外国人患者さんが受付に来たとき、英語がなかなか口から出てこなくて焦った経験はありませんか。「What’s the matter?」と言おうとしたのに頭が真っ白になった、問診票の説明ができずに身振り手振りだけで乗り切った——そんな経験をしている医療従事者はとても多いです。
日本を訪れる外国人患者数は年々増加しており、英語対応は今や「あれば便利」ではなく「なければ困る」スキルになりつつあります。この記事では、受付から会計まで病院での外国人対応に使えるフレーズを場面別に50個まとめました。テーブル形式で英語・日本語訳・使用場面を整理しているので、そのまま印刷して業務で使えます。
監修:海仲由美(HLCA代表・看護師)
看護師として臨床経験を積んだ後、医療英語専門スクールHLCAを設立。海外での医療業務経験も持つ。
この記事でわかること
- 受付・問診票の外国人対応フレーズ10選
- 問診・症状確認の英語フレーズ10選
- 処置・検査説明の英語フレーズ10選
- 会計・案内の英語フレーズ10選
- 緊急時・困ったときのフレーズ10選
- よくある失敗とその対策
- 医療英語を体系的に学ぶ方法
この記事のもくじ
受付・問診票の英語対応フレーズ10選
外国人患者との最初の接点は受付です。慌てずに対応するために、以下のフレーズを事前にインプットしておきましょう。医療英語フレーズ・単語の総まとめも合わせて参考にしてください。
| 英語フレーズ | 日本語訳 | 使用場面 |
|---|---|---|
| How can I help you today? | 本日はどのようなご用件ですか? | 患者が窓口に来たとき |
| Do you have an appointment? | ご予約はされていますか? | 予約確認 |
| May I have your name, please? | お名前をお聞かせください。 | 本人確認 |
| Could you please fill out this form? | こちらの用紙にご記入いただけますか? | 問診票の記入依頼 |
| Do you have your health insurance card? | 保険証はお持ちですか? | 保険証確認 |
| Please have a seat. We’ll call your name. | お座りになってお待ちください。お名前をお呼びします。 | 待合案内 |
| Is this your first visit to our hospital? | 当院への受診は初めてですか? | 初診・再診確認 |
| Do you have any allergies to medication? | 薬に対するアレルギーはありますか? | 問診票補足確認 |
| Would you like an interpreter? | 通訳の手配をご希望ですか? | 通訳サービスの案内 |
| Please let me know if you need any help with the form. | 用紙の記入でお困りのことがあればお知らせください。 | 問診票サポート |

問診・症状確認の英語フレーズ10選
患者の主訴や症状を正確に把握することは、安全な医療提供の前提です。症状を聞き出すためのフレーズを覚えておきましょう。
| 英語フレーズ | 日本語訳 | 使用場面 |
|---|---|---|
| What brings you in today? | 本日はどのような症状でいらっしゃいましたか? | 主訴確認(最初の一言) |
| Where does it hurt? | どこが痛みますか? | 疼痛部位の確認 |
| On a scale of 1 to 10, how bad is the pain? | 1から10の段階で、痛みはどのくらいですか? | 疼痛スケール |
| How long have you had these symptoms? | この症状はいつから続いていますか? | 発症時期確認 |
| Is the pain constant or does it come and go? | 痛みは持続していますか、それとも波がありますか? | 痛みの性質確認 |
| Do you have a fever? | 発熱はありますか? | 体温・発熱確認 |
| Have you vomited or felt nauseous? | 嘔吐や吐き気はありましたか? | 消化器症状確認 |
| Are you taking any medications at the moment? | 現在、服用しているお薬はありますか? | 服薬歴確認 |
| Do you have any chronic conditions such as diabetes or high blood pressure? | 糖尿病や高血圧などの持病はありますか? | 既往歴確認 |
| Have you had any recent surgeries or hospitalizations? | 最近、手術や入院はされましたか? | 手術・入院歴確認 |
処置・検査説明の英語フレーズ10選
患者に処置や検査の内容を説明するときは、専門用語を避けてわかりやすく伝えることが重要です。インフォームドコンセントの観点からも、患者の理解を確認するフレーズとセットで使いましょう。心電図(ECG)検査に特化したフレーズは心電図検査の英語説明フレーズ20選で詳しく解説しています。
| 英語フレーズ | 日本語訳 | 使用場面 |
|---|---|---|
| I’m going to take your blood pressure. | 血圧を測定します。 | バイタルサイン測定 |
| I need to take a blood sample. | 採血が必要です。 | 採血前の説明 |
| Please roll up your sleeve. | 袖をまくってください。 | 採血・注射前の指示 |
| You’ll feel a small pinch. | 少しチクッとします。 | 注射・採血時の声かけ |
| We need to do an X-ray to check for any fractures. | 骨折がないか確認するためにレントゲンを撮ります。 | 画像検査の説明 |
| Please remove any metal objects such as jewelry. | アクセサリーなど金属類は外してください。 | MRI・CT検査前指示 |
| Please lie down on the bed. | ベッドに横になってください。 | 診察台への誘導 |
| I’m going to press on your abdomen. Let me know if it hurts. | お腹を押します。痛ければ教えてください。 | 腹部触診 |
| The results will be ready in about 30 minutes. | 結果は約30分後に出ます。 | 検査結果の待機説明 |
| Do you have any questions about the procedure? | 処置についてご質問はありますか? | インフォームドコンセント確認 |

会計・案内の英語フレーズ10選
診察後の会計・案内も、外国人患者が戸惑いやすい場面の一つです。費用や次回来院の案内を丁寧に伝えることで、患者の安心感が高まります。医療英語アプリを活用して会計・案内フレーズを練習するのもおすすめです。
| 英語フレーズ | 日本語訳 | 使用場面 |
|---|---|---|
| Please proceed to the cashier on the first floor. | 1階の会計窓口へお進みください。 | 会計への誘導 |
| Your total comes to 3,200 yen. | お会計は3,200円になります。 | 金額の案内 |
| Do you have health insurance coverage in Japan? | 日本の健康保険はお持ちですか? | 保険適用確認 |
| We accept cash and credit cards. | 現金とクレジットカードがご利用いただけます。 | 支払い方法の案内 |
| Here is your receipt and the doctor’s notes. | こちらがレシートと診察メモです。 | 書類の受け渡し |
| Please take this prescription to the pharmacy. | こちらの処方箋を薬局へお持ちください。 | 処方箋の説明 |
| The pharmacy is located just outside the main entrance. | 薬局は正面玄関を出てすぐのところにあります。 | 薬局への案内 |
| We’d like you to come back in one week for a follow-up. | 1週間後に経過観察のために再来院をお願いします。 | 次回来院の案内 |
| Please call us if your symptoms get worse. | 症状が悪化した場合はご連絡ください。 | 帰宅後の注意事項 |
| Take care, and feel better soon. | お大事に、早く良くなってください。 | 見送り |
緊急時・困ったときのフレーズ10選
緊急場面や言葉が通じにくいときは、シンプルで明確なフレーズが命綱になります。パニックになっても口から出るよう、繰り返し練習しておきましょう。
| 英語フレーズ | 日本語訳 | 使用場面 |
|---|---|---|
| Please stay calm. We’re here to help you. | 落ち着いてください。私たちが対応します。 | 緊急時の安心づけ |
| Can you breathe? Are you in pain? | 呼吸はできていますか?痛みはありますか? | 意識・状態確認 |
| I’m calling a doctor right now. | 今すぐ医師を呼びます。 | 緊急対応開始の告知 |
| We need to call an ambulance. | 救急車を呼ぶ必要があります。 | 救急搬送の説明 |
| Is there someone we can contact for you? | ご連絡できる方はいらっしゃいますか? | 緊急連絡先の確認 |
| I’m sorry, I don’t understand. Could you write it down? | 申し訳ありませんが、わかりません。書いていただけますか? | コミュニケーション困難時 |
| Could you speak more slowly, please? | もう少しゆっくり話していただけますか? | 聞き取れなかったとき |
| Please point to where it hurts on this diagram. | この図の中で痛いところを指さしてください。 | 言葉が通じにくいとき |
| We have a phone interpreter service available. | 電話通訳サービスをご利用いただけます。 | 通訳サービスの案内 |
| Do you understand? Please nod if yes. | わかりますか?わかれば頷いてください。 | 理解確認(言葉が通じにくい場合) |

外国人患者対応でよくある失敗と対策
フレーズを知っていても、実際の対応ではつまずくポイントがあります。HLCAの指導経験から、現場でよく起きる失敗とその対策をまとめました。
失敗1:ゆっくり話さず聞き取ってもらえない
普段の日本語と同じスピードで英語を話すと、患者に聞き取ってもらえません。英語はいつもの70%のスピードで話すことを意識しましょう。単語と単語の間に短い間を置くだけでも格段に聞き取りやすくなります。
失敗2:医療専門用語をそのまま使う
「hypertension」「myocardial infarction」などの専門用語は、医療者同士では通じても一般の患者には難しいことがあります。「high blood pressure」「heart attack」のような平易な表現に言い換える習慣をつけましょう。
失敗3:理解確認をしない
説明が終わったあと「Does that make sense?(ご理解いただけましたか?)」と必ず確認する習慣が重要です。患者が頷いていても、実は理解できていないケースは少なくありません。「Can you tell me in your own words what I just explained?(いま説明した内容を、ご自分の言葉でおっしゃっていただけますか?)」のようなteach-backフレーズが有効です。
失敗4:「No」だけで答えを否定する
患者が誤解している内容を「No, that’s wrong.」と否定するだけでは、患者を不安にさせます。「Actually, let me clarify that…(実はこういうことなんですが…)」のようにクッション言葉を使って丁寧に訂正しましょう。
医療英語を体系的に学ぶには
この記事で紹介したフレーズは「知っている」状態に過ぎません。実際に外国人患者さんと向き合ったとき、緊張しても自然に口から出るレベルにするには、体系的なトレーニングが必要です。
現場の英語対応力を高めるために必要なのは、単純な暗記ではなく以下の3つのスキルです。
- 語彙力:症状・検査・処置の医療専門用語を正確に理解する
- コミュニケーション力:患者の不安に共感しながら、正確に情報を伝える
- リスニング力:患者が使う英語表現(訛り・口語・曖昧な表現)を聞き取る
これらのスキルは、医療現場に特化した英語教育でしか効率よく身につきません。一般的な英会話スクールでは「病院での外国人対応」を想定したカリキュラムがほとんどないからです。
英語を活かした看護師の仕事と求められるスキルでも触れているように、医療英語の習得はキャリアの選択肢を広げる大きな武器になります。
HLCAは医療従事者のための医療英語専門スクールです。看護師・受付・コメディカルなど、職種・レベルに合わせたカリキュラムで、現場で使える医療英語を基礎から指導しています。まずは無料カウンセリングで、自分の英語力と目標に合ったプランを確認してみてください。
よくある質問(FAQ)
Q: 英語が苦手でも外国人患者に対応できますか?
A: はい、まずは定型フレーズを覚えることから始めましょう。本記事の50フレーズを印刷して手元に置くだけでも対応力は大きく変わります。完璧な英語力は不要で、伝えようとする姿勢と基本フレーズの組み合わせが重要です。
Q: 翻訳アプリだけで対応するのはダメですか?
A: 緊急時やアレルギー確認など正確性が求められる場面では、翻訳アプリだけに頼るのはリスクがあります。基本フレーズを覚えておき、補助的にアプリを使うのが安全です。
Q: 病院全体で英語対応力を上げるにはどうすればいいですか?
A: 部署ごとに頻出フレーズ集を作成し、ロールプレイ研修を定期的に実施するのが効果的です。HLCAでは医療機関向けの英語研修プログラムも提供しています。
まとめ
この記事では、病院での外国人患者対応に使える英語フレーズを場面別に50個まとめました。
- 受付・問診票:名前確認・問診票の記入依頼・保険証確認など基本フレーズ10選
- 問診・症状確認:主訴・疼痛スケール・既往歴・服薬歴を確認するフレーズ10選
- 処置・検査説明:バイタル測定・採血・画像検査の説明フレーズ10選
- 会計・案内:会計誘導・処方箋説明・次回来院案内フレーズ10選
- 緊急時・困ったとき:緊急対応・コミュニケーション困難時の対処フレーズ10選
フレーズを「知っている」から「使える」に変えるには、実践的なトレーニングが欠かせません。医療英語フレーズ・単語の総まとめや医療英語アプリのおすすめもあわせて活用しながら、ぜひ外国人患者対応の英語力を高めてください。HLCAでは医療英語の無料カウンセリングを随時受け付けています。英語対応への不安をお持ちの方は、まずお気軽にご相談ください。
監修:海仲 由美(Yumi Uminaka)
HLCA代表/医療英語教育者・カリキュラム開発責任者
医師・看護師・薬剤師など医療従事者向け医療英語教育を専門とし、これまでに延べ3,000名以上の医療従事者への指導・研修を実施。
医療現場で実際に使われる英語表現・患者対応・多職種連携に特化したカリキュラム設計を強みとし、病院・クリニック向け教育プログラムや医療英語教材の開発・監修を多数手がける。
本メディアでは、現場視点と教育専門性の両面から、実践的かつ正確な医療英語情報の監修を行っている。




