海外で看護師として働くために、IELTSのスコアが必要——そう知ったものの「どのくらいのスコアが必要なのか」「OETとどちらを受けるべきか」「看護師の仕事をしながらどう勉強すればいいのか」と迷っている方は多いのではないでしょうか。
IELTSは世界で最も広く認められた英語試験の一つですが、看護師登録に求められるスコアは国によって異なり、2025年にはオーストラリアで要件が緩和されるなど、情報のアップデートが欠かせません。この記事では、看護師が知るべきIELTSの全体像を、国別スコア要件・OETとの比較・具体的な勉強法まで一気に解説します。
この記事の概要
- 国別のIELTSスコア要件(オーストラリア・イギリス・カナダ)
- IELTSとOETの違い・どちらを選ぶべきか
- 看護師が最短でIELTS 7.0を取るための勉強法
- セクション別の対策ポイント(特にWriting・Speaking)
- 働きながら学習するスケジュール例

この記事のもくじ
看護師に必要なIELTSスコア:国別要件一覧【2026年版】
看護師のIELTSスコア要件は、登録先の国と登録機関によって異なります。全ての国で共通しているのは「IELTS Academic」が必要な点です(General Trainingでは看護師登録に使えません)。
| 国 | 登録機関 | Overall | 各セクション |
|---|---|---|---|
| オーストラリア | AHPRA / NMBA | 7.0 | R 7.0 / L 7.0 / S 7.0 / W 6.5(2025年3月〜) |
| イギリス | NMC | 7.0 | R 7.0 / L 7.0 / S 7.0 / W 6.5(2回の受験スコア合算可・6ヶ月以内) |
| カナダ | 各州看護協会 | 6.5 | S 7.0 / 他セクション 6.0以上 |
| アメリカ | 各州BON | 6.5〜7.0 | 州により異なる(TOEFL iBTでも可) |
| ニュージーランド | NCNZ | 7.0 | 全セクション 7.0 |
2025年の重要な変更:オーストラリアのWritingスコア緩和
2025年3月から、オーストラリアの看護師登録機関AHPRA(Australian Health Practitioner Regulation Agency)がWritingのスコア要件を7.0から6.5に引き下げました。さらに、2回の試験スコアを合算できる期間が6ヶ月から12ヶ月に延長されています。Writingは多くの看護師が最も苦戦するセクションであるため、この変更は大きな追い風です。
各国の看護師登録制度の詳細については日本の看護師免許で海外で働ける国5選もあわせてご覧ください。

IELTSとOETはどちらを受けるべきか
結論から言うと、目的と英語力の現状によって変わります。OETは医療に特化した試験で、医療現場の経験がある看護師に有利です。一方IELTSは汎用性が高く、看護師登録以外(永住権・大学進学)にも使えます。
| 項目 | IELTS Academic | OET |
|---|---|---|
| 試験内容 | 一般的な学術英語(科学・歴史・社会等) | 医療英語に完全特化(患者対応・症例) |
| Speaking | 日常的なトピックでの面接 | 医療のロールプレイ(患者への説明等) |
| Writing | グラフ描写 + エッセイ | 紹介状(Referral Letter)の作成 |
| 認定範囲 | 看護師登録・永住権・大学進学すべてに有効 | 医療系の登録のみ(永住権申請には使えない国も) |
| 受験料 | 27,500〜29,900円(会場により異なる) | 587 AUD(約58,000円) |
| 受験頻度 | ほぼ毎週(会場・オンライン) | 月1〜2回 |
| こんな人向き | 永住権も同時に申請したい・IELTS教材が豊富で独学しやすい | 臨床経験を活かしたい・医療英語だけに集中したい |
OETの詳しい対策はOET試験の勉強法とおすすめ参考書で解説しています。スピーキング・リスニングの個別対策はOETスピーキング対策・OETリスニング対策もあわせてご覧ください。

看護師がIELTS 7.0を取るためのセクション別対策
看護師がIELTSで最も苦戦するのはWritingとSpeakingです。Reading・Listeningは医療現場での英語経験がある程度活きますが、Writing(学術的エッセイ)とSpeaking(日常トピック)は医療英語とは別のスキルが必要です。
Listening(目標: 7.0〜7.5)
看護師にとって最もスコアを取りやすいセクションです。医療現場で英語の会話や指示を聞き取った経験があれば、その聴解力がベースになります。
- Cambridge公式問題集のSection 3・4(学術的な議論・講義)を重点的に練習する
- BBCやTED Talksの医療・科学系トピックを毎日15分聴く
- メモ取り(ノートテイキング)の練習を繰り返す — IELTSでは音声は1回しか流れない
Reading(目標: 7.0)
学術的な長文読解です。医療論文を読み慣れている方には比較的取り組みやすいですが、IELTSの文章は医療に限らず歴史・経済・環境など幅広いトピックが出題されます。
- 時間配分が最重要 — 3パッセージ60分。1パッセージ20分以内に解く練習を繰り返す
- スキミング(全体把握)→ スキャニング(設問の答え探し)の2段階読みを身につける
- 科学・社会系のテーマに慣れるため、The GuardianやBBC Newsの英語記事を日常的に読む
Writing(目標: 6.5〜7.0)— 最大の壁
多くの看護師が最も苦戦するセクションです。Task 1(グラフ・チャートの描写)とTask 2(250語のエッセイ)の2問で構成されます。
Task 1(20分・150語以上)
- 折れ線グラフ・棒グラフ・円グラフ・表の「傾向」を客観的に描写する
- 医療統計(患者数の推移・疾患割合等)のグラフで練習すると取り組みやすい
- “increased significantly” “remained stable” “peaked at” などの表現パターンを暗記する
Task 2(40分・250語以上)
- 医療・健康テーマ(例: “Should governments fund public health campaigns?”)が出題されることもあるが、教育・環境・テクノロジーなど幅広い
- 4段落構成(Introduction → Body 1 → Body 2 → Conclusion)のテンプレートを身につける
- 1週間に2本以上書いて添削を受ける — 独学では上達しにくいセクション
Speaking(目標: 7.0)
3パートの面接形式(Part 1: 自己紹介・日常質問、Part 2: 2分間スピーチ、Part 3: 抽象的な議論)です。
- Part 1: 仕事の話は頻出 — 「看護師として何年働いているか」「やりがいは」など、自分の経験を30秒で語れるよう準備する
- Part 2: 2分間スピーチは「テーマを見て1分間準備→2分間話す」形式。医療関連の体験(「心に残った患者とのエピソード」等)を3〜5本ストックしておく
- Part 3: 「医療制度のあり方」「テクノロジーと健康」など抽象的な議論。因果関係・賛否・比較の表現パターンを練習する
- スコアアップの鍵はfluency(流暢さ)。言い淀みを減らすには、毎日10分の英語独り言(シャドーイング or 即興スピーチ)が効果的

働きながらIELTS 7.0を目指す学習スケジュール
フルタイムで働く看護師が現実的にIELTS対策を進めるには、1日1〜2時間×6ヶ月が目安です。現在の英語力がIELTS 5.5〜6.0程度の場合を想定したスケジュールを紹介します。
| 期間 | 重点セクション | やること |
|---|---|---|
| 1〜2ヶ月目 | 語彙・Reading | 学術語彙の強化(IELTS専用単語帳)+ 公式問題集のReading 1日1パッセージ |
| 3〜4ヶ月目 | Writing・Listening | Writing週2本+添削。Listening毎日15分。公式問題集のフルテスト1回目 |
| 5〜6ヶ月目 | Speaking・模試 | Speaking毎日10分練習。フルテスト模擬試験を週1回。弱点の集中復習 |
朝活の活用がポイント:夜勤明けや不規則なシフトの中で学習時間を確保するには、出勤前の1時間を固定の学習時間にするのが効果的です。実際にIELTS 6.5を8ヶ月で達成した現役看護師は、朝3時に起きて出勤前に学習する習慣で目標を突破しています。
おすすめ教材・リソース
- Cambridge IELTS 公式問題集(最新版) — 本番に最も近い唯一の教材。まずこれから始める
- IELTS Liz(YouTube・Webサイト) — Writing・Speakingの無料解説が充実
- BBC Learning English — Listeningの日常練習に最適
- Grammarly / ProWritingAid — Writing練習時の文法チェックに活用
よくある質問(FAQ)
Q: IELTSとOET、どちらが簡単ですか?
A: 一概には言えませんが、医療英語の基礎がある看護師にはOETの方が取り組みやすい傾向があります。OETのSpeakingは医療ロールプレイなので臨床経験がそのまま活きます。一方IELTSは教材が豊富で受験機会が多いため、独学で準備しやすいメリットがあります。目的が看護師登録のみならOET、永住権申請も同時にするならIELTSが効率的です。
Q: IELTS 7.0は英検でいうと何級レベルですか?
A: IELTS 7.0はCEFR C1レベルに相当し、英検1級〜準1級上位に近い水準です。ただしIELTSはスピーキングとライティングの比重が大きいため、英検の筆記試験が得意でもIELTSのWritingで苦戦するケースは珍しくありません。
Q: IELTSのスコアに有効期限はありますか?
A: IELTSのスコアは受験日から2年間有効です。看護師登録申請時に有効期限内のスコアが必要になるため、渡航時期から逆算して受験計画を立ててください。オーストラリア(AHPRA)では2回の受験スコアを12ヶ月以内に合算できるルールが2025年から適用されています。
まとめ:看護師のIELTS対策は「目的の明確化」から始まる
看護師のIELTS対策で最も重要なのは、「どの国で」「何のために」スコアが必要なのかを明確にすることです。国によって求められるスコアが異なり、OETの方が有利な場合もあります。
- オーストラリア・イギリス・NZは Overall 7.0(Writing 6.5に緩和の動きあり)
- カナダは Overall 6.5(Speaking 7.0)と比較的取り組みやすい
- 最大の壁はWriting — 独学では限界があるため、添削を受けられる環境を整える
- IELTSとOETの併用戦略(永住権はIELTS、看護師登録はOET)も有効
HLCAでは看護師・医師向けにIELTS・OET対策を含む医療英語の個別指導を行っています。「自分にはIELTSとOETどちらが向いているか」「今の英語力からどのくらいで目標スコアに届くか」など、まずは無料カウンセリングで現状を整理してみてください。海外で看護師として働く夢の実現に向けて、最短ルートを一緒に設計します。
監修:海仲 由美(Yumi Uminaka)
HLCA代表/医療英語教育者・カリキュラム開発責任者
医師・看護師・薬剤師など医療従事者向け医療英語教育を専門とし、これまでに延べ3,000名以上の医療従事者への指導・研修を実施。
医療現場で実際に使われる英語表現・患者対応・多職種連携に特化したカリキュラム設計を強みとし、病院・クリニック向け教育プログラムや医療英語教材の開発・監修を多数手がける。
本メディアでは、現場視点と教育専門性の両面から、実践的かつ正確な医療英語情報の監修を行っている。




