日本と似た気候と安定した治安で、留学先としても人気のニュージーランド。
そんなニュージーランドで日本人が看護師になることは可能なのでしょうか?
本記事では、ニュージーランドと日本の看護師の違いや、ニュージーランドで看護師になる方法をご紹介していきます!
ニュージーランドで働きたい看護師の方は必見です!
この記事のもくじ
ニュージーランドの看護師
留学先として人気のニュージーランドですが、看護師の待遇は日本と比較してどうなのでしょうか?
細かく見ていくと、実は日本の看護師よりも好待遇であることがわかってきました!
どういうことなのか一緒に見ていきましょう!
【資格】看護協会への登録で看護師になれる!
ニュージーランドには看護師の国家資格はありません。
その代わり、ニュージーランド看護協会(Nursing Council)への登録が必要です。
看護協会に登録するには、以下の条件を満たさなければなりません。
- 看護協会認定の教育機関に3年間通い、看護学学士号を取得する
- State Final Examinationに合格する
日本で学士号を取得するには4年大を卒業しなければなりませんが、ニュージーランドでは3年間で学士号が取得できます。
State Final Examinationとは、ニュージーランドで看護教育を終えた人が看護協会登録時に受けるテストのことで、State Final Examinationに合格しなければ看護師になることはできません。
【看護体制】教育体制が充実!?残業も少なめ!
ニュージーランドと日本の看護体制にはどのような違いがあるのでしょうか?
実際にニュージーランドで看護師として働いている日本人のブログなどから違いを見ていきましょう!
看護師の立場
ニュージーランドの看護師の立場はどのようなものなのでしょうか?
うちの病棟で行っている看護は日本よりも「進んでいる」と感じています。 それは、看護師が専門職として確立し、認識されているからです。
看護師自ら考え判断することを求められ、医師にも意見します。日本の医師の先生方からすると、ここの看護師は『態度が大きい』と感じると思います。
日本ではあくまで医師の治療方針のもと看護師が処置を提供していくことが多いですが、ニュージーランドの看護師は医師にも積極的に意見を述べることが多いようです。
どちらかと言えば医師と対等な立場にあるというアメリカの看護師に近いかもしれませんね!
医師に意見を言える分、より専門的で高度な知識が求められるとも言えます。
受け持ち患者数
ニュージーランドの看護師は何人ぐらいの患者を受け持っているのでしょうか?
NZの公立病院の一般病棟で、日勤では基本的に4人、たまに5人を受け持ちます。夜勤だと10人くらい。
(引用元:ニュージーランドでナースをしながら暮らす)
日本では日勤で7人ほど、夜勤だと15人ほど受け持つことが多いので、それに比べると非常に少ない印象ですね。
受け持ち患者が少ない分、患者1人1人と向き合える環境と言えそうです。
教育
ニュージーランドの看護師の教育体制はどのようになっているのでしょうか?
ここの病院にはクリニカルナーススペシャリストと呼ばれる、医者と看護師の仲介役や、ナースエデュケーターと呼ばれる患者を担当していないシニアナースがいて、私たちの仕事をサポートしてくれます。
(引用元:NZdaisuki magazine)
病棟にはエデュケーターやクリニカルナースと呼ばれる人がいて、いろいろ指導をしてくれます。
この人たちはほぼ毎日病棟にいるので、わからないことがあるとすぐに聞けるし、自信がない手技も一緒にやってくれたりするので、NZで経験がない私にはとてもありがたい存在です。
(引用元:ニュージーランドでナースをしながら暮らす)
日本では看護師1人1人にプリセプターをつけて教育をすることが多いですが、ニュージーランドでは各病棟に「エデュケーター」と呼ばれる教育専門の看護師を置き、教育をしてくれるようです。
プリセプターの場合は自分も患者を受け持っているため、教育業務が大きな負担となることがありますが、エデュケーターは患者を受け持っていないため、教育に専念できます。
医師と看護師をつないでくれる「クリニカルナース」の存在も特徴的です。
教育や相談専門の看護師を複数置くことで、看護師のサポート体制を整えているのが伺えます。
残業
日本では「残業は当たり前」という風潮すらありますが、ニュージーランドの看護師はどうなのでしょうか?
日本ではほぼ毎日残業をしていましたが、こちらではありません。
でも、全くのゼロというわけではなくて、忙しいときは残って仕事をすることもあります。
そしてこちらのナースたち、時間内に終わらなかったら次の勤務の人に任せることが多いです。
(中略)最初の頃は「私が終わらせなくちゃ!」と思っていましたが、皆が皆「次に任せなよ」と言うので最近はそうしてます。
(引用元:ニュージーランドでナースをしながら暮らす)
ニュージーランドでも残業はあるものの、日本ほどではないようです。
「自分の仕事が時間内に終わらなければ次の人に任せる」というのは日本にはない考え方ですね。
日本ではあくまで「自分の仕事は自分で終わらせる」という認識がありますが、ニュージーランドの看護師はそこは割り切って仕事をしているようです。
【給与】日本と比べても高収入!
ニュージーランドの看護師の気になるお給料はどうなのでしょうか?
日本の看護師の年収と比べてみましょう!
ニュージーランドの看護師の年収:54,000ドル≒5,749,596円
ニュージーランド全体の平均年収:40,640ドル≒4,364,918円
看護師の年収だけを比較すると、ニュージーランドの看護師の方が約100万円ほど高収入であることが分かります。
国全体の年収と比べてもニュージーランドの看護師は非常に高収入であり、待遇が良い職業だと言えそうです。
日本との違いを比較!
ニュージーランドと日本の看護師の違いを表でまとめてみました!
ニュージーランド | 日本 | |
免許 | 看護協会に登録 | 国家資格もしくは准看護師免許 |
学校 | 3年間の看護教育で学士号取得 | 教育機関は専門学校、短大、4年大を選べるが、学士号が取得できるのは4年大のみ |
看護師の立場 | 医師と対等に近い | あくまで医師の指示のもと動く |
看護教育 | 教育専門のエデュケーターナースや、医師と看護師をつなぐクリニカルナースがいる | 教育は主にプリセプターが患者の受け持ちと並行して行う |
残業 | 少なめで、残った仕事は次の人に任せる | 多めで、自分の仕事は自分で片付けるという認識が強い |
給料 | 5,749,596円(全体平均より100万円以上高い) | 4,673,000円(全体平均よりやや上) |
こうして見ると、ニュージーランドの看護師は日本と比べて非常に好待遇のように見えますね!
実際、ニュージーランドで働く看護師からは
- ニュージーランドの方が働きやすい
- 心と時間に余裕をもって働ける
といった声も目立っていました。
海外で働きたい看護師にとってニュージーランドは魅力的な国だといえます。
ニュージーランドで看護師になるには?
では、日本人がニュージーランドで看護師として働くにはどうすれば良いのでしょうか?
ニュージーランドでは、外国人が看護師になる条件を以下のように定めています。
- 英語スキル:OETで各バンド350以上 or IELTSで各バンド7以上 ※イギリス、アイルランド、カナダ、アメリカで看護師登録or教育を受けた場合は免除可
- 看護師資格:現在どこかの国で看護師登録されている
- 看護教育:ニュージーランドの学士号と同等の資格を持っている
「ニュージーランドの学士号と同等の資格」とは以下のことを指します。
- ある分野において専門的な技術もしくは理論的な深い知識を持っている。
- 未知で時に複雑な問題を分析し、解決法を生み出せる。ある分野に関連する様々なプロセスを選択、採用、適用できる。
- 専門的な文脈や研究における発達した包括的な技術、もしくは専門的な知識がある。
ニュージーランドの教育では3年間で学士号の取得が可能ですが、日本ではあくまで4年大の教育が同等です。
以上を踏まえると、ニュージーランドで看護師として働く方法は卒業した学校によって異なってきます。
日本の看護資格あり×4年大卒
日本で4年大を卒業し看護師資格を所有している場合、2と3の条件は満たしているため、「1.英語スキル」の条件を満たす必要があります。
英語スキルをクリア次第、看護協会への申し込みが可能です。
日本の看護資格あり×短大・専門卒
日本の看護資格は所有しているものの、学士号が無い場合は、「1.英語スキル」「3.看護教育」の条件を満たす必要があります。
ニュージーランドもしくは日本の学校へ編入し、足りない学位を補いながら、必要な英語スキルを修得しましょう。
無事に英語スキルと学士号を修得でき次第、看護協会へ申し込み可能です。
日本の看護資格がない
日本の看護師資格がない場合は、1~3の条件全てをクリアする必要があります。
ニュージーランドで働くことを決めているのであれば、ニュージーランドの学校に入学して「3.看護教育」の条件をクリアしてしまいましょう。
ニュージーランドで看護教育を行っている学校はこちらから確認できます。
必然的に「1.英語スキル」は必須になりますので、入学前に英語力を磨いておくのが得策です。
また、ニュージーランドで看護教育を受けた人はState Final Examinationに合格しなければ看護協会に登録することができません。
いわば国家試験の代わりともいえるこの試験に合格し、看護協会に登録することで、「2.看護資格」を得ることができます。
State Final Examinationとは
90問の選択問題2枚からなるテストで、問題は以下の4つのキーカテゴリーと6つのサブカテゴリーから編成されています。
キーカテゴリー:安全/効率的な環境、生理学、心理社会学、健康維持
サブカテゴリ―:倫理的/合法的な社会、地域保健看護、母子保健看護、医療看護、外科看護、精神保健看護
合格するには各キーカテゴリーで6割以上正解、各サブカテゴリ―で5割以上正解しなければなりません。
試験は毎年3、6、11月の第三木曜日に行われており、教育を終えた1年以内に合格しなければならないとされています。
この試験に合格することでニュージーランドの看護協会登録に進むことが可能です。
看護協会登録の流れ
1~3の条件を全て満たしたら、看護協会登録へ進むことができます。
- 身分証明書類
- 職務歴
- 教育歴
- 免許証明書
- 言語能力証明
といった必要書類を送り、承認される必要があります。
書類が通ったら、「能力査定コース(CAP)」と呼ばれる研修を受けなければなりません。
これはニュージーランドの看護師に必要な知識や技術を学ぶ講習で、
- ニュージーランドの病院システム
- マオリ族について
- 看護師法について
- 実習
などを教えてもらうことができます。
ニュージーランドの学校の卒業生などは免除される可能性もありますが、日本人の場合はこの研修を受講するのがほとんどです。
講習施設によって期間や料金が異なるので、看護協会の指示のもと適宜問い合わせてみましょう。
これら全ての詳細はニュージーランド看護協会のホームページからご確認いただけますのでぜひ見てみてくださいね!
まとめ:ニュージーランドで看護師になるには英語が必須!
ニュージーランドでは、看護師の負担が少ない上高給与で、日本と比較すると好待遇といえます。
英語スキルさえあれば日本人でもニュージーランドで充実した看護師ライフを送ることが可能です!
今のうちに英語スキルを習得して、患者さんや同僚とコミュニケーションがとれるようになっておいてはいかがでしょうか?
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