アフリカは、54の国が集まった大陸で、総人口は約13億にのぼります。
ケープタウンがある南アフリカ、エジプトやモロッコがある北アフリカ。
また、医療ボランティアで多く見かけるのは、ケニアやタンザニアなどの東アフリカです。
医師をはじめ、看護学生や海外で学びたい看護師、国際看護師を目指す人から注目されている、アフリカ。
この記事では、アフリカの医療事情とあわせて、アフリカで看護師として働くためにはどうすればいいのかについて解説します。
この記事のもくじ
アフリカの医療事情
アフリカの医療水準は、高いとは言えません。エリアによって、病院の医療レベルがかなり違ってきます。
病院は公立と私立にわけられていて、大都市の私立病院だと日本に近いレベルの医療を受けられます。 (引用元:世界の医療事情|外務省)
ただ、ほとんどの公立病院は、医療器具・人手が常時不足していて、衛生面も心配な点が多くあります。
そうしたアフリカの病院事情とあわせて、看護師や民間の人々が抱える問題について解説します。
金銭面や設備面で困っている病院がたくさん
アフリカの病院は、じゅうぶんな医療設備が整っていないところがほとんどです。
日本では複数個ある器具が、アフリカの病院には1つだけしかない、もしくは置いていないなんてことも。
衛生面にかける費用も少なく、衛生観念そのものについても問題があります。
病室には虫が常に飛んでいたり、シーツなどのリネン類が不衛生だったり。注射針をそのまま机に置くこともあり、手術室に土足で出入りすることも。
日本にいると想像もつかないことが、当たり前のように起こっています。
医師や看護師の数が少ない
アフリカでは、医師や看護師の数が圧倒的に不足しています。
日本では、414人に対して医師1人 アフリカ南東部にあるマラウイだと、63,694人に対して医師1人 (引用元:日本ユニセフ)
医師や看護師1人あたりが受け持つ患者数があまりに多く、ひとりひとりに対してじゅうぶんな診療時間をあてることができません。
南アフリカのデータを見ると、日本と比較して医師数・病床数が少ないことがわかります。
医師数:南アフリカ77.8人、日本251.7人 病床数:南アフリカ300.3床、日本1229.8床 (引用元:在南アフリカ共和国日本国大使館|南アフリカ共和国の医療事情)
また、腕のある医師は大都市の病院へ移動してしまい、地方の病院には経験の浅い医師や看護師が集まる・医師や看護師自体が不足するという状態です。
お金がなくて病院へ行けない
アフリカでは、世界の中でも貧困層が多く、病院にかかるお金がない人々がたくさんいます。
病気になったとしても、ギリギリまで自宅でなんとか療養というケースがほとんどです。
また、病院は都市部に集中していて、地方になると病院数がグッと減るほか、まったく病院がないというエリアもあります。
交通面でも問題があり、病院まで出る道が整備されていない・救急車が通る道がない、そもそも病院が救急車を備えていないということも。
アフリカ内で発展しているエジプトであっても、医療費負担はとても高く、財政破たんしているとの報告もあるくらいだそうです。
エジプトの医療費の自己負担割合:61% 医療費の支払いが難しい:国民の20% (引用元:エジプト・アラブ共和国保健医療セクター情報収集・確認調査|JICA )
金銭面と交通面が影響して、病院に行きたくてもなかなか行けないという状況が続いてしまっているのが現状です。
アフリカの看護師の給与
アフリカの看護師は、どのくらいの給与で働いているのでしょうか。
ケープタウンがある南アフリカの看護師の平均給与をみてみましょう。
南アフリカの看護師の平均給与:約160,553円(25,700ランド)/月 南アフリカの全体の平均給与: 約194,920円(31,200ランド) /月 (引用元:Nurse Average Salary in South Africa 2020)
南アフリカの看護師の給与は、全体の平均給与よりも低いということがわかります。
「アフリカは物価が安そう」というイメージがありますが、実は日本より安い程度。
家族を支えながら看護師を続けるとすれば、生活が厳しくなるでしょう。
また、看護師の中でも給与の差はあり、一般の看護師だと昇給は難しく、リーダーなどの役職がつけば昇給のチャンスがあります。
アフリカで看護師になる方法
アフリカは、大都市と地方かによって、看護師に必要な資格が異なるところが特徴です。
ここでは、アフリカで看護師になるためにはどうすればいいのか、国を例にあげて解説します。
エジプトでは資格が必要
「エジプトで看護師になりたい」と思ったときに、必要になるのが看護師の資格です。
エジプトはアフリカ内でも発展した都市で、大学や看護学校が多数あります。
日本人がエジプトで看護師として働きたい場合、指定されたカリキュラムをこなして資格を取得しなくてはなりません。
エジプトは、看護専門学校や看護高校、大学を卒業して、保健人口省から発行される免許を取得する必要があります。 (引用元:エジプト・アラブ共和国保健医療セクター情報収集・確認調査|JICA)
エジプトの看護師は、大卒看護師、看護師、准看護師とおおきく3つに分類されるのが特徴です。
大卒看護師は、看護師長などの役職がついた幹部となり、患者の処置を行うことは基本的にありません。
南アフリカの都市部で就職は難しい
南アフリカの都市部は、日本と同じくらいのレベルの病院が多数あります。
観光客が多いエリアだと、日本人でも利用しやすい病院もあり、「南アフリカで看護師として働いてみたい」と思うきっかけになるかもしれません。
ただ、南アフリカの地方病院の看護師数が減っていることが問題視されています。
南アフリカは、地方病院の看護師が特に不足しています。 (引用元:海外の看護師資格取得について – 日本看護協会)
そのため、看護師になりたい人のほとんどが地方病院に配属され、都市部で看護師をすることは難しい状況です。
語学力が求められる
アフリカは言語数がとても多く、世界の言語の30%といわれるほどです。
部族ごとの言語から、公用語として使用される言語まで、たくさんの種類があります。
公用語の数も多いところが特徴で、英語が公用語のところも。
南アフリカのケープタウンでは、公用語としておもに英語が使用され、そのほかにアフリカーンス語、ズールー語など、すべてで約11の公用語があります。
アフリカで看護師をしたい場合は、英語をはじめ自分が行くエリアにちなんだ語学力が求められるでしょう。
日本人がアフリカで看護師資格をいかして働く方法
「アフリカで看護師になりたい」という場合、日本の看護師資格をいかすことができるのか、どのような働き方ができるのか気になりますよね。
ここでは、アフリカで資格をいかしながら働くためにはどうすればいいのか、手段と方法を紹介します。
日本人がアフリカで看護師になるために必要なこと
日本人看護師が、アフリカで看護業務を行うためには、どうすればいいのでしょうか。
エジプトの場合だと、試験に合格して、保健省に登録する必要があります。
外国の看護資格を持つ看護師は、エジプトの看護師試験に合格して、准看護師の資格を取得しなければならない。 (引用元:中東・アフリカヘルスケア投資環境レポート|Middle East & Africa Focus Group)
看護師試験は、アラビア語で実施されます。
ただ、事前に保健省の大臣から許可を得ることができれば、外国語で受験することも可能です。
外国人がたくさんいるエリアで働く
日本人がアフリカ内の病院で採用されやすいのは、旅行先で人気な都市や、在留外国人が多いエリアです。
観光地や外国人の住まいとして発展しているエリアは、日本語をはじめ英語などの言語が堪能な人が求められます。
そのため、日本語が話せるということが就職時の強みとなるでしょう。
また、外国人を多く採用している病院は多言語対応できるスタッフが多くいるため、病院内のコミュニケーションもとりやすいというメリットもあります。
医療ボランティアに参加する
視野を広げ、経験を積むことを目的に、医療ボランティアに参加するのもひとつの手段です。
アフリカでは、医療ボランティアを求めている病院がたくさんあります。
発展途上国の医療や、アフリカで多い症例に対応していくことにより、看護師として新たな発見があるほか、医療そのものについても気づきがあるでしょう。
また、医療ボランティア中のコミュニケーションは英語が使用されることが多く、事前の英語学習が必要です。
そして、医療ボランティアはあくまでボランティアです。
お小遣い程度のお金が支給される場合もありますが、支給なし・事前にお金をおさめてから行くというところもたくさんあります。
医療ボランティアに参加する場合は、ある程度の貯蓄をしておくことが求められるでしょう。
国境なき医師団の一員となり活動する
国境なき医師団とは、医療がないエリアで、医療活動をする団体です。
ボランティア精神が高い人々が自発的に登録をして、世界各地に派遣されています。
給与や渡航費などの援助もでます。
初参加の場合の給与:171,505円 / 月(派遣期間1年未満) 派遣期間1年以上の給与:200,408円~575,862円 / 月 (引用元:チーム国境なき医師団)
現地では、指定された住まいに滞在し、日々医療活動に励みます。
慣れない環境での生活となるため、最初は不安も大きいでしょう。
また、いつも危険と隣り合わせという状況です。
そうした中で、看護師として医療に従事することにより、言葉には表せないほどのたくさんの経験を得ることができるはずです。
アフリカの医療にふれて、看護師として成長したい人へ
アフリカは、医師や看護師の数が少なく、医療設備が整っていないところがほとんどです。
病院になかなか行くことができない人も多くいるほか、治療費に悩む人もたくさんいます。
アフリカの医療現場にふれることにより得た経験は、看護師人生においてかけがえのないものとなるでしょう。
また、アフリカは使用する言語が多いことが特徴です。
医療機関でのコミュニケーションは、英語が使用されることがほとんど。
HLCAでは、英語とあわせて医療英語のスキルを効率的に身につけることができます。
英語力が身につけば、将来の選択肢の幅が広がり、たくさんの挑戦ができるはずです。
英語力や医療英語に興味がある方は、ぜひ一度お問い合わせください。