フィリピンで看護師になれる?資格や給料、日本との違いを解説!

Reona
公開日:2020.02.17
更新日:2021.10.15

こんにちは!セブ島語学学校HLCAでインターンをしているReonaです!

今回はの学校があるフィリピンの看護師について紹介します。

フィリピンで最も人気のある職業の一つである看護師。

様々な大学で看護コースが設置されており、毎年多くの看護師が輩出されています。

暖かい気候にきれいな海…そんなイメージが強いフィリピンですが、

実際のところ、フィリピンで看護師として働くってどうなの?

先生の意見や私自身のフィリピンでの病院実習の経験をもとに、まとめてみました!

フィリピンの看護師国家試験

フィリピンで看護師として働くためには、日本と同様4年生の大学を卒業し、看護師国家試験に合格することが必要です。

試験は6月と11月の年2回に行われています。

試験を統括しているフィリピン共和国専門規制委員会(PROFESSIONAL REGULATION COMMISSION)によると、

2021年7月のの看護師国家試験の合格率は65%。

過去の合格率をみてみても、毎年約50~60%で推移しています

日本の看護師国家試験の合格率が88~91%であることから考えると、かなり低いですね。

アメリカの看護教育を採用しているため、難易度が高いそことが一因だそうです。

フィリピンの看護師の給与

お給料はいくらなのでしょうか?

調べてみると、以下のような結果でした。

フィリピンの全体の平均給料 約11万円(5万600ペソ) /月
フィリピンの看護師の平均の給料 約8万円(3万7000ペソ)/月

                                 (Average Salary in Philippines 2020

看護師の給料は、平均よりも低いようです…!

しかも、実際にHLCAで働く何人かの元看護師のフィリピン人の先生に聞いてみたところ、

働いていた時の給料は、約2万円~2万5千円(1万~1万2千ペソ)/月だったとのこと。

あれ、平均よりもだいぶ低いですね。理由を聞いてみると…

公立の病院の方が給料は倍くらい高いんだけど、コネがないと就職するのが難しい。 就職しやすい私立の病院は、お給料がとても低いの。 私立の病院は、大体月1万~1万2千ペソしかもらえないのよ。

とのこと。

また、これは物価や給料の高い首都マニラも入れて算出されてそうなので、HLCAの学校があるセブ市よりも少し高いと思われます。

看護師は夜勤もある大変な仕事なのに、これは安すぎる!!と思うのは私だけでしょうか…。

フィリピンと日本の看護師の違い

私も日本で看護師として働いていた経験があるので、

HLCAのプログラムでフィリピンの病院へ実習に行ったときには、違いが多くて驚くことがたくさんありました。

病院によって働く環境の違いが大きい

日本では、病院によって環境が大きく変わったり、医療費が変わったりすることはあまりないですよね。

フィリピンでは、公立病院(国が運営)と私立病院(企業が運営)の2種類の病院があり、環境や医療費、看護師の給料が大きく異なるそうです。

公立病院はお金のない貧困層向けの病院で、医療費は格安のことが多いです。

しかしその代わり、1つのベッドに2~3人が寝ていたり、病室が外にはみ出していたりと、患者にとって良い環境とは言えない場合が多い…。

1人の看護師が診る人数も多く、物品も足りないことがあるそうです。 こんな経験を持つ看護師もいました。

看護師1人で50人の患者を受け持つ時もあったの。名前が覚えられなくて大変だった。 患者の傷を覆うガーゼは家族に買ってきてもらうんだけど、お金がなくて買えないこともあって。 余りにかわいそうで、私が代わりにガーゼを買ってきてあげたこともあった。

受け持ち患者が50人!!

想像できません。

私が日本の病院で働いているときは多くても、15人でした。 医療費が安くても治療に必要な物品は家族が買わなければならないのも、衝撃です。

一方私立病院は、富裕層向けで、まるでホテルやデパートのような綺麗な建物が多いです。

エステや美容室が入っている病院まであります!

看護師の忙しさ自体は公立よりも落ち着いているそうです。

しかし先ほども述べたように給料は公立と比較してかなり低く、長く働きたいと思う人はあまりいないのだそう。

【フィリピンの公立病院と私立病院の違い】
公立病院
  • 貧困層の患者が多い。
  • 患者にとっての環境はあまりよくない
  • 看護師の給料は高い。
私立病院
  • 富裕層の患者が多い。
  • 病院自体がとてもきれい
  • 看護師の給料は安い

病院によって明確な差があるなんて、驚きですよね!

身の回りのケアは家族が行う

患者の身の回りの世話を誰がするか?

これはかなり大きなフィリピンと日本の看護師の業務内容の違いだと思います。

日本の病院では小児科を除き、家族の付き添いがない場合がほとんどです。 そのため、患者の身の回りの世話や状態の観察などは看護師が行っています。

一方フィリピンは、大人であっても家族が付き添うのが普通。

そのため食事の介助や体ふきなどの清潔ケア、具合が悪いかどうかの観察などは家族が担っているのです。

看護師は、記録や書類の処理、点滴や傷の処置などをメインに行っています。

【身の回りの世話を行うのは誰?】
    1. フィリピン:家族が身の回りの世話を行う
    2. 日本:看護師が身の回りの世話を行う

家族との絆が強い、フィリピンだからこその体制と言えそうですね!

海外で働きたがる看護師が圧倒的に多い

フィリピンの看護師を語るうえで欠かせないのが、この話題。 看護師資格をとってからの進路にも日本と大きな違いがあります。

フィリピンではなんと、看護師資格をとる学生のほとんどが、「将来的には海外で働きたい」と考えているそうです。

「看護師資格は海外で働くためのパスポート」

「フィリピンの病院はきついし給料も安い。待遇もよく高給な海外の病院で働きたい」

そのような思いで看護師になる人が多いのです。

フィリピンでの看護師の給料の平均約8万円(3万7000ペソ)/月と比較してみると、5~6倍程の差があることがわかります。

(This Is Why Nurses Are Leaving The Country:https://www.imoney.ph/articles/nurse-salary-philippines-abroad/

同じ看護師の仕事をして給料がこんなに違うのであれば、海外で働きたいと思う人が多くても納得という感じですね。

実際に私の友人のフィリピン人にも、海外で働くことを目指し勉強をしていている看護師が少なくとも3人はいます。

看護師資格は海外で働くためのアドバンテージ。 フィリピン人は英語が得意なので、アメリカやカナダ、イギリスなど様々な国で引く手あまたです。

一方で、多くの看護師が海外に流出し、フィリピン国内の看護師が不足するという状況にもなってきています。

実際今回の新型コロナウィルスの拡大により、フィリピンで働く医療従事者の人手不足が大きく問題になり、

海外への医療従事者の就労を政府が禁止する事態にもなりました。(共同通信社

フィリピン国内の看護の質を維持するためにも、バランスが大事だなと思ってしまいます。

日本人がフィリピンで看護師資格を生かして働く方法

最後に、日本人がフィリピンで看護師資格を生かして働く方法について触れたいと思います。

看護師として働ける?

フィリピンで、看護師として働くことはできるのでしょうか?

結論からいうと、「できない」ということになります。

外国籍を持つ人は、フィリピンの国家試験を受けられないためです。 そのため、看護師資格を取得して看護師として医療行為を行うことはできないということになります。

フィリピンで看護師経験を生かして働く方法とは?

とはいえ、看護師としての経験や医療の知識を生かして働くことはできます!

選択肢としては、

  1. 医療通訳として働く
  2. 日本人患者対象の病院や部署の立ち上げスタッフとして働く

などがあります。

日本外務省によると、フィリピンに住む日本人は約16,570人、留学生は約6700人と年々増加してきており、そうした人々が病気にかかったりけがをした際にサポートする役割なのです。

主な仕事内容を見てみると、

・日本人患者の電話

・保険利用者のキャッシュレス手配サポート

・病院内でのフィリピン人医師への診察がある場合や薬の説明など医療通訳・翻訳業務

・セブ島地区の他の病院へのアテンド医療通訳業務

などです。

仕事内容を見てお分かりになる通り、英語、特に医療英語のスキルが必須です。 通訳の際は、薬の名前や症状や処置など、専門的な対応が必要になる場合もあります。

医療現場で働いた経験があり、なおかつ医療英語を使える人材はかなり重宝されるそうです!

医療通訳については、過去のブログでも詳しく解説していますのでチェックしてくださいね!

医療通訳についての情報まとめ。需要もどんどん増加中!

まとめ:同じ看護師でもフィリピンと日本では違いが多い!

いかがでしたか?

同じ看護師という職業でも、給料や働き方、看護師資格をとったあとの進路など日本とフィリピンでは様々な違いがあることがわかりました。

フィリピンで看護師として働くことは残念ながらできませんが、看護師としてのスキルを活かしながら働くことはできます!

そこで必要なのが英語力。特に医療に特化した医療英語がマストになってきます。

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この記事を書いた人
Reona

看護師として5年間病院に勤務。セブ島での留学とインターンを機に英語の楽しさに目覚め、TOIEC300点以上のスコアアップに成功。日本に帰国後も通訳ボランティアや英語での取材などにチャレンジし、「病院を飛び出す看護師」を目指す。