「看護師が偉そう」と思われるのはなぜ?その理由と看護師・患者それぞれの対策を解説

saori
公開日:2025.05.31
更新日:2025.05.31

「看護師って、なんだか偉そう…」

そんな印象を患者さんやご家族が抱いてしまう場面は、決して珍しくありません。

実際には、誰よりも忙しく現場を回し、患者の安全を守るために日々尽力している看護師たち。

それでも「態度が冷たい」「威圧的に感じる」と受け取られてしまう背景には、いくつかの理由があります。

本記事では、「看護師が偉そう」と思われてしまう主な理由とその背景を解説するとともに、看護師側ができる誤解を減らす工夫、そして患者側ができる受け取り方の工夫についても紹介します。

医療現場におけるすれ違いを少しでも減らすためのヒントを、ぜひ参考にしてみてください。

「看護師が偉そう」と思われるのはなぜ?

看護師は医療の現場で、患者の命を守る重要な役割を果たす専門職で、正確な判断と迅速な対応が求められ、責任も重い職業です。

しかしその一方で、患者やご家族から「なんだか看護師が偉そう」と思われてしまう場面があるのも事実です。

ここでは、患者や周囲の人々が感じやすい看護師が偉そうに見えてしまうポイントを解説します。

口調がきつく聞こえる

看護師は日々多忙な業務に追われており、一人ひとりの患者にゆっくり丁寧に接する余裕がないこともあります。

そのため、必要最低限の言葉で手短に対応しようとすると、自然と言葉が強く、ぶっきらぼうに聞こえてしまうことがあります。

とくに高齢の方や不安を抱えている患者にとっては、こうした口調が「怒っている」「冷たい」と感じられてしまう原因になることがあります。

命令形の言い回しが多い

医療現場では、患者の体調や安全を守るために、迅速で明確な指示が不可欠です。

そのため、「手を出してください」「ここに寝てください」「今は動かないで」といった命令形の表現が頻繁に使われます

これは安全確保や手順の効率化を優先した結果ですが、命令されていると感じる人も少なくなく、「偉そう」と誤解されやすいポイントです。

患者に説明がないことがある

処置や検査の前に、なぜそれを行うのかを説明するのが理想的ですが、現実には時間が限られており、説明を省略せざるを得ない場面もあります。

その結果、患者からすると「いきなり注射された」「理由も言わずに検査に連れて行かれた」といった不満や不安につながることがあります。

説明不足は、患者との信頼関係を損なう要因となり、対応全体が高圧的に見えてしまうことがあります。

態度が冷たく見える

多忙なシフトや責任の重さにより、看護師自身が疲労やストレスを抱えていることは珍しくありません。

そのため、無表情になってしまったり、笑顔を見せる余裕がなくなったりすることもあります。

しかし、患者にとっては看護師の態度がそのまま「対応の冷たさ」として受け取られることがあり、「怖い」「親身になってくれない」と感じられる原因になるのです。

上から目線に感じる発言

看護師は医療知識をもとに適切な助言をする立場ですが、「それは間違ってますよ」「ちゃんと薬を飲まないとダメですよ」といった断定的な表現は、聞き手によっては「上から目線」に感じられることがあります。

意図せずとも、患者が委縮したり反発心を抱いたりすることがあり、言い方一つで印象が大きく変わることを意識する必要があります。

表情が怖いと感じられる

緊張感のある現場で集中していると、自然と表情が険しくなりがちです。

また、疲れていて笑顔で対応する余裕がない場合もあり、そうした表情が「怒っている」「威圧的だ」と受け取られることもあります。

看護師本人にその気がなくても、患者との関係構築において表情や視線は大きな影響を与える要素です。

看護師側ができる偉そうと思われる誤解を減らす工夫

看護師の言動が誤解され、「偉そう」「怖い」と感じられてしまうのは非常にもったいないことです。

誤解を避け、患者や周囲との信頼関係を築くためには、日常業務の中での少しの工夫が大きな効果を生みます。

以下に、実践しやすいポイントを紹介します。

声のトーンを柔らかくする

忙しい現場ではつい声が強くなりがちですが、意識して声のトーンを柔らかくするだけで印象は大きく変わります。

高圧的に聞こえるのは、言葉そのものよりも声の調子であることも多いです。

穏やかな声かけは、患者に安心感を与える効果もあります。

目を見て話す

業務に集中するあまり、患者の顔を見ずに説明してしまうこともあるかもしれません。

しかし、目を見て話すだけで「丁寧に対応してくれている」という印象になります。

忙しくても、アイコンタクトを意識することで信頼感が増します。

一言添える気配り

たとえば「体を動かしますね」の一言に「寒くないですか?」を添えるだけで、患者の感じ方は変わります。

些細な気遣いが「丁寧な看護師さん」という評価につながります。

一言の気配りは、誤解を減らす最も簡単で効果的な方法のひとつです。

患者の立場を意識する

看護師にとっては日常の一部でも、患者にとっては不安の中の特別な体験であることがほとんどです。

その視点に立って接することで、自然と態度や言葉に配慮が生まれます。

「相手の立場で考える」という意識を持つことが、誤解の防止につながります。

セルフケアで余裕を持つ

心や体に余裕がないと、どうしても表情や態度に余裕がなくなります。

十分な休息、適度な運動、趣味の時間など、セルフケアを大切にしましょう。

自分自身を大切にすることが、結果的に患者への接し方にも良い影響を与えます。

現場全体で接遇を見直す

個人の努力だけでは限界があります。

現場全体で接遇マナーやコミュニケーションの方針を見直すことで、職場全体の印象を底上げできます。

定期的な研修や振り返りの機会を設けるのも効果的です。

患者側ができる偉そうな看護師への対処法

看護師に対して「偉そう」「高圧的」と感じたとき、ただ不快な気持ちを抱え続けるのではなく、冷静に対処することが大切です。

医療現場では、看護師と患者との信頼関係が治療の質に直結することもあるため、お互いに歩み寄る意識が求められます。

ここでは、「偉そう」と感じたときの具体的な対処法や、より円滑に接するための工夫を紹介します。

まずは冷静に受け止める

きつい口調や態度に対して、すぐに反発したくなる気持ちは自然なものです。

しかし、そこで感情的に反応してしまうと、関係がさらに悪化してしまう可能性があります。

まずは「この人も多忙で余裕がないのかもしれない」と一歩引いた視点で受け止めてみましょう。

冷静に対応することで、相手の態度が軟化することも少なくありません。

わからないことは丁寧に質問する

無言のまま処置されたり、専門用語で説明されたりして不安を感じた場合は、そのままにせず、自分から丁寧に質問することが大切です。

「今の処置はどういう目的ですか?」「もう少し詳しく教えてもらえますか?」といった聞き方なら、相手の気分を害さず、理解も深まります。

看護師も、丁寧に聞かれると誠意を持って応じようという気持ちになりやすくなります。

感謝や敬意を伝える

「忙しい中ありがとうございます」「いつも助かっています」など、感謝の言葉を一言添えるだけで、看護師の態度が和らぐこともあります。

医療現場では感謝の声が励みになることが多く、表情や対応が優しくなるきっかけにもなります。

敬意を持って接することで、対等な関係性が生まれやすくなります。

どうしても対応に不満がある場合は相談窓口へ

何度も不快な思いをしたり、明らかに不適切な対応が続く場合には、医療機関の相談窓口や看護師長に相談するのも一つの方法です。

個人的に対立するよりも、第三者を通じて状況を整理してもらうことで、円滑に改善される可能性があります。

患者としての権利を尊重しつつ、冷静に伝えることが大切です。

「看護師が偉そう」と思われるのはなぜ?のまとめ

看護師が「偉そう」と感じられてしまう背景には、業務の忙しさや責任の重さ、コミュニケーションのすれ違いなど、さまざまな要因が潜んでいます。

決して本人に悪気があるわけではなく、むしろ患者のために全力で対応している結果として、誤解が生まれてしまうことも少なくありません。

看護師側は、声のトーンや言葉選び、表情などのちょっとした工夫で印象を和らげることができ、一方で患者側も、医療者の立場や状況を理解しようとすることで、より良い信頼関係が築けます。

お互いの立場を尊重し合うことで、安心と信頼のある医療環境を実現できるでしょう。

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