みなさん『医療インバウンド』をご存知でしょうか?
今日ハルカ卒業生の進路を見ていたら「医療インバウンド施設勤務」というのがありました。
最近よく聞くワードなのでなんとなく分かるような気もしますが、いざ詳しく説明してといわれると、、難しい!
そこで今回は『医療インバウンド』について解説したいと思います。
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この記事のもくじ
医療インバウンドと医療ツーリズム
まず「医療インバウンド」の意味と時折セットにされて話題に出てくる「医療ツーリズム」の意味についてです。
「医療インバウンド(医療渡航)」とは、日本の医療機関による外国人患者の受け入れの中でも、日本の医療機関での受診を目的に渡航する外国人患者を受け入れることをいいます。
「医療ツーリズム」とは医療サービスを受けることを目的として他国へ行くことを意味します。
観光に来ていて具合が悪くなったから日本の病院へ行く、日本に住んでいる外国人が病院へ行くということではなく、日本の医療サービスを受けるために日本に来るということです。
そしてこの「医療ツーリズム」を使って国内での医療産業を発展させたり外貨を稼ぐというものが「医療インバウンド」です。
訪問する外国の方にとっては「医療ツーリズム」、受け入れる側にとっては「医療インバウンド」ということになります。
「医療ツーリズム」の考え方自体は、昔から存在しているものです。
病気になった人が温泉を目指したり、評判の良い医者の手術を受けるために遠い土地まで移動したりすることも医療ツーリズムですね!
しかし近年では、国を挙げて医療インバウンドを推進する国々が出てきました。
シンガポール・タイ・韓国・マレーシアなどではすでに事業として積極的に行われており、それぞれの国によって「売り」があるそうです。
例をあげますと、、シンガポールでは臓器移植類を含めた高度医療、タイでは低コスト、韓国では美容・漢方の推進、などです。
それぞれ医療の質の向上のためや、外貨獲得の手段として国を挙げて「医療インバウンド」の推進を図っています。
その背景にはアジアの医療の質が向上してきたことで、国境を越えて患者が移動する流れが活発化しているということにあります。
ただ治ればいいというだけではなく、サービスや価格の面でも医療は比較されていて、欧米や米国と競合できる力がアジアの国々についてきたということですね!
日本も負けていられません。
では日本では、どのように医療インバウンドに参入していくのでしょうか。
世界が求める医療サービスとは
経済の発展と、求められる医療の間には深い関係があります。
経済水準が低い国では衛生状態が悪く、感染症や寄生虫病などの疾患が多くみられる傾向にあります。
そういった国々はまず公衆衛生の整備や母子保健の充実をしなければなりません。
段々と経済水準が発展してくると、国民の健康水準が改善し、平均寿命が長くなり高齢化が進んできます。そうすると、疾病の種類も進化してきて、がんや生活習慣病や老化に伴う疾患など感染性ではない疾患が多くなってきます。
いわゆる新興国と呼ばれるBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国)などは一般的に先進国と比較して経済発展の遅く、今後高い成長が見込める諸国です。
特にアジア地域では経済成長が著しく、2050年には世界のGDPの50%超を占めると予測 されています。
(参考:日本経済新聞)
こういった国々では経済水準の発展に伴い、寿命が延び高齢化が進んでいくと予想されています。
さらに世界的に見ても、高齢化は進んできており、糖尿病患者や認知症患者も増えてきているというデータがあります。
各国の高齢化率
世界の認知症・糖尿病人口
(引用:経済産業省,外国人患者の医療渡航促進に向けた現状の取組と課題について
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医療インバウンドにおける日本の強み
そこで、日本の出番!
日本ではすでに高齢化率が27.3%となっており、なんと世界で一番高齢化率が高い国なのです。
高齢化社会の先輩とでもいうのでしょうか。
そのためがん領域の治療や保健医療システム、予防を促す健康維持の仕組みに関してしっかりとしたノウハウを持っており、世界でも高い評価を得ています。
また、健康寿命(日常生活に制限のない期間)が世界1位ということも健康維持・予防・介護などのレベルの高さを裏付けているともいえます。
日本政府(特に経済産業省)は、このような質の高い医療を求めている患者に対し医療を提供することが国際貢献となり、かつ医療の稼働率があがるため日本の医療もさらに発展していくと考えています。
世界も幸せ、日本も幸せということですね。
そのため、医療インバウンドを推進していこう!という流れができてきているのです。
医療インバウンドの課題
医療インバウンドを進めていきたい日本ですが、まだまだ課題は多いようです。
「訪日前」「滞在中」「帰国後」に分けてまとめてみました。
【訪日前】 ・日本へ医療渡航する外国人患者の実態把握が不十分 ・日本の医療水準やインバウンド医療で治療を受けられることに関する認知度が低い ・医療渡航支援が可能な専門知識を持つ医療コーディネータが数少ない
【滞在中】 ・通訳・翻訳の設備が整っていない ・医療機関の体制整備が整っていない
【帰国後】 ・治療後の経過観察や治療継続に向けた海外医療施設との連携
訪日前の課題については、定期的に医療渡航受け入れ状況を把握するシステムを構築したり、展示会等でプロモーションを行ったり、コーディネート業者の質と量の向上に努めたりと、改善を目指していくそうです。 私が気になったのは滞在中の問題です。
滞在中の問題を考えるにあたって、経済産業省が行った国内医療機関における外国人患者の受け入れ調査を参考にしてみました。
受け入れ意向についての調査では、年々受け入れ意向のある医療機関が増加してきており2015年には「受け入れ意向なし」が初めて50%を切っています。
しかし、受け入れ経験のある医療機関は増加しておらず、体制や設備がまだまだ整っていないことが分かります。
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日本の患者さんだけで手いっぱいだよー、その上外国語なんて話せないよーという声が聞こえてくるようですね。
しかし裏を返せば、もし外国語を話せるスタッフや医療通訳が増えれば、外国人患者を受け入れていきたいと思っている病院も多いということになるのではないでしょうか。
HLCAの卒業生の方の中にも、医療インバウンド施設で働いている方もいらっしゃいます。
医療現場で使える英語が話せるようになれば、こうしたインバウンド施設でも重宝される存在になれそうなので、より選択肢が広がりますね!
医療専門の英語学校ハルカにできること (学校代表からのメッセージ)
医療英語ハルカでは基礎英語に加え一般的な医療英語や、IELTS試験に向けたカリキュラムをご用意しております。
フィリピン留学に来られるかたは初級者が多く、学生や社会人は休みを利用し何度も留学を繰り返す傾向にあります。
現在看護師として日本で働かれているかたでキャリアアップをお考えのかたも、休みをうまく利用しながらこちらで学び、その後本格的な欧米看護留学にいく流れができれば、今まで高い入学基準(看護師免許取得の為の大学コース)のためになかなか踏み出せなかった方にも 挑戦する入口がより開かれるのではないかと考えております。
近年多くの外国人が訪れる・働く日本で勤務する医療職者にとっても英語力は無視できないタスクの一つになっています。
医療業界では医師の指示やカルテだけでなく医療略語含めた多くの分野で英語が使われています。
今までなんとなく見ていた・知っていたことがより深い理解・知識と変わるでしょう。
また、国際協力・医療ボランティアに興味のあるかたにも英語は切っても切り離せない分野です。
私自身5年間看護師として勤務中に、キャリアアップを考えて色々と模索しました。
外国人のパイロットさんが脳出血で運ばれ手術後を担当した時、英語で一言も声をかけることができなかった悔しさが、英会話の取得を私に決意させました。
しかし当時は医療職者が専門的に英語学習ができる施設の情報は非常に少ないものでした。
もしあの時このような選択肢があればなぁ・・・というものを、この医療専門の英語学校HLCAに託しました。
現在はサポートする側にやりがいを感じ運営しておりますが、看護師として医療に関する熱い気持ちは今も変わっていません。
医療英語学習、留学、海外医療ボランティアの相談は、LINE電話やSkype電話で適宜無料で行なっていますので、ぜひ気軽にご連絡ください。
まとめ
・医療インバウンドとは、日本の医療機関での受診を目的に渡航する外国人患者を受け入れること ・世界的に高齢化が進んでいく見通しであり、日本の医療が世界に貢献できる可能性は高い ・医療インバウンドを推進していきたい日本だが、課題は多いのが現状
今回「医療インバウンド」について記事を書くためにいろいろな資料を見ましたが、世界の中での日本の立位置や強みを知るのは面白いですね!
医療を通じて、世界はつながっているということが分かりました!
【参考】 一般社会法人メディカルツーリズム協会