テレビ番組やニュースなどで、「NGO」という言葉を耳にしたことがあるかと思います。
ただ、いったいどんな活動をしているのか、「ボランティア活動をしている団体のことかな」と、なんとなくしか知らない人も多いはず。
「NGOってどんなことをしているの?」
「NGOの詳しい活動内容が知りたい!」
という人へ向けて、NGOの活動について、具体例をあげて解説します。
日本で代表的なNGOや、実際にNGO活動をしている人の特徴、お金関連の話まで盛りだくさんです。
NGOで活動してみたいという方や、NGOに興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
この記事のもくじ
そもそも「NGO」って?
NGOとは「Non-governmental Organization」の略称です。
日本語に直訳すると、非政府組織といいます。
政府じゃないってどういうこと?と思うことでしょう。
これはNGOという言葉が生まれた背景が関係しています。
NGOは、世界の平和と発展を目的に活動する国際連合(国連)の、経済社会活動を調整する機関「経済社会理事会」から生まれた言葉なのです。
各国の政府や国際機関と区別する必要があり、「Non-governmental=政府でない」という意味合いで「NGO」と名付けられました。
似ている「NPO」との違い
NGOと似ている「NPO」。
NGOとNPOの違いについて、よくわからないという人も多いでしょう。
NPOは「Non-Profit Organization」の略称で、直訳すると「非営利組織」。
NGOとNPOのどちらも民間・市民団体で、活動内容に明確な区分けはありません。
違いがあるとすれば、非政府・非営利という言葉の違いと、法人格が必要かどうかです。
日本はNGOの法人格がないため、法人として活動したい場合はNPO法人として登録をします。
また、日本では、国際的な活動をしている団体を「NGO」、国内で福祉活動をする団体を「NPO」と呼んでいます。
しかし、NPOであっても、国内外問わず問題に取り組む団体はたくさん存在します。
NGOはどんな活動をしているの?
NGOは、民間団体や民間人がつくる団体です。
活動内容のポイントは、おおきく4つあります。
- 貧困や飢餓、環境などの、世界的な問題が対象
- 政府や企業、国際機関ではなく、民間(非政府)の立場
- 国や民族、宗教などの壁を越えて取り組む
- 利益を目的としていない
NGOの活動範囲は、国内を対象としているものと、国際的な活動をするものの両方があります。
ここでは、活動内容に幅がある、国際協力を行うNGOについて紹介します。
世界中で様々な支援活動をしている
NGOは、世界中で困っている人々を助けるために、各方面で様々な活動をしています。
- 開発:農業指導、保健医療、住まい環境、教育、職業訓練など
- 環境:森林保護、植林、生態系保護、砂漠化防止など
- 人権:こども、ジェンダー、女性、障がい者、少数民族、外国人労働者など
- 平和:平和教育、軍備撤廃、地雷除去支援など
- 健康:災害や紛争の被害者への緊急支援、感染症対策、リハビリテーションなど
- 資金:物資支給、海外の活動現場への資金助成など
- 提言:政策の提言、平和構築、公正な貿易など
- ネットワーク:情報提供、NGO同士での協力体制づくりなど
NGOの活動をみてみると、保健医療やこどもの教育、ジェンダー、女性にまつわる活動が多くみられます。
また、植林や復興支援などの活動も盛んです。
役割でわかれる、NGOの種類
おおくのNGOは、対象分野を専門としています。
- 発展途上国の貧困問題に立ち向かう、国際協力NGO
- 地球の環境問題に対する活動をする、環境NGO
- 平和・人権にまつわる問題に取り組むNGO
NGOの活動は多岐にわたります。
関わっていく問題ごとに役割をもって、それぞれ活動をしているのです。
NGO活動のもととなる収入源
ちょっと気になるのが、NGOのお金にまつわること。
いったいどういう方法で、活動資金を得ているのでしょうか。
NGOの活動資金のもとは、おおきく3つあります。
- 自己財源(会費、寄付含む)
- 受託事業収入
- 助成金
NGOで活動している人たちは、有給・無給どちらのケースもあります。
代表的なNGOと活動内容
ここでまでの解説で、NGO全体の活動や、お金の面について紹介しました。
では、実際にどのようなNGO団体があるのでしょうか。
日本で代表的なNGO団体の名前と、活動内容について紹介します。
日本赤十字社(JRCS)
日本赤十字社(Japanese Red Cross Society=JRCS)は、世界192か国に広がる赤十字団体のひとつです。
第1回ノーベル平和賞受賞者のアンリー・デュナンが提唱した「人の命を尊重し、苦しみの中にいる者は、敵味方の区別なく救う」ことを目的としています。
- 国内災害救護
- 国際活動(緊急時の救援や復興支援、予防活動)
- 赤十字病院
- 看護師教育
- 血液事業(献血、血液製剤の提供)
- 救急法などの講習
- 青少年赤十字
- 社会福祉(地域ボランティアなど)
- 赤十字ボランティア
日本赤十字社の活動は、日本で馴染みがある・想像しやすいところが特徴です。
日本にある赤十字病院も、日本赤十字社の活動のひとつ。
献血などで、「実は日本赤十字社のNGO活動に協力していた」という人もたくさんいます。
日本ユネスコ協会連盟
日本ユネスコ協会連盟は、平和を目指すユネスコ憲章の理念のもと、国際平和・福祉の活動を、国内外で行っている団体です。
- 世界寺子屋運動(学校に行けない人たちへの授業)
- 世界遺産活動(世界遺産の修復)
- 自然災害発生後の教育にまつわる支援
歴史の授業で、「ユネスコ憲章」について習ったことを思いだす人もいるでしょう。
日本ユネスコ協会連盟は、イベントやキャンペーンがたくさんあります。
そのため、NGO活動に挑戦してみたいという人に、関わりが深い団体です。
WWFジャパン(世界自然保護基金ジャパン)
パンダのマークが目印のWWF(World Wide Fund for Nature=世界自然保護基金)は、環境保全を行う団体です。
世界の約100か国で、地球の生物や自然を守る活動をしています。
日本のWWFジャパン(世界自然保護基金ジャパン)は、日本国内だけでなく、日本に関わる国際的な問題に取り組んでいます。
- 地球温暖化を防ぐための調査や、対策発表
- 自然資源を利用し続けられる仕組みづくり
- 野生生物を絶滅から守る
- 森や海などの生態系を守る
自然に興味関心がある人は、WWFの存在を知っていることも多いはず。
WWFの公式サイトでは、頻繁に活動報告があがっています。
環境問題についての知識を深めるためにも、WWFの活動をチェックするといいでしょう。
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(SCJ)
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(SCJ)は、こども支援専門の国際NGO団体です。
日本をふくむ29か国が中心となり、世界の約120か国において、こどもを支援をしています。
戦争・紛争地域のこどもたちを守る活動から、防災、教育などをはじめ、こどもの権利の実現を目指し、活動中です。
- 緊急・人道支援
- 保健・栄養
- 教育
- こどもの保護
- 防災
- こどもの社会参加
セーブ・ザ・チルドレンによると、4人に1人が「こども時代」を過ごす権利が奪われているそう。
さらに、世界で約3億人のこどもたちが、小・中学校に通えていないというデータもあるそうです。
NGO活動をサポートしたいという人は、毎月の寄付から、一回限りの寄付などがあります。
アムネスティ・インターナショナル日本
アムネスティ・インターナショナルは、世界最大の人権NGO団体です。
世界の約150か国に、300万人以上の会員やサポーターが存在します。
支部は50拠点以上あり、アムネスティ・インターナショナル日本もこのうちのひとつ。
世界人権宣言でうたわれている、人権が守られる社会を目指して、様々な活動をしています。
- 人権問題の調査
- 人権侵害を防ぐ・止めるための活動
- 人権教育、キャンペーン、政策提言
過去から現代にわたり、人権に関する問題は尽きません。
アムネスティ・インターナショナルは、世間で話題になっている人権問題から、隠れた部分までの人権保護などに、立ち向かっています。
署名などのキャンペーンもあるため、意外と身近で活動の様子を感じることができるでしょう。
グリーンピース・ジャパン
グリーンピース・ジャパンは、環境保護を中心に活動する、国際環境NGOです。
地球規模の環境問題は、特定の国のみでは解決が困難。
そこで、世界の約55か国で、環境にまつわる問題に取り組んでいます。
- 地球温暖化
- エネルギー問題
- 遺伝子組み換え問題
- 海洋生態系保護
グリーンピースは、世界最大級の製紙会社と10年間の交渉を経て、森林伐採を停止させるなど、様々な活動をしている団体です。
アジア最大の衣料品ブランド会社との間では、有害化学物質の使用・排出の全廃の合意など、精力的な取り組みが目立ちます。
また、東京電力福島第一原発事故の後に、高放射線量地域への避難指示をするなど、国内活動も盛んです。
実際にNGO活動をしている人の特徴
NGOの団体は、世界中にたくさん存在します。
団体の会員になるほか、個人としてサポートする方法など、様々な人がNGO活動を支援しています。
そこで気になるのが、実際に団体に所属して活動している人。
いったいどのような人が、実際にNGO活動をしているのでしょうか。
ここでは、NGO活動をしている人の特徴について、詳しく紹介します。
社会人経験者が多い
NGO活動をする人は、社会人経験がある人がほとんどです。
社会人として働くなかで、なにかしらのスキルを身につけた人が、転職してNGO団体へというパターンが多くあります。
学生のときに、インターンやボランティアなどを通じて、NGO活動に関わる可能性はあるでしょう。
ただ、新卒でNGO団体へというのは、稀なケースです。
高学歴な人が多い
NGO活動をする人は、高学歴な人が多いという調査結果があります。
【NGOで、有給職員として活動する人】 大学学部卒:60% 国内外の大学院修士・博士卒:34% ※専門は国際関係が中心で、ITや建築・家政・栄養・看護・経営・商学・外国語など (引用元:国際協力NGOセンター(JANIC))
時代の変化とともに、NGOが取り組む問題も、どんどん高度になっています。
そのため、専門的な知識を持つ人が求められ、事業を成功へと導く力がより必要とされているのです。
体力・精神力が強い人
NGO活動の現場のおおくは、発展途上国です。
発展途上国でNGO活動をするとなると、住み慣れていない・インフラなどが整備されていない場所での生活が続きます。
そのため、体力はもちろん、精神的な強さが必要になってきます。
NGO活動をする方法は?
NGO活動を始める方法は、おおきく3つあります。
- NGO団体の公式HPから申し込む
- NGO求人サイトを活用する
- ボランティアがきっかけになる
ほとんどのNGO団体の公式ホームページには、NGO活動をしたい人へ向けたページがあります。
そこから個人的に申し込み、採用となれば、晴れて団体の一員に。
また、採用募集をしているNGO団体をまとめた、NGOの求人サイトがあります。
ほかにも、過去のインターンやボランティアで築いたご縁がきっかけとなり、採用になったというケースもあるようです。
NGO活動をする人に求められる4つのこと
NGO活動をする人には、おおきく4つのことが求められます。
- 体と心の健康
- 相手を気遣う心
- 英語スキル
- 事業を運営するためのスキル
特に国際協力NGOの場合だと、発展途上国などの地域で活動します。
どんな環境でも立ち向かうためにも、健康は第一条件。
思いやりや寄り添う精神といった、相手を気遣う心も大切です。
国を超えての活動となれば、コミュニケーションは英語になることもたくさん。
また、管理側にまわるのであれば、お金や人、モノをコントロールする力も求められます。
NGO活動をしたいという思いを力に、自分に必要なものを見極めて、準備していきましょう。
まとめ
世界中にたくさん存在する、NGO団体。
国際協力から、環境、人権など、幅広い分野を対象に活動しています。
NGO活動をするためには、健康はもちろん、目的別のスキルが必要になります。
世界中の人たちと接するとなれば、コミュニケーションがすべて英語ということも。
また、国際協力NGOで医療に関わる活動をするとなれば、医療英語の知識も大切です。
HLCAでは、英語とあわせて、医療英語のスキルを効率的に身につけることができます。
英語でスムーズにコミュニケーションができれば、国を超えたNGO活動にも挑戦しやすくなるでしょう。
さらに医療英語がわかるとなれば、発展途上国をはじめとしたボランティア活動の幅も広がります。
興味がある方は、ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。