading this information.
医師/看護師:これから検査の内容についてご説明し、ご同意をいただきたいと思います。
患者:わかりました。
医師/看護師:症状の原因を調べるために、CT検査をおすすめしています。
医師/看護師:この検査のメリット、リスク、そして他の選択肢についてご説明します。
患者:リスクはありますか?
医師/看護師:ほとんどの方は問題ありませんが、検査中に不快感を感じる方もいます。ごくまれに、合併症が起こることもあります。
患者:他の選択肢はありますか?
医師/看護師:はい。まず超音波検査を行うという方法もあります。
患者:少し難しくて、よく分かりません。もっと簡単に説明してもらえますか?
医師/看護師:もちろんです。体の中を画像で見て、症状の原因を探したいと考えています。検査は短時間で終わりますし、私たちがずっとサポートします。
医師/看護師:他にご質問やご不安な点はありますか?
患者:少し考える時間をもらえますか?
医師/看護師:はい。ご自身のペースで大丈夫です。この説明資料を読んでから決めてください。
ロールプレイは医療英会話スクールHLCAのレッスンでたくさん実践練習ができます。
インフォームドコンセントを英語で対応するときのポイント

1)短い文で区切り、順番を宣言する
ICは情報量が多いので、長文にすると理解しづらくなります。 「今から何を話すか」を先に伝えると、患者さんが安心します。
例:
- I’ll explain the purpose first, then the risks, and then your options.
2)理解確認は必ず入れる
同意書の署名があっても、理解が伴わないと安全な同意につながりません。
「理解しているか」を確認する一言を入れるのが大切です。
例:
- Could you tell me what you understood?
3)患者の意思決定を尊重する表現を使う
ICは患者の自己決定を支えるコミュニケーションです。
強い言い切りではなく、選択肢として示す言い方が安全です。
例:
- You can choose to proceed, or you can choose not to.
4)多職種で同じ型を共有するとブレが減る
医師、看護師、検査技師、薬剤師など、関わる職種が増えるほど表現の統一が重要です。
施設内で「説明の型」を共有すると、英語対応が安定します。
よくある質問(FAQ)
Q1. インフォームドコンセントは英語で何と言いますか?
informed consent が一般的です。医療現場の記録では IC と略されることもあります。
Q2. インフォームドコンセントを英語でわかりやすく伝えるコツは?
「目的→流れ→リスク→代替案→質問→意思確認」の順で、短く区切って伝えると理解されやすいです。
Q3. 患者さんが同意しない場合、どう対応すればよい?
- 意思を尊重し、必要なら再説明や検討時間を提案します。患者は同意を拒否したり撤回する権利があります。
まとめ HLCAの無料カウンセリングを受けてみませんか?

インフォームドコンセントを英語で行う際には、単語や例文を知るだけでなく、実際の現場で「相手の不安に合わせて説明し、理解を確認し、意思決定を支える」力が必要です。
医療英語は読む・見るだけでは話せるようになりにくく、声に出して使う練習を重ねることで、はじめて現場で運用できる英語になります。
独学で医療英語を勉強する難しさは、自分の英語が自然で正確か、患者さんに伝わっているかを確認できないことです。
全な医療コミュニケーションのためには、第三者が上達を見守り、改善点をフィードバックできる環境が欠かせません。
HLCAでは、医療のバックグラウンドを持つ講師が医療英語のレッスンを担当し、インフォームドコンセントを含む医療コミュニケーションを実践形式で学べます。
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監修:海仲 由美(Yumi Uminaka) HLCA代表 / 医療英語カリキュラム開発責任者 医療従事者向けの医療英語教育を専門とし、これまで3,000名以上の医師・看護師・薬剤師への指導・研修を実施。医療コミュニケーションに特化したカリキュラム開発、病院・クリニック向け教育プログラム、医療英語教材の監修を多数手がける。




