OETリスニングで「音は聞こえるのに意味が追えない」「医療の専門用語が速すぎてついていけない」という声はHLCAでも非常に多く寄せられます。OETリスニングは単なる「英語の聴き取り」ではなく、医療現場のやりとりをリアルタイムで処理する能力が問われる試験です。
この記事では、試験形式の正確な理解からパート別攻略法、頻出医療英語フレーズ、効果的な練習ステップまでを一気に解説します。OETの試験全体の概要や参考書についてはOET試験の勉強法とおすすめ参考書もあわせてご覧ください。
監修:海仲由美(HLCA代表・看護師)
看護師として臨床経験を積んだ後、医療英語専門スクールHLCAを設立。海外での医療業務経験も持つ。
- OETリスニングの試験形式・パート構成・採点の仕組み
- Part A/B/C それぞれの特徴と解き方のコツ
- 医療英語の聴き取り難所(略語・数値・専門用語)への対処法
- スコアアップに直結する練習素材と学習ステップ
この記事のもくじ
OETリスニングとはどんな試験か
OETリスニングは、医療従事者が日常業務で直面するさまざまな英語の音声(患者との会話・医療スタッフ間の対話・医療講義など)を聴いて回答する試験です。試験全体はPart A・Part B・Part Cの3パートで構成されており、それぞれ異なる形式と難易度を持ちます(参照:OET公式 Listening)。
試験の概要
- 形式:音声を聴きながら解答(CBT/紙媒体どちらも実施)
- パート数:3パート(Part A・B・C)
- スコア:0〜500のスケールスコア+E〜Aのグレード
- 合格ライン:多くの登録機関でBグレード(350点相当)が要求される
各パートの概要
| パート | 形式 | 音声の種類 |
|---|---|---|
| Part A | 空欄補充(書き取り) | 患者インタビュー(2会話) |
| Part B | 多肢選択(A/B/C) | 短い医療会話(6題) |
| Part C | 多肢選択(A/B/C) | 長い医療会話・講義(2題) |

パート別攻略法
Part A:患者インタビューの書き取り(空欄補充)
Part Aは医療従事者と患者の会話を聴きながら、カルテや記録用紙の空欄を埋める問題です。2つの患者インタビューが流れ、それぞれに対して空欄補充が求められます。
Part Aの特徴と落とし穴:
- 正確なスペリングが求められる(数字・日付・薬名・症状名など)
- 答えは音声そのままの単語・フレーズが入ることが多い
- 聴き逃したら次の空欄に集中する(立ち止まらない)
攻略のポイント:
- 音声が流れる前に問題用紙の空欄をスキャンし、何の情報が来るかを予測する(年齢・症状・薬の名前・数値など)
- 医療略語(BP・HR・DOB・c/o など)はあらかじめ習得しておく
- 数値・固有名詞は聴き間違いやすいので最後に確認時間を使って見直す
Part B:短い医療会話の理解(多肢選択)
Part Bは病院内で交わされる短い会話(医師・看護師・患者・受付スタッフなど)を聴き、3択の選択肢から正解を選ぶ形式です。各会話は比較的短く、1問1音声のペースで進みます。
Part Bの特徴と落とし穴:
- 選択肢に「惑わし」が多い(音声で出てきた単語が含まれる不正解が設置される)
- 話者の意図・態度(懸念・安心・指示・提案)を問う設問が多い
- 話されたことの表面ではなく「要点」を掴む必要がある
攻略のポイント:
- 音声が始まる前に設問と選択肢を素早く読み、何を聞かれているか把握する
- 音声に出てきた単語そのままの選択肢は「ひっかけ」の可能性が高い
- 「話者は何を伝えたかったのか」「次に何が起こるか」を意識して聴く
Part C:長い医療会話・講義の理解(多肢選択)
Part Cは最も難易度が高く、長い医療会話または医療に関する講義・インタビューを聴き、多肢選択で回答します。2つの長い音声が流れ、それぞれについて複数の設問が続きます。
Part Cの特徴と落とし穴:
- 音声が長いため、前半の内容を忘れながら後半を聴くことになりやすい
- 医師・研究者・患者代表などが登場し、複数の立場の意見が交差する
- 設問の順序は音声の流れに対応しているため、「どこで答えが来るか」を予測できる
攻略のポイント:
- 設問を先読みして「音声のどの部分で答えが来るか」を順序立てて追う
- 話者の主張・結論・態度を意識してメモを取りながら聴く
- 「研究では〜が示された」「しかし〜という問題もある」などの論理構造に注目する

よく出る医療英語の聴き取り難所
OETリスニングで日本人受験者が特に苦戦するのが、医療現場特有の表現や音の処理です。以下の3つのカテゴリを重点的に練習することで得点が安定します。医療英語フレーズ全般は医療英語フレーズ・単語一覧もあわせて参照してください。
1. 医療略語の聴き取り
OETの音声では、現場のスタッフ同士の会話でそのまま略語が使われることがあります。以下はOET試験で特に出題頻度が高い略語です。Part Aの空欄補充で正確なスペリングが必要になるため、書けるレベルまで定着させましょう。
| 略語 | 正式名称 | 意味 |
|---|---|---|
| BP | Blood Pressure | 血圧 |
| HR | Heart Rate | 心拍数 |
| DOB | Date of Birth | 生年月日 |
| c/o | complains of | 〜を訴える |
| SOB | Shortness of Breath | 息切れ・呼吸困難 |
| PRN | Pro Re Nata(as needed) | 必要時 |
| Hx | History | 病歴 |
| Dx | Diagnosis | 診断 |
2. 専門用語・病名の聴き取り
医療英語の発音は日本語のカタカナ読みと大きく異なる場合があります。たとえば「hypertension(高血圧)」は「ハイパーテンション」、「dyspnea(呼吸困難)」は「ディスプニア」と発音されます。音声で聴いたときに即座に意味が浮かぶよう、必ず音声付きで語彙を学習してください。
頻出する症状・疾患名の例:
- hypertension(高血圧)/ hypotension(低血圧)
- tachycardia(頻脈)/ bradycardia(徐脈)
- dyspnea(呼吸困難)/ dysphagia(嚥下困難)
- myocardial infarction(心筋梗塞)
- pneumonia(肺炎)/ pulmonary embolism(肺塞栓)
- urinary tract infection(尿路感染)
3. 数値・投薬情報の聴き取り
Part Aでは特に、数値や投薬情報の正確な聴き取りが空欄補充の正解につながります。
- 数字の聴き間違い:「thirty(30)」と「thirteen(13)」、「fifteen(15)」と「fifty(50)」は紛らわしい。語尾の音に注意する
- 投薬量の表現:「twice daily(1日2回)」「every eight hours(8時間ごと)」「10mg twice a day(1日2回10mg)」などのパターンを習得する
- 日付・年齢:「forty-two-year-old(42歳)」など複合表現を速度に負けず聴き取る練習をする
効果的な練習法
おすすめ練習素材
- OET公式問題集・サンプルテスト:試験形式に忠実な唯一の素材。まず公式の無料サンプルを一通り解いてから学習計画を立てる
- NHS・WHO等の公式音声:医療英語の自然な速度・アクセントに慣れるために有効。NHSのポッドキャストや患者向け説明動画(英語字幕付き)を活用する
- English for Medical Purposes 教材:Macmillan社の「Clinical English」シリーズなど、OET対策を意識した医療英語専用教材
- TEDMed・医療系YouTube:Part C対策として、長い医療講義の聴き取り練習に活用できる
週次練習スケジュール(目安)
| 曜日 | 練習内容 | 目安時間 |
|---|---|---|
| 月・水 | 医療略語・専門用語の音声インプット | 30分 |
| 火・木 | OET公式問題またはPart A書き取り練習 | 45分 |
| 金 | Part B・C 模擬テスト+復習 | 60分 |
| 土 | 医療英語の長文リスニング(TEDMed等) | 30〜45分 |
独学での目安は試験日の3〜4ヶ月前から上記ペースで継続することです。ただし医療英語の知識が不足している場合は、語彙インプットの優先度をさらに上げる必要があります。
スコアアップのための医療英語強化
OETリスニングで安定したBグレード以上を取るために最も大切なのは、医療英語そのものの地力を上げることです。試験テクニックだけでは壁にぶつかります。
医療英語の知識には2つの層があります。
- 語彙層:疾患名・症状・検査・治療の英語を網羅的に知っている
- 文脈処理層:医療現場のやりとりの流れ(問診→診断→説明→確認)をリアルタイムで追える
語彙だけ増やしても会話の流れを追えなければ点数は上がりません。逆に流れは追えても語彙が足りなければ空欄が埋まりません。HLCAでは医療現場での実践コミュニケーション経験を持つ講師が、この2つの層を同時に鍛える指導を行っています。
OETスピーキング対策と並行して取り組むことで、リスニングとスピーキングの相乗効果が生まれます。詳しくはOETスピーキング対策の記事もあわせてご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q: OETリスニングはIELTSリスニングと何が違いますか?
A: 最大の違いは「医療に特化した音声のみ」が使われることです。IELTSは日常・学術・社会的話題と幅広いのに対し、OETは患者との会話・医療スタッフ間のやりとり・医療講義のみが題材です。医療英語の知識がある受験者にとってはOETの方が準備しやすいですが、医療語彙が不足していると聴き取りの難易度は高くなります。
Q: Part Aの書き取りはどの程度正確なスペリングが必要ですか?
A: 基本的に正確なスペリングが求められます。ただし医療の文脈から明らかに意味が通じる軽微なミスは許容されるケースもあるとされています。確実を期すため、頻出単語のスペリングは普段から正確に書く練習をしておくことを推奨します(参照:OET公式)。
Q: リスニングが苦手な医療従事者でもBグレードは取れますか?
A: 取れます。OETリスニングはIELTS 7.0相当と言われることもありますが、試験形式に慣れることと医療英語語彙を強化することで、英語全般のリスニングが苦手でも対策は可能です。HLCAの受講者でもリスニングを弱点としてスタートした方が3〜6ヶ月の学習でBグレードを達成しています。まずは現在地を正確に把握することが第一歩です。
まとめ
OETリスニングで合格点を取るには、3つのことが必要です。
- 試験形式を正確に理解する:Part A〜Cそれぞれの特徴と解き方の型を知る
- 医療英語語彙を音で覚える:略語・専門用語・数値表現を「聴いて即理解」できるレベルまで習得する
- 本番形式の練習を繰り返す:公式素材を使って時間・形式ともに本番に合わせた練習を積む
どのパートも「医療の文脈を理解しているか」が得点に直結します。試験テクニックは大切ですが、土台となる医療英語力を育てることが最短ルートです。
HLCAでは、看護師・医師・薬剤師などの医療従事者を対象に、OETリスニングを含む全セクションの対策を専門講師がサポートしています。「どこから手をつければいいかわからない」という方も、まずは無料カウンセリングでご相談ください。
OETリスニング対策もHLCAのオンラインコーチングで
HLCAは、医師・看護師をはじめとする医療従事者向けに、医療英語専門のオンラインコーチングを提供しています。
OETリスニングのスコアアップには、医療英語の語彙力と「聴き取る耳」の両方を鍛える必要があります。HLCAのオンラインレッスンでは、医療現場で頻出する表現や略語のインプットと、実践的なリスニング演習を組み合わせた個別指導を受けることができます。
OETリスニングを含めた対策プランについて、まずは無料カウンセリングでお気軽にご相談ください。
監修:海仲 由美(Yumi Uminaka)
HLCA代表/医療英語教育者・カリキュラム開発責任者
医師・看護師・薬剤師など医療従事者向け医療英語教育を専門とし、これまでに延べ3,000名以上の医療従事者への指導・研修を実施。
医療現場で実際に使われる英語表現・患者対応・多職種連携に特化したカリキュラム設計を強みとし、病院・クリニック向け教育プログラムや医療英語教材の開発・監修を多数手がける。
本メディアでは、現場視点と教育専門性の両面から、実践的かつ正確な医療英語情報の監修を行っている。




