中国の看護師事情!必要な資格や給与、特徴などを徹底解説!

Reona
公開日:2020.06.09
更新日:2020.06.09

こんにちは!ライターのReonaです!

今日のテーマは、「中国」!

正式名称は、中華人民共和国です!

面積は日本の約25倍、人口は約14.1億人で日本の約11倍というスケールの大きな国です。 また近年急速に経済発展を続ける国としても知られていますね。

私は中華料理が大好きなので、いつか本場の中華を食べてみたいなあと思っています…!

話される言語は中国語で、英語ではないですが、世界を知るうえで欠かせない国です!

そんな中国の看護師事情をのぞいてみましょう!

中国で働く看護師の実際

中国の看護師資格

中国で看護師になるためには、政府指定の看護学校を卒業し、中国の国家看護師資格試験に合格する必要があります

試験は毎年5月に年一回行われています。

(今年は新型コロナウイルス流行の影響を受け、9月に延期されています。)

試験に合格し、中国の看護師として登録されている人数は、現在約400万人以上です。

これは、人口1000人あたりの看護師の数が約3人という割合になっています。(exciteニュース)

日本では人口1000人あたりの看護師の数が10.8人Global Health Observatory (GHO) data)なので、比較するとかなり少ないですね!

日本でさえ看護師不足といわれていますが、中国ではさらにその3分の1。

かなり多忙を極めていることが予想されます。

中国の看護師の給与

中国の看護師の給与はどれくらいなのでしょうか?

調べてみると、経験年数に応じてかなり差がありそうです。

看護師(経験年数1〜3年)の平均給与:  約225万円(149,137人民元)/年

看護師(8年以上の経験年数)の平均給与約393万円(260,402人民元)/年

SALARY EXPERT

中国全体の平均給与と比較するとどうでしょうか?

中国全体の平均給与: 748万円/年

平均年収.com

中国の平均年収は格差が大きく、富裕層の年収は約2900万円以上なのに対し、 農村部・低所得者層の年収は100万円以下のところもあります。

そのため一概に比較はできませんが、看護師の給与は平均よりも少ないようです。

また、中国で看護師として働く友人によると、中国の看護師は国家公務員のような扱いになっていて、(厳密には国家公務員ではない)経済発展の影響で物価が上がったりしても看護師の給料はそんなに変わらないとのこと。

看護師の仕事は夜勤があり、人の命にかかわる仕事だけに責任が重いにもかかわらず、業務の重さに見合った報酬を得ていないといえそうですね…。

中国の看護師の特徴

中国の看護師にはどのような特徴があるのでしょうか?

病院がランク付けされている

看護師というより、中国の病院の特徴ですが、中国では、病院に等級区分があります。

簡単に言うと、病院がランク分けされているのです。

中国の病院は病床数やスタッフ数、診療科などから1 から3 級に分けられています。 数字が大きいほど、病院も大きくなります。

さらに各級は甲・乙・丙3 つのランクに分けられており、全部で9 つのランクになります。

各病院の等級決定審査を行う機関は、「医療機関評価審査委員会」と呼ばれている機関です。 (新興国等におけるヘルスケア市場環境の詳細調査報告書 中国編

日本でも、第三者の評価機関として、「病院機能評価」というものがあり、一定の水準を満たした病院を「認定病院」とする制度はあります。

また、雑誌などでは「人気の病院!」「●●に強い病院ランキング」などあくまで口コミレベルの評価基準は目にしたことがありますね。

しかし、明らかなランク付けは行っていないので、中国の病院ならではの特徴といえるでしょう。

看護師の仕事は不人気!?

調べてみると、中国で看護師の仕事は不人気のようです。(MONEY VOICE)

なぜ中国で看護師は不人気なのでしょうか? 理由は主に以下の3点に分けることができます。

➀給与が低い

➁忙しい

➂社会的地位が低い

➀給与が低い

給与に関しては、前項で述べた通り。

夜勤などがあるにも関わらず、十分な給与がもらえていないと感じる人が多いことが原因です。

➁忙しい

人口1000人当たりの看護師数が3人と述べたように、看護師が不足していることが看護師の業務量を増やし、忙しくさせている原因となっています。

忙しいと仕事を辞める人が多くなり、また現場が忙しくなっていく…という悪循環になってしまいますね。

また中国で高齢化が進んでいるのも、原因の一つです。 中国では日本のように、年々高齢者の数が増えて生きています。

経済協力開発機構(OECD)の報告書によると、中国では65歳以上の高齢者の割合が2017年には10.6%だったのが、2050年には26.3%と倍以上に増えると推定されています。 (経済協力開発機構(OECD)

高齢化が進むとそれだけ治療が必要な老人が増えるため、病院にいる患者の看護にあたる看護師の仕事もどんどん増えていきます。

中国で看護師として働く中国人のCさんからは、こんな声がありました。

看護師も含め、医療系全般が不人気(ちなみに人気があるのは教師)。中国の人は病気になるとたいていの人は総合病院など、大きな病院に行く。そのため病院内は常に患者が多い。さらに中国人は待ち時間が長いと怒りだすことがしばしばあり、忙しさに加えて精神的にストレスな面もある。

業務が忙しいだけではなく、怒られたり、クレームをつけられたりと、患者さんとの関係にうんざりする看護師も多いようです。

➂社会的地位が低い

給料が低くても忙しくても、人から感謝され社会的に認められている仕事であれば続ける人も多いでしょう。

しかし、看護師の仕事は中国では社会的に専門性が認められていない側面があるといいます。

中国は4千年の長い歴史があり、人の世話をすることが軽視されるという封建的思想の影響が残っている国である。(中略) 中国の伝統観念として、 人の体に触れ面倒を看ることや、糞尿を処理することが、一段低い仕事と見なされる傾向が否定できない。

中国の医療制度と看護師問題について

そのため、単純な事務作業や雑用を押し付けられることも多く、看護師としての専門性を発揮できないこともあるそうです。 豊富な経験もある看護師が、適切に配置されず、力を発揮しきれない…ということも多いそう。

せっかく看護師として勉強をして資格を取ったのだから、専門性を生かして働きたいですよね…。

中国の看護師をとりまく環境は、なかなか課題が多いと感じます。

看護師はランク分けされており、指名制度もある!

ここまで中国の看護師のあまりよくないイメージを書いてきてしまいましたが、 「これは面白いな!」と思ったものもあります!

中国の看護師は、ランクや実力によって明確に分かれており、給与も変わってくるということです!

病院だけではなく、看護師にもランク付けがあるとは…。

中国の看護師の資格は「護士」、「護師」、「主管護師」、「副主任護師」、「主任護師」と5階級にランク分けされており、 階級によって給料が大きく変わります。

中国の看護師の階級
      1. 護士    ・・・中等専門学校を卒業後、1年間研修した者
      2. 護師    ・・・学校卒業後、看護師試験を受けて合格した者、2年以上の臨床経験のある者
      3. 主管護師  ・・・学士終了後4年以上の臨床経験を持つもの者、修士の学位取得後、2年以上の臨床経験者及び博士の学位取得者
      4. 副主任護師 ・・・論文の作成及び研究指導、管理能力があるもの、助教授に相当する資格
      5. 主任護師  ・・・大学教授に相当する資格

中国の医療制度と看護師問題について

 

中国の看護師にとって階級は重要で、働ける病院も変わってくるそうです。

日本では、経験年数に応じて給料は上がりますが、論文の発表や博士の有無で給料が大きく変わることはありません。

中国では、努力をして経験を積めば積むほど大きく給料は上がっていきます。 その点は頑張りが求められるいいところですね!

さらに面白いのが、中国の看護師には指名制度があり、指名される優秀な看護師ほど手当てがつくことです!

中国では自分がどの位置の看護師であるかによって、勤務できる病院のレベルも規定されてくるし、さらには指名料の半分は自分のボーナスになるから、自身の収入にも直結します。さらに自身が指名を受ければ、仕事の励みにもなります。(中略) 指名する看護師のランクにより費用が異なり、その分の費用を払えば経験、知識もあることが保証された特級の看護師が、担当してくれる。

一般財団法人 海外法人医療基金

指名制度があるなんて、面白いですよね!

確かに、自分が患者だとしたら、点滴を一発で入れてほしい、技術力が高い看護師に看護されたい、と思うかもしれませんね。

看護師側からしても、技術力やコミュニケーション力をあげれば給料が高くなるので、頑張ろうというモチベーションにもなりそうです。

競争社会というとあまりいいイメージはしませんが、看護全体の質も高くなる可能性もあります。

しかし一方で、ただでさえ責任が重く、重労働な業務に加え、明らかな看護師同士の実力差を見せつけられると、新人さんなどは精神的なダメージも大きそうです。

日本の看護師が中国で看護師として働くには

日本で看護師免許取得していれば、中国でも看護師として働くことができるのでしょうか?

病院で働くのは、難しい

日本の看護師が中国で看護師免許を取得することは、制度的には不可能ではないようです。

外国人看護師も、一定の条件を満たせば、中国の看護師試験に参加することができます。

外国人看護師が中国で看護師免許を取得するための条件
  • ・認可された外国の中等あるいは高等医学校看護専門の卒業証明書と看護師ライセンスを持つこと
  • ・中国漢語能力試験HSKの合格証明書を持つこと
  • ・衛生行政機関より指定された医療機関で3ヶ月間以上実習を行うこと

正宝医学教育ネットワーク:)

しかし実際には、日本の看護師が中国の病院で働くのは難しいかもしれません

ネット上でも中国で看護師として働く日本人の情報は見つけられないうえ、 中国で働く看護師も外国人看護師が病院で働いているのを見たことがないという声を多く聞きました。

オーストラリアやカナダなどの国と違い、積極的に外国人看護師を受け入れているというわけではなさそうです。

日系のクリニックなどの求人はある

といえ、日系クリニックなどの求人はあるようです!

【中国の日系クリニックの求人の一例】
    1. 国籍:不問(日本人優先)
    2. 性別:女性
    3. 語学力:日本語必須、英語できるとなお可
    4. 年齢:35歳以下の方
    5. 経験・資格:➀日本の正看護師資格をお持ちの方、または中国の看護師資格をお持ちの方 ➁医療現場での経験必須。現場経験のない方は対象外です。➂注射、点滴の得意な方歓迎
    6. 仕事内容:➀処方箋のチェック、調剤、服薬指導、➁採血、点滴、注射、その他クリニックにおける看護業務、➂外来対応

中国で看護師の資格を生かして働きたい方にはぴったりですね!

こちらは中国の看護師免許がなくても、日本の看護師免許を持っていればクリニックが手続きをしてくれるそうなので、安心です。

対象の患者さんが日本人なので、中国語を話す必要もないのがいいところです。

ただ日本人を対象としたクリニックに限られてしまうので、求人の数自体は多くなく、タイミング次第になりそうです。

まとめ

中国の看護師事情、なかなかシビアでしたね!

中国の看護師の働く環境は歴史的な背景も伴って、よいものとは言えなさそうです。

同じいち看護師として、中国で看護師の地位が確立され、働きやすい環境になることを願うばかりです。

一方で、看護師や病院のランク付け、指名制度などによって頑張りが評価されるのはいいところ!

また、中国で看護師免許を取得して働くのは難しそうですが、日系クリニックの看護師としてならチャンスがありそうということがわかりました!

今回は中国の看護師事情について学びましたが、知らないことばかりでしたね。

留学では日本人だけではなく、中国・韓国・ベトナムなどいろいろな国から英語を学びに来た人々と出会うことができるのも魅力。

世界のことを知るためにも、世界に友人を作り、コネクションを作っておくことはとても大事なことですよね!

世界をもっと知りたい方、視野を広げたい方はぜひ留学やインターンにチャレンジしてみませんか?

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この記事を書いた人
Reona

看護師として5年間病院に勤務。セブ島での留学とインターンを機に英語の楽しさに目覚め、TOIEC300点以上のスコアアップに成功。日本に帰国後も通訳ボランティアや英語での取材などにチャレンジし、「病院を飛び出す看護師」を目指す。