世界遺産のアンコールワットがある、カンボジア。
カンボジアは、世界中からたくさんの観光客が訪れる国です。
首都プノンペンや、観光都市のシェムリアップを想像する人もいるでしょう。
遺跡や煌びやかな街並みとは反対に、カンボジアの医療技術は他国と比較して遅れをとっています。
地方へいけばいくほど、貧しい人には医療が届いていない状況です。
この記事では、
という人へむけて、カンボジアの看護事情を解説します。
カンボジアで看護師になるための方法や、給与、語学力など、日本との違いについても紹介しているので、参考にしてください。
この記事のもくじ
カンボジアの看護師資格って?
カンボジアで看護師として働きたい!というときに気になるのが、看護師資格。
近年、カンボジアでは、医療ライセンスに関する改定が進みつつあります。
いったいどのような過程を経て、カンボジアで看護師として働くことができるのでしょうか。
ここでは、カンボジアの看護師資格について解説します。
日本人がカンボジアで看護師として働くために必要な資格についても紹介しているので、参考にしてください。
カンボジア看護師には「基礎教育制度」がある
カンボジア看護師には、国家資格制度はありません。
そのかわりに、看護師になるための「基礎教育制度」があります。
基礎教育制度では、指定されたカリキュラムを備えた学校を卒業することが必須です。
3年の専門学校または4年大学を卒業して、Certificateをもらうこと。
この過程を経て、晴れてカンボジアで看護師として働くことができるのです。
2012年から、一部の看護師に対して、国家試験の受験が義務付けられたそうです。
2012年からは、医師と看護師の一部(学士)は、国家試験の受験が義務付けられ、試験に合格した人に、専門職の資格を与え、業務についてもらう資格登録制度が開始。
基礎教育制度だと、学校次第で教える内容が異なるため、看護師それぞれでレベルが違ってしまっているそう。
医療の質を向上させるためにも、今後すべての看護師に国家試験が義務付けられるなどの動きがあるかもしれません。
カンボジアで看護師になるための4つの方法
「カンボジアで看護師」と聞くと、ボランティアかな?と思うかもしれません。
もちろん、ボランティアが盛んな地域なので、看護師ボランティアとして頑張っている人もたくさんいます。
しかし、ボランティアという形ではなく、現地の病院・クリニックで働く看護師もいるのは事実。
日本には、カンボジアの看護師事情の情報がなかなか出ていないため、あまり知られていません。
そこで、実際にカンボジアで看護師として働いている人の声を参考にしながら、カンボジアで看護師として働くための4つの方法を紹介します。
「現地採用」でカンボジア看護師として働く
カンボジアで看護師として働く方法として、現地採用という形があります。
カンボジアで、日本人向けに出される求人情報に応募。
面接に合格すると、看護師として勤務することができます。
しかし、現地採用だと、カンボジアの労働基準となるため、給与や待遇が予想以上に低いという問題点があります。
・看護師の給与は、$200~700/月。
・福利厚生は、有給7~10日(初年度)
・残業手当は基本時給の2倍(残業する看護師はほとんどいない)
・休日出勤は2倍の給料が支払われるが、働く場所によって様々
・交通費、保険、退職金などはなし
現地採用となると、給与・待遇面で納得がいかない結果になってしまうかもしれません。
また、現地採用の場合だと、語学力に長けていることや、カンボジアでの生活に慣れている必要があります。
とはいえ、カンボジアでは看護師が不足しているのが現状です。
求人数もたくさんあります。
どうしても現地採用で看護師がしたい!という人は、挑戦してみるというのもひとつの手段でしょう。
「海外駐在」という形で働く
海外駐在・海外赴任という形で、看護師として働く方法があります。
たとえば、カンボジアで新規に病院を建てるとき。
カンボジアへ赴任できる看護師の募集がかかります。
病院ができるまでは、スタッフの教育などが業務です。
病院が完成して、患者を受け入れ始めたら、実際に看護業務に携わります。
ある程度状況が落ち着くと任期終了となり、日本へ帰国という流れです。
新しい挑戦がしたい・自分の知識を共有したいなど、リーダーシップが強い人は、海外駐在・海外赴任の新規病院に関わる求人に応募してみるといいでしょう。
日系のクリニックで働く
カンボジアにある、日系クリニックで働くという方法があります。
勤務先はほぼ都市部のクリニックで、求人数が比較的多いため、探しやすいです。
住宅手当やビザ負担、ワークパーミット発行、渡航費用まで、サポートが手厚いところがたくさんあります。
給与は、10~20万未満のところが多めです。
時間外手当がつくほか、昼食補助や各種サポート、完全週休2日制など、福利厚生面を考慮すると、カンボジアでじゅうぶん生活していける金額といえるでしょう。
勤務期間は、2年以上など長期のケースがほとんど。
応募条件として、日本の看護師国家資格を求められます。
日本の病院での勤務経験とあわせて、医療英語のスキルが必要となるでしょう。
ボランティアで看護師をする
カンボジアといえば、ボランティアのイメージが強いですよね。
NGOやNPOなど、国際的な医療活動を行っている団体に所属して、ボランティアとして看護師をする方法があります。
ボランティアといっても、給与ありのものが多いです。
ただ、ギリギリ生活ができる程度。
基本的に住まいの提供・サポートはありますが、仕事として長期で続けるのは難しいでしょう。
短期で経験のためにボランティアがしたいという人は、チャレンジすることをおすすめします。
カンボジア看護師の給与って?
カンボジアで看護師をしている人たちの給与は、いったいどれくらいなのでしょうか。
カンボジアで看護師として働きたいという人なら、尚更気になりますよね。
ここでは、看護師の給与について紹介します。
あわせて、カンボジアの平均給与についても触れながら、実際の相場感についてもわかりやすいよう、生活費などを参考にして解説していきましょう。
カンボジア人の収入は日本人と比べて低い
カンボジアで働く人たちは、どれくらい月に稼いでいるのでしょうか。
カンボジア全体の平均給与を参考にみてみましょう。
カンボジアの全体の平均給与: 約85,000円(3,310,000KHR)/月 (最低平均838,000KHR~最高平均14,800,000KHR)
これは、住宅補助や交通費支給、臨時の給付などを含んだ平均の月給です。
給与は、スキル・キャリアによって大きく変わります。
日本と比較すると、ほぼ3分の1以下。
カンボジアの平均給与は、日本と比べてかなり低いことがわかります。
カンボジアでの生活費の目安
カンボジアの平均給与は、日本と比較してかなり低め。
ただ、カンボジアは生活費がかなり安いため、10万円程度の給与でもじゅうぶん生活することができます。
ここで、生活費の目安をみてみましょう。
カンボジアで、最低限の生活をするなら月3万~4万円程度で生活は可能。 日本人が普通の生活レベルを求めるなら月8万~12万円は必要になってくでしょう。
引用:FASCES
カンボジアは、家賃・光熱費・食費において、日本よりもかなり安め。
住まいは、外国人向け・現地人向けがあります。
外国人向けだと、コンドミニアムのアパートか、一軒家タイプに2種類がメジャーです。
コンドミニアムのアパートだと、小型で月3万~6万円。
大型になると、6万~20万円と、かなり幅があります。
一軒家タイプだと、月6万~20万円をみておく必要があるでしょう。
ただ、日系不動産代理店を介すことなく、現地で交渉しながらの契約であれば、もっと家賃を抑えることができるはずです。
食費については、外食がとにかく安いのが特徴。
一食100円前後で食べることができるので、自炊をするよりも安く済みます。
小型のコンドミニアムアパートで、食費を外食などで済ませれば、月4万円、多くみても月5万円で暮らすことができるでしょう。
カンボジア看護師の給与
カンボジアの看護師の人たちは、いったいどれくらいの給与で働いているのでしょうか。
カンボジアの看護師の平均の給料:約8万円(3,200,000KHR)/月 (最低平均2,050,000KHR~最高平均6,160,000KHR)
これは、役職手当や補助含めた金額で、夜勤の手当も入った額です。
もし日勤のみで働くとなれば、もっと給与は下がるでしょう。
カンボジアの一般給与と比較すると、看護職は高めではありますが、手当込みの給与と思うと低めに感じてしまいます。
公立・私立病院・クリニックでも給与に差がない
日本では、公立・私立病院・クリニックかによって給与に差がでてきますが、カンボジアでは特に差はありません。
公立病院・私立の病院またはクリニック・学校(公立・私立)だが、給与はほとんど変わらない。公務員としての就職は人気があるが、公務員看護師になるには、入学試験・国家卒業試験、公務員試験の3つの試験に合格する必要があり、非常に狭き門となっている。
カンボジアでは、給与に差がないものの、安定という意味で公務員が人気。
ただ、試験などのハードルの高さから、私立・クリニック、診療所で働く看護師も多くいます。
給与が変わらないということであれば、立地や待遇、融通がきくかどうかで就職先を選ぶことができるでしょう。
語学力として、英語・クメール語が必要
カンボジアで看護師として働くためには、何の言語に関するスキルが必要とされるのでしょうか。
カンボジアでの公用語・第2言語を参考に、みていきましょう。
カンボジアの公用語は、クメール語(96.3%)、少数民族言語(2.9% )、ベトナム語(0.5%)等
カンボジアでは、クメール語がメインで使用されています。
地方へいくと少数民族言語が使われるものの、病院が集中している都市部では、クメール語を使うこととなるでしょう。
また、カンボジアの第2言語は英語です。
最近の若い子であれば、ほぼ英語を話すことができます。
とはいえ、相手もネイティブではありません。
ゆっくり、お互い片言レベルといった英語初心者であっても、ある程度のコミュニケーションはとれるでしょう。
しかし、看護師として働くとなれば、医療英語の知識は必要となってきます。
そのため、クメール語をはじめ、英語スキルの習得を視野にいれて、コツコツと勉強を重ねて準備することが大切です。
日本人がカンボジアで看護師資格をいかして働く方法
日本人がカンボジアで看護師資格をいかして働くためには、いったいどうすればいいのでしょうか。
せっかく日本で看護師資格を取得して、勤務経験を重ねたのであれば、海外でも存分にいかしたいですよね。
ただ、知らない土地で医療に携わるとなると、どうしても不安があるかと思います。
生活もしていかなくてはなりませんし、仕事に集中できる環境を整えたいことでしょう。
そこで、日本の看護師資格・経験をいかしながら働ける、おすすめの2つの方法を紹介します。
日本にいながら求人が探せて、海外進出初心者でも挑戦しやすい方法なので、ぜひご覧ください。
日系クリニックで働く
カンボジアで看護師として働きたい場合は、日系クリニックがおすすめ。
複数の日本人医師による日系病院から、医療スタートアップとして立ち上げた病院など様々です。
日系クリニックは、プノンペン近郊に一番多あり、そのほかの経済特別区(シハヌークビル・タイセンなど)にも複数あります。
生活面でも便利なエリアで、給与も現地採用よりもグッと高くなるので、働きやすいでしょう。
また、患者に対して日本語での対応を求められる場合が多いため、日本人として活躍しやすい場所でもあります。
応募する際は、「カンボジア 日系クリニック」と検索すれば、病院がヒットするので、ぜひ見てみてください。
多くの場合、ホームページ上に看護師の求人募集について書かれているので、問い合わせ・応募が可能です。
JICAやNGO・NPO機関で看護師をする
JICAやNGO・NPO機関で看護師をする方法があります。
自分の信念と、各種機関の理念が合致していれば、やりがいのある時間を過ごすことができるでしょう。
たとえば、JICAが派遣する、青年海外協力隊。
定期的にカンボジアでの看護師募集がでています。
日本での看護師実務経験から、ICUでの経験など、日本で看護師として培ったスキルをいかすことができます。
日本のNGO・NPO機関であれば、ジャパンハートなどがあります。
カンボジアに設立した病院にて、医療活動から研修など、幅広く行っているところが特徴的。
給与や待遇よりも、経験ややりがいを求めて看護師をしたいという人におすすめの方法です。
まとめ:カンボジアで看護師として働く方法は意外とある!
カンボジアで看護師をするためには、ボランティアだけでなく、日系クリニックや現地採用、駐在など、様々な働き方があります。
カンボジアでの看護師給与は低めではありますが、生活費が安いためじゅうぶんやりくりできるでしょう。
働きやすさでいうと、日系クリニックがおすすめです。
経験を求めるのであれば、ボランティアがよいでしょう。
カンボジアで看護師をする上で、英語力は欠かせません。
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