【更新:2021年11月29日】
K-POPに韓流ドラマ、美容に激辛フードなど、魅力あふれる国、韓国。
日本人からの人気も高く、多くの観光客が韓国を訪れています。 そんな韓国で日本人が看護師になることはできるのでしょうか?
本記事では、韓国の看護師事情や日本との違い、韓国での看護師のなり方をご紹介していきます!
韓国で看護師になりたい方はぜひ最後まで読んでみてくださいね!
この記事のもくじ
韓国の看護師
韓国の看護師はどのような働き方をしているのでしょうか?
日本の看護師と比較しながら詳しく見ていきましょう!
【歴史】諸外国の影響を受けながら発達
韓国の看護制度は、日本やアメリカといった諸外国の影響を大きく受けながら発展してきました。
正規の看護教育は1903年、保球女館(1887年、ソウルに設立された韓国初の女性専門病院)において、欧米の看護教育を受けたアメリカや日本の看護師が来韓し、看護師を養成したのが始まりである
(引用元:韓国における看護教育制度)
日本では1886年に日本赤十字社による救護看護師の養成が始まっていたので、その後韓国の看護師養成にも携わっていたようです。
1900年代前半は日本の統治時代が続き、看護婦・助産婦の養成所が設けられていました。
独立後は1955年から大学での看護教育を開始。
現在は高校での看護教育や3年制の大学も廃止され、全ての学校が4年制の大学です。
日本でも看護教育が本格化したのは戦後からですが、教育機関は2-3年制の専門学校や短大、4年大に分かれています。
戦時中までは日本の影響も大きく受けていた韓国の看護体制ですが、戦後は独自に発展していったと言えそうです。
【資格】韓国の看護師も国家資格が必要
韓国でも、看護師になるためには国家資格が必要です。
資格を得るには指定された看護教育を修了しなければなりません。
2012年までは3年制と4年制の大学がありましたが、現在は4年制の大学のみとなっています。(参考:韓国の看護大学における看護教育の体験)
上級看護師と呼ばれる専門看護師や、認定看護師になることも可能です。
●上級看護師の種類:助産師、保健専門看護師、麻酔専門看護師、家庭専門看護師、感染管理専門看護師、救急専門看護師、老人専門看護師、産業保健師、保健診療員、精神保健専門看護師
●認定看護師の種類:がん看護、心臓血管看護、糖尿病教育、神経科看護、腎臓看護、創傷ケア、ストーマケア、ホスピスケア専門看護師、臓器移植専門看護師、経管治療など 20 種以上
国家資格が必要な点や専門・認定看護師になれる点は日本と似ていますね。
【看護体制】地域差が大きい一方、分業が進んでいる
韓国の看護体制はどのようになっているのでしょうか?
韓国での看護師の仕事は、医療法で以下のように定義されています。
傷病者または産婦の療養上の看護または診療上の補助および大統領令で定めている保健活動に従事すること(引用元:韓国における地域で働く看護職の現状及び教育体制について)
看護師の仕事を「療養上の世話または診療の補助」と定めている日本と似ている気がしますね。
実際の仕事内容を、韓国で看護師をした方のブログや、論文から読み取ってみました。
家族の絆が強い韓国では昔から身内で患者に付き添います。また、付き添いという職業があって、看病人、療養保護士と呼ばれる人が身の回りの世話をします。患者の移動やおむつ交換などは勿論、吸引などを上手にできる人もいます。
(中略)
看護師は清拭や洗髪などをしないので、事務的な業務や点滴・注射などの医療処置に時間を費やせるという印象も受けました。
(中略)
食事の配膳下膳や病室のちょっとした掃除、物品管理や補充も担当の人がするし、死後の処置も専門の業者がすべて行うのを見て、日本との違いを感じました。
(引用元:「韓国で看護師をしよう」)
日本では患者の身の回りの世話は看護師が行うのが普通ですが、韓国では「看病人」という職業の方が付き添い、介助をしてくれるそうです。
同室で24時間付き添ってくれるので、患者もナースコールを押さずに済む上、看護師は医療業務に集中できます。
食事の配膳や死後の処置まで専門の人が行うなど、日本の看護師と比べてかなり分業が進んでいるようです。
また、医師と看護師の関係も日本とは少し異なります。
日本の看護師の現場では、Drが出した指示を本当に忠実にしたがって実践する。(中略)韓国の看護は、色々な看護の問題点をDrに言います。それでDrは、看護師のカルテをすごい熱心に見てるんです。(中略)韓国はDrは看護師に対してもっと平等なんですよ。(引用元:今、日本の病院でがんばっている韓国人の看護師 菊池さん)
日本の看護師はあくまで医師の指示に従うのが基本で、医師の方が上という意識も少なくありません。
ですが韓国ではもっと平等な立場で、看護師から医師へ積極的に意見を述べているようです。
患者と常に接している看護師の意見を医師が尊重してくれるのはうれしいですね。
ただし、医療施設の分布には地域によって大きな差があります。
病院や専門医の 9 割は都市部に集中しており,地方では保健所が一次医療を提供している.
(中略)
しかし,住民にとって保健所は三流の医療施設という認識であり,病院を受診することが多い.今後,公的部門の拡充として保健所に入院機能の新設が予定され,同時に公的機能の専門化および一元化を目指している
韓国では病院の9割が都市部に集中しているとのことですが、日本では全国の病院数が8389であるのに対し、東京の病院数が633( 2020年11月現在)。(引用:厚労省、日本医師会)
東京が占める割合は全国の8%未満なので、いかに韓国の病院数の地域差が大きいかお分かりいただけるかと思います。
地方でも多くの人は病院まで出向いているようなので、都心部と地方では病院の環境も大きく異なりそうです。
【給与】韓国の看護師は若干低め
気になる韓国の看護師のお給料はどれくらいなのでしょうか?
日本の看護師と比較してみました!
日本と比較すると、韓国の看護師の年収は100万円ほど低くなっています。
全体の年収と比べても看護師の年収は低めなので、給与面での待遇は日本の方が良いと言えそうです。
日本との違いを比較!
ここまで見てきた韓国と日本の違いを表でまとめてみました!
韓国 | 日本 | |
免許 | 国家資格 | 国家資格もしくは准看護師免許 |
学校 | 4年大のみ | 専門学校、短大、4年大 |
専門・認定看護師 | あり | あり |
看護師の立場 | 医師にも平等に意見を述べられる | あくまで医師の指示のもと動くのが基本 |
看護業務 | ・分業が進んでおり、看護師は医療処置に集中できる
・病院が都市部に集中しているため、地方とは環境が大きく異なる |
・患者の身の回りの世話も看護師が行うことが多い
・病院数の地域差は比較的小さい |
年収 | 約3,634,531円(全国平均より下) | 4,829,100円(全国平均より上) |
韓国でも、看護師には国家資格が必要であり、専門看護師や認定看護師になれるなど、日本の看護師と多くの共通点が見られました。
給料は日本の方が高いですが、分業が進んでいるので看護師の負担は日本より少ないかもしれません。
【2021年版】コロナ禍での韓国看護師の現状
コロナ禍による看護師不足は、世界各国で共通の問題です。
韓国でも、看護師の離職やストライキのニュースがあります。
看護師たちがまき散らした退職願には「辞職します。余りにも多くの患者の受け入れに耐えてきましたが、これ以上は患者をまともに看護できません」という内容が含まれていた。 (引用元:https://news.yahoo.co.jp/articles/29c5c805f9c8a5edae886aaf7b32417664ba71d7)
一刻も早く、医療職の労働環境が改善されて欲しいですね。
韓国で看護師になるには?
韓国は外国人看護師を受け入れており、日本人でも看護師になることが可能です。
韓国の大学を卒業した人も、日本など海外の看護免許を持っている人も、韓国で看護師になるには国家試験を受けなければなりません。
まだ看護免許を取得していない場合は、韓国の大学に入学して国家試験に臨みましょう。
すでに韓国以外で看護免許を取得している場合は、以下の流れで看護師になることができます。
- 書類審査
- 国家試験
- 免許取得
(参考:KHPLEI)
申請案内は、国市院ホームページで閲覧できます(2021年11月時点では記載なし)。
書類審査では以下の書類の提出が必要です。
- 申込書
- 看護免許証コピー
- 学位証または卒業証明書のコピー
- 成績表
- カリキュラム
- シラバス(専攻科目の教育目標、学習内容、授業時間を含む書類)
- 学則(入学、編入、卒業、単位に関するもの)
- 学校便覧(フルタイム講師の現在のステータス、学部、設備などが分かるもの
- 出入国証明書
- 個人情報の利用への同意書
- その他、受験資格があることを証明するもの
(参考:KHPLEI)
提出資料だけでも多くの書類が必要になります。
卒業校のカリキュラムやシラバスを大事に持っている人はいないでしょうし、学則や便覧まで集めるとなると、かなり骨が折れそうです。
2~8の書類は韓国語への翻訳と公証が必要で、2~4はさらに役所でも認証してもらわなければなりません。
書類を集めるだけでもかなりの時間がかかると予測されます。
書類審査に合格した人のみが国家試験に進むことができます。
韓国語については応募要項には記載されていませんが、国家試験は韓国語で行われるので合格ライン以上の韓国語は必須です。
韓国の看護師国家試験
韓国の国家試験は毎年1月に行われます。
2022年の試験日は1/21金曜日、合格発表が2/18金曜日となっています。
5つの選択肢からなる選択問題295問からなり、配分は以下のようになっています。
- 成人看護(70問)
- 母子看護(35問)
- 小児看護(35問)
- 地域看護(35問)
- 精神看護(35問)
- 看護管理(35問)
- 基礎看護(30問)
- 医療保険制度(20問)
(参考:KHPLEI)
全体で6割以上、各科目4割以上で合格となります。
韓国語の勉強と看護学の復習を同時に進めていくことが必須です。
まとめ
韓国の看護師は日本より給与が低めですが、分業が進んでいるので医療業務に集中できるという点が魅力です。
日本と同様、国家試験に合格すれば韓国で看護師になることができます!
国家試験や韓国人とのコミュニケーションには韓国語が必須なので、ぜひ今から韓国語をマスターしておきましょう!
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