インドの看護師事情って?試験や給与、日本との違いを徹底解説!

HLCA BLOG編集部
公開日:2020.06.16
更新日:2020.06.16

グローバルな活動をする看護師が多い、インド。

インド国内には、マザーテレサの施設があり、看護ボランティア活動の地として人気を集めている場所でもあります。

この記事では、

  1. インドの看護師の特徴
  2. インドと日本での看護の違いに
  3. 日本人はインドで看護師として働ける?

について、解説します。

インドの看護師事情

マザーテレサの影響もあり、ボランティア活動をしたい看護師から人気が高いインド。

ただ、インドでは看護師の社会的地位は低く、給与も低いのが現状です。インド国内の看護師不足も、問題視されています。

そのため、インド国内ではなく世界を舞台に活動をするインド人看護師も多くいます。

インドで看護師の地位・給与が低いのはなぜ?

インドで看護師の社会的地位が低い背景には、宗教が大きく関係しています。

インドの宗教信仰の割合は以下です。

1位:ヒンドゥー教徒79.8% 2位:イスラム教徒14.2% 3位:キリスト教徒2.3% 4位~:シク教徒1.7%,仏教徒0.7%,ジャイナ教徒0.4% (引用元:インド基礎データ|外務省 – Ministry of Foreign Affairs, Japan

インドでは看護師になるのはキリスト教徒だという認識が今もあります。

インドがイギリス領だった時代に、キリスト教の布教活動と一緒に、インドの近代看護が成長・発展した過去も、影響しているようです。

また、ヒンドゥー教では、浄と不浄という概念があります。体液や汚物に触れる機会がある看護職へのイメージは、あまりよくありません。

イスラム教だと、女性看護師の場合、患者が男性だった際に「見ず知らずの男性に触れる」ということがハードルとなってしまいます。

また、インドでは国民皆保険制度が整備されておらず、保険の加入率も低め。

そのため、公立病院では、薬代のみで受診料は無料であるところがほとんどです。こうした医療事情も、看護師の給与に関係しています。

インドの看護師はグローバルに活躍している

インドの看護師は、国内だけでなく、国境を越えて幅広く活躍しています。

【各国のインド人看護師の受入れ状況】 アメリカ、オーストラリア、シンガポール、マレーシア、カナダ、ニュージーランド (引用元:日本看護協会国際部

国別の外国人看護師割合をみてみると、カナダとニュージーランドにおいて、インド人看護師が1位という結果でした。

インドの看護師が世界で働く理由は、金銭面と市民権取得です。

インド国内よりも、海外で看護師として働く方が高い給与を得ることができます。

また、海外で看護師として働き続けることにより、市民権や永住権を得ることができます。

看護師本人の安定した生活はもちろん、家族を呼び寄せて暮らしたいというインド人看護師にとって、海外で働くことは重要なステップなのです。

ボランティアでインドの病院へ行く人が多い理由

看護師が憧れを抱く、マザー・テレサ。

インドのコルカタにはマザー・テレサがつくった施設が複数あり、そのうち7つの施設で看護ボランティアができます。

マザー・テレサの施設で患者が 受けていたその人に関心を向ける温もりのあるケアは、 適切な食事や陽光・新鮮な空気などの提供とともに、そ の人の生命力に働きかける、正に生命力の消耗を最小限 にするようなケアであり、それは患者の生命力を支える 看護の原点であると考えられた。 (引用元:インド、マザー・テレサ施設での ボランティア活動で感じた看護の原点

マザー・テレサへの尊敬心に加え、施設でボランティア活動をすることにより看護の原点を学ぶことができると、世界中から看護師が集まっています。

交際医療協力を目指す看護師

施設でのボランティア活動は、国際医療協力の道を目指すきっかけともなってます。

また、看護師として働く前に、インドの短期留学に参加して、医療現場の環境を学びたいという看護師の卵もいます。

「日本だと、あらゆる物品はあって当たり前という感覚ですが、逆に南インドでは、なくて当たり前なんです。日本の環境は恵まれている・・・ということは、南インドに来なければ実感を持てなかったと思います」 (引用元:看護roo!)

インドの医療現場にふれることで、日本ではできない学びがあることが伝わってきます。

これらのことから、インドと看護は深い関係性があるといえるでしょう。

インドの看護師の給与

インドの看護師は、スーパーバイザー・一般看護師・准看護師と、大きく3種類あります。役職によって、月収の差があります。

ただ、どの役職においても、看護師の月収はかなり低い印象を受けます。

・月収平均:24,700 INR≒約34,800円 ・月収が高い人の平均:37,300INR≒約52,600円 ・月収が低い人の平均:13,300INR≒約18,700円 (引用元:salaryexplorer

インドの大卒平均初任給と比較してみると、看護師の月収平均とほぼ同じというデータがでていました。

インドでの大卒初任給は、25,000INR≒約35,200円。 (引用元:平均年収.jp

大卒の場合だと、昇給が見込まれることがほとんどです。看護師の場合は、昇給でどんどん給与が上がるのは難しく一般看護師からスーパーバイザーに役職が上がるときに額が動きます。

准看護師の場合だと、別途試験を受けなくては看護師以上の職種にあがることができません。

インドの看護師国家試験

インドで看護師になるためには、国家試験に合格する必要があります。

看護師の国家試験を受けることができる人は、指定の専門学校で3年半、もしくは指定の大学で4年間勉強した人です。

日本人が「インドで看護師として働きたい」という場合も、インドの看護師資格を取得する必要があり、学校へ通い試験に合格しなくてはなりません。

インドと日本の看護環境の違い

「インドで看護師がしたい!」というときに、気になるのが日本との違い。

インドと日本の看護環境は、設備・文化、語学面で大きな違いがあります。

いったいどのような違いなのか、詳しく紹介します。

病院の環境・設備がガラリと違う

インドの病院は、私立病院と公立病院の2つにわかれます。

富裕層向けの私立病院は近代の医療設備が整っていることが多く、医療ビジネスの参入により最新技術を取り入れた私立病院も増えてきています。

ただ、中間層から貧しい人が利用する公立病院は、病室や設備が整備されていないところがほとんどです。

壁やカーテンなどの仕切りがない状態でベットが並んでいたり、治療に使用する器具が限られていたりと、設備面の差を感じます。

衛生面についても、公立病院では行き届かない部分が多くあり、清潔さを保つのが難しいという現状です。

また、食事介助を家族が行う公立病院も多く、日本の視点でみると驚くようなことがたくさんあります。

インド文化ならではの意思表示がある

インドでは、意思表示が日本と異なります。日本人が誤解しやすい代表的な意思表示は下記です。

・「はい」という意思を示す際、首を横にかしげたり、軽く横に振ったりするため混同しやすい ・人を指差すしぐさは失礼にあたるので、インド人は顎を使う ・小指を立てることはトイレに行きたいことを意味する (引用元:日本看護科学学会

インドにおいて「はい」という意思表示は、首をかしげたり横に振ったりして表現します。日本人が首を横に振るときは「いいえ」なので、逆の意味。

インド文化を知らずに介助に入ると、患者の意思表示を真逆に受け取ってしまう可能性があります。

患者の意思を汲み取るためには、事前にインド人の意思表示を学習しておくことが大切です。

インドで看護師をする上での語学力は?

インドは多言語国家です。公用語のヒンディー語をはじめ、働くエリアに根付いた言語を把握することが必要になるでしょう。

また、英語が補助的に公用語として使用されるため、英語力も求められます。

日本語が話せるというのも、実はメリットになります。

たとえば、日本人向けの病院や、急な日本人の来院時。ほかにも、日本人対応医療デスクなどがあります。

日本語がわかるということは、インドで看護師をする上で役立つタイミングがあるのは確かです。

日本人がインドで看護師資格をいかして働く方法

日本人が「インドで看護師をしたい!」というときには、インドの看護専門の指定学校を卒業して、試験に合格しなくてはならず、ハードルが高めです。

ただ、日本の看護師資格を活かしながら働く方法はいくつかあります。

いったいどのような働き方があるのか、紹介していきましょう。

日本人が多い病院で求人がある

日本人患者が多い病院では、日本の正看護師資格と経験、英語力があれば働くことができるところもあります。

【求人の一例】

■仕事内容 ・看護師教育の仕組みづくりに関すること ・看護師部門の組織運営、スタッフ配置に関すること ・もし経験がある場合、医療安全管理(医療安全の確保、院内感染対策の体制確保など)に関する業務

特にインドで看護師資格をとる必要はなく、日本の看護師資格をいかして働くことができるようです。

ただ、日常会話レベルの英語力が必要になります。円滑なコミュニケーションをとるためにも、英語の勉強が必須となるでしょう。

医療通訳として働く

インド国内にある、日系クリニックで医療通訳として働くという方法もあります。

【求人の一例】

■仕事内容 ・インド人医師、日本人患者間の通訳、診察補助 ・一般事務(カルテ管理、売り上げ管理、クリニック運営) ・日本人患者、各種保険会社への電話・メール対応 ・広報活動など

条件として、TOEIC600点以上の英語力や、海外での就業・留学の経験が問われるようです。

VISAに加え、航空券や通勤の補助がでるところもあり、充実待遇のところも多くあります。

インドで病院に関わりながら働きたいということであれば、医療補助の仕事は条件がよいといえるでしょう。

ヘルプデスクの一員になる

インド国内の病院で、日本人を対象としたヘルプデスクで働く方法もあります。

【求人の一例】

■仕事内容 ・患者対応(電話対応、予約調整、病院内アテンド、簡単な通訳) ・医療費に関する手続き業務 ・クライアントサポート(ヘルプデスクサービスの説明)

日本で取得した看護師の資格があると、優遇されるようです。

看護師資格がなくても挑戦できる仕事なので、インドの医療機関に興味がある・携わりたいという人にもおすすめです。

ただ、現地でのコミュニケーションは英語になるため、日常会話レベルの英語力が求められます。

まとめ:インドは世界で活躍したいと願う看護師がたくさん!

インドには、海外で働きたいというモチベーションが高い看護師がたくさんいます。また、マザー・テレサの施設もあることから、世界から注目を浴びている地です。

インド国内において、私立病院と公立病院の医療環境の差があるため、日本とのギャップを強く感じるかもしれません。

ただ、インドでの経験が、看護の原点について改めて考えることに繋がるほか、新しく学ぶことも多いでしょう。

インドで看護師の資格をとるのはハードルが高めですが、日本の看護師資格をいかしながら働くことはじゅうぶん可能です。

どの道を選んでも、英語は必要になってきます。

そうしたときに役立つのが、HLCAのグローバル看護師育成コース。医療について英語で学び、実践するチャンスもあるコースです。

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