OETスピーキング試験に何度挑戦しても合格できない——その原因は「英語力」ではなく「採点基準の誤解」にあることがほとんどです。OETスピーキングは、正確な英語を話すテストではなく、患者中心のコミュニケーションができるかを評価するテストです。
HLCAでは医師・看護師・薬剤師など多くの医療従事者へのOET対策指導を行ってきました。この記事では、公式採点基準をもとに「なぜ落ちるか」「どう練習すれば受かるか」を具体的なステップとフレーズで解説します。OETの試験概要や参考書についてはOET試験の勉強法とおすすめ参考書もあわせてご覧ください。

この記事のもくじ
OETスピーキングとはどんな試験か
OETスピーキングは、Zoom上で試験官(インタロキューター)と2つのロールプレイを行う形式の試験です。試験官が患者役を演じ、受験者は自分の職種(看護師・医師など)として対応します。各ロールプレイは約5分で自然に終了するよう設計されています。
試験形式と時間配分
- 形式:Zoom(オンライン)で実施
- ロールプレイ:2シナリオ
- 1シナリオあたり:約5分
- 準備時間:各ロールプレイ前に30秒のカード確認時間あり
- 採点:録音された音声を2名の公式OET評価者が独立して採点
スコアは0〜500のスケールスコアと、E〜Aのグレードで報告されます(参照:OET公式 Speaking)。多くの登録機関で要求されるのはBグレード(350点相当)です。
採点基準の4項目+5項目を正確に理解する
OETスピーキングは2種類の基準で採点されます。
言語基準(Linguistic Criteria)4項目:
- 語彙の適切さ(Intelligibility)
- 流暢さ(Fluency)
- 適切な語彙の使用(Appropriateness of Language)
- 文法の正確さ(Resources of Grammar and Expression)
臨床コミュニケーション基準(Clinical Communication Criteria)5項目:
- 関係構築(Relationship Building)
- 患者の視点への理解と対応(Understanding & Incorporating the Patient’s Perspective)
- 構造化された情報提供(Providing Structure)
- 情報収集(Information Gathering)
- 臨床管理(Clinical Management)
注目すべきは、採点項目の半分以上が「臨床コミュニケーション」であることです。正確な英語よりも、患者中心の対応が合否を左右します。

OETスピーキングで落ちる人の3つのパターン
HLCAでの指導経験から、スピーキングで不合格になる受験者には共通のパターンがあります。
パターン1:正確さを求めすぎて会話が止まる
「完璧な英語を話さなければ」という意識が強いと、文章を頭の中で組み立てようとして沈黙が生まれます。OETスピーキングは流暢さも採点対象です。多少の文法ミスよりも、自然なテンポで会話を続けられるかが重要です。
パターン2:患者の気持ちに共感できていない
情報を正確に伝えることに集中するあまり、患者の感情への反応が抜け落ちるケースが多く見られます。「患者が不安を表明した瞬間」に共感フレーズを返せるかどうかが、臨床コミュニケーション基準の得点に直結します。
パターン3:医療指示の伝え方が一方的
指示・説明を一方的に話しすぎて、患者の理解確認(teach-back)を忘れるパターンです。「Does that make sense?」「Do you have any questions?」のような確認フレーズを忘れると採点が下がります。

B評価を取るためのロールプレイ練習ステップ(5ステップ)
B評価(350点)を最短で取るには、むやみに英会話練習をするのではなく、OET特有の構造に沿って練習することが重要です。
Step 1:タスクカードを30秒で読み解くコツ
ロールプレイ前の30秒で確認すべきポイントは3つです。
- 患者の主訴・背景(何が問題か)
- 自分のゴール(何を説明・確認すればよいか)
- 予想される感情的障壁(患者が不安・拒否・混乱している可能性)
この3点を把握するだけで、Openingから自然な流れが作れます。
Step 2:Opening・問診・Closingの型を覚える
OETスピーキングの構造は毎回ほぼ同じです。以下の3部構成を型として覚えます。
- Opening(30秒):自己紹介・目的の確認・ラポール形成
- 中盤(3〜4分):情報収集 → 説明・指示 → 患者の反応への対応
- Closing(30秒):理解確認 → 次のステップの案内 → 締め
Step 3:共感フレーズを10個ストックする
患者の感情が出た瞬間に反射的に返せる共感フレーズを10個暗記します。フレーズは次のセクションを参照してください。
Step 4:録音して自己採点する
練習を録音し、OETの採点基準(言語4項目・臨床5項目)に照らして自己採点します。「共感フレーズを使えたか」「確認質問をしたか」をチェックリストで確認します。
Step 5:フィードバックをもらって修正する
OETスピーキングは独学が最も難しいセクションです。「臨床コミュニケーション」の問題点は自分では気づけないためです。医療英語を専門とする講師からのフィードバックが最短ルートです。

頻出フレーズ20選(そのまま使える)
看護師向けのより幅広い医療英語フレーズは看護師が使える英語フレーズ&例文もあわせてご覧ください。
問診・状況確認(Opening〜中盤)
- “What seems to be the problem today?”
- “Can you tell me a bit more about that?”
- “How long have you been experiencing this?”
- “On a scale of 1 to 10, how would you rate your pain?”
- “Have you had any similar symptoms before?”
共感・安心させる表現
- “I understand this must be very worrying for you.”
- “That’s a completely normal reaction.”
- “I can see you’re concerned. Let me explain what we’re going to do.”
- “It’s okay to feel that way. Many patients feel the same.”
- “You’re in safe hands.”
指示・説明・確認(中盤〜Closing)
- “What I’d like you to do is…”
- “It’s really important that you…”
- “Does that make sense to you?”
- “Could you repeat back what I’ve just explained, just so I know we’re on the same page?”
- “Is there anything you’re not sure about?”
- “If you notice any of these symptoms, please contact us immediately.”
- “We’ll review your progress in two weeks.”
- “Do you have any questions before I go?”
- “You’re doing really well.”
- “I’ll make sure your care team is aware of everything we’ve discussed today.”

職種別の注意点
OETスピーキングは職種(Nursing・Medicine・Pharmacy等)によってロールプレイのシナリオが異なります。
- 看護師(Nursing):患者への退院指導・服薬説明・不安への対応が頻出。患者の自律性を尊重する姿勢が重要。
- 医師(Medicine):診断の説明・治療選択肢の提示・インフォームドコンセントの場面が多い。専門用語を平易な言葉で言い換える能力が問われる。
- 薬剤師(Pharmacy):服薬指導・副作用の説明・禁忌の確認が中心。簡潔・明確な説明と患者確認のバランスが求められる。
よくある質問(FAQ)
Q: OETスピーキングは独学で合格できますか?
A: 難しいです。リーディングやリスニングと異なり、スピーキングは「臨床コミュニケーション」という対人スキルが採点されるため、自己評価には限界があります。録音の自己採点は有効ですが、最終的には指導者のフィードバックが不可欠です。
Q: B評価(合格)に必要なスコアはいくつですか?
A: OETのスコアは0〜500のスケールスコアで報告され、Bグレードは350点に相当します(OET公式)。ただし登録機関によって要求グレードが異なるため、提出先の要件を個別に確認してください。
Q: 試験当日、緊張で頭が真っ白になったときはどうすればよいですか?
A: 型(Opening・中盤・Closing)に戻ることが最善です。「まず患者に共感する → 状況を確認する → 説明する → 確認する」という順序を覚えておくと、内容が浮かばなくても会話を進めることができます。
Q: HLCAではOETスピーキング対策は受けられますか?
A: はい。HLCAでは医療従事者専門の講師によるOETスピーキング個別レッスンを提供しています。詳細はOET対策コースページをご覧ください。
まとめ
OETスピーキングで合格するために必要なのは「完璧な英語」ではなく、患者中心の医療コミュニケーションを英語でできることです。採点基準を正しく理解し、共感フレーズを身につけ、型に沿った練習を繰り返すことで、Bグレードは現実的な目標になります。
HLCAでは無料カウンセリングも受け付けています。OET対策の進め方や自分のレベル感が知りたい方は、お気軽にご相談ください。
OETスピーキング対策はHLCAのオンラインレッスンで
HLCAは、医師・看護師をはじめとする医療従事者向けに、医療英語専門のオンラインコーチングを提供しています。
OETスピーキングは独学での対策が最も難しいセクションです。HLCAのオンラインレッスンでは、医療現場を想定したロールプレイを専門講師と繰り返し実践できます。Bad news告知、治療説明、患者教育など、実際の試験で問われるシナリオに即した練習を、忙しい合間にオンラインで受けられます。
OETスピーキング対策の進め方について、まずは無料カウンセリングでお気軽にご相談ください。
監修:海仲 由美(Yumi Uminaka)
HLCA代表/医療英語教育者・カリキュラム開発責任者
医師・看護師・薬剤師など医療従事者向け医療英語教育を専門とし、これまでに延べ3,000名以上の医療従事者への指導・研修を実施。
医療現場で実際に使われる英語表現・患者対応・多職種連携に特化したカリキュラム設計を強みとし、病院・クリニック向け教育プログラムや医療英語教材の開発・監修を多数手がける。
本メディアでは、現場視点と教育専門性の両面から、実践的かつ正確な医療英語情報の監修を行っている。




